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東京事変解散! [ロック音楽]

東京事変が5曲入りの「カラーバー」というヘンテコなアルバムを出すので、訝しく思っていた矢先、なんと東京事変解散のニュースが入ってきた。バンド解散日は2月29日だ。

椎名林檎のコメントが意気だ。
「我々が死んだら電源を入れて
君の再生装置で蘇らせてくれ
さらばだ!」

なんで、こんな素晴らしいコピーがさらっと出てくるんだろうか。やはり天才だ。おそらく、音楽という職業を選ぼうとした時から、こういうことを意識しているんだろうねえ。ジョン・レノンもそうだが、ローラ・ニーロとかオールマンブラザースとか亡くなった人の声や演奏を聞いていることに、いつも不思議な気分を感じる。音楽はそれを紡ぎ出した人より存える(これは、いい音楽であればあるほど存えることができる)ことができる。そのような音楽の力に椎名林檎は大きな意味を見出していたのではと思わせるコメントだ。流石だ。

さて、東京事変が解散するということだが、バンドとしては「スポーツ」で頂点を極め、その後の「大発見」では方向性も見えにくくなっていたので、まあ潮時かなと思わなくもない。「大発見」のディスカバリー・ツアーは3回ほど足を運んだが、その前のツアーよりバンドとしての勢いのようなものは減ったと感じていたからだ。ということで、個人的にはショックはない。

私は圧倒的に椎名林檎ファンなので、椎名林檎さえ音楽活動をしていれば全然、問題ない。とはいえ、椎名林檎が引退したら、大いに悲嘆に暮れるので、バンド解散ということがそのリスクを多少、高めるのは心配だ。

あと解散コンサートはブラジルに行っている時期と重なるので28日、29日の日本武道館しか予定がつかない。これはプレミアム・チケットだ。私の椎名林檎ファンクラブの位置づけによってチケットが確保できるかどうかが決まる。さて、どうなることやら。
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ドンファンのじゃじゃ馬娘 [ロック音楽]

LP時代は2枚組の大作ということでちょっと手が出にくかったが、CDになって1枚に収まりなんか本作品の敷居が低くなったような気がするのは私だけではないと思う。ジャコ・パスを始めとしてウェイン・ショーター、ラリー・カールトン等が脇を固める極めて高品質なジョニ節を堪能することができる。曲自体は、実験的であるが、その音楽の質の高さ、傑出した演奏力によって、それらが素晴らしい曲へと昇華されている。特に3曲目のJericho、そして7曲目のDreamlandが素晴らしい。傑作揃いのジョニ・ミッチェルのアルバム群の中でも、一馬身抜きんでた傑作であると思われる。


ドンファンのじゃじゃ馬娘

ドンファンのじゃじゃ馬娘

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2006/09/27
  • メディア: CD



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ステレオフォニックス『パフォーマンス・アンド・カクテルズ』 [ロック音楽]

1曲目から最後の曲まで、硬質でハイ・クオリティのロックが目白押しである。しかもボーナスでライブ曲までが収録されている。若いエネルギーが充満した演奏は、情熱的でありながら冷徹。扇情的でありながら冷ややか。くだけているような歌詞は、しかし知性に溢れている。そして、比類なき楽曲のレベルの高さ。さらには、これ以上、格好良くロックを歌えるのかと思わせるぐらいの格好良いボーカル。最上級のブリティッシュ・ロックが堪能できる傑作であると思われる。個人的には「ティーシャツ・サンタン」と「ザ・バーテンダー・アンド・ザ・Thief(Thをカタカナ化することができない)」が特にお気に入りである。


パフォーマンス・アンド・カクテルズ

パフォーマンス・アンド・カクテルズ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: V2レコーズジャパン/コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 1999/02/27
  • メディア: CD



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カンサス『永遠の序曲』 [ロック音楽]

カンサスの4枚目である『永遠の序曲』は、アメリカ・プログレ・バンドの一つの到達点ともいえる傑作であると思います。何しろ『伝承』に始まり、『壁』と続く、流れは凄まじいクオリティの高さです。そして、最後(CDではボーナス曲が2曲入っているのでラストではないですが)の『超大作』のまさにプログレ・ロックの王道を行く重厚さ。しかし、この3曲があまりにも飛び抜けて優れているので、アルバムを通して聴くと他の4曲のポップさが気になります。3人の図抜けたスーパースターと4人の普通のプレイヤーから構成されるスポーツチームのような印象を受けてしまうのです。もちろん、この3曲だけで、アメリカ・プログレを代表するアルバムとして位置づけられる本作ですが、ちょっとトータル・アルバムという観点からだと、完全さには不足しているかなという印象を受けます。いや、残りの4曲もクオリティは悪くはないのですけど。あと、シャイアン・アンサム(ワイオミングの都市であるシャイアンの賛歌)という曲が『黙示録』という邦題になったり、ファッツ・オン・マイ・マインド(私の心にあること)という曲が『深層心理』という邦題になったりするのは、ご愛敬といえばそれまでですが、ちょっと狙い過ぎでしょう。カンサスは、確かにプログレ・バンドの範疇に入るとは思いますが、そこまで深刻ではないポップなノリも有しています。なんせ、スティーブ・ウォルシュはジョッギング・パンツでライブで歌ってしまうくらいですから。ということで、もう、絶対的に素晴らしいと手放しでは絶賛できないのですが、アメリカ・プログレ・バンドという範疇では、間違いなく傑作だと思います。


永遠の序曲

永遠の序曲

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2004/10/20
  • メディア: CD



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東京事変の大発見ツアーで、東京フォーラムに行く [ロック音楽]

東京事変の大発見ツアーで、東京フォーラムに行く。東京事変の大発見ツアーは、これで3回目である。10月から一ヶ月に1回のペースで東京事変のコンサートに行ったが、これで見納め。演出は東京フォーラムが一番よかったし、椎名林檎の機嫌もよかったが、ドラムがあまりにも走りすぎ。特にアンコール前の閃光少女。あれだけ走られたら、合わせるの大変だよなあ。私だったらキレて、バスドラを蹴っ飛ばすところだ。おそらく、今日はコンサート後にミーティングがあるのではないだろうか。今日、初公開という新曲がアンコールの1曲目で披露される。ううむ、それほど感心しなかった。展開部は何か聴いたことがあるなあ、と思ったら、シカゴのサタディ・イン・ザ・パークであった。コードは同じだと思う。まあ、将来への明るい展望がなかなか見出しにくい今回の大発見ツアーではあったが、この3ヶ月、東京事変というか椎名林檎に浸れて、私はちょっと幸せな気分である。
タグ:東京事変
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東京事変のディスカバリー・ツアーを名古屋まで観に行く [ロック音楽]

東京事変のディスカバリー・ツアーを名古屋まで観に行く。我ながら、よく行くよな。まあ、これを機に、今まで訪れたかった「サツキとメイの家」に行き、写真を撮り、夕食はあつた蓬萊軒でひつまぶしを食べたので、名古屋を満喫した気分だ。高校一年生の長女もひつまぶしにつられて付いてきてくれた。

さて、会場は国際会議場。もちろん来たのは初めて。動線計画が全然なされてなく、誰だ、建築家はみたいな気分になる。それはともかく、ディスカバリー・ツアーは初日の府中に次いで二度目。一曲目は「天国へようこそ」で同じ。衣装もバイキングのビッケのような角が生えた帽子で一緒。しかし、なんか林檎嬢機嫌がよさそう。演奏曲は結構、同じであったが曲順は違った。1曲目から3曲目までは同じだったが、4曲目でいきなり「カーネーション」。あと、初日ではアンコールで演奏したOSCAが中盤以降に出てくる。そして、一番の違いは、初日はアンコール前が「21世紀宇宙の子」であったが、名古屋では、「21世紀宇宙の子」から「閃光少女」へメドレーで繋いだこと。「大発見」の曲がそれほどよくないこともあって「閃光少女」が名曲に聞こえてしまう。名古屋にわざわざ来たことがちょっと報われた気分だ。

アンコールは新曲。なんか、カーネーション的な歌謡曲っぽい印象のスローな曲である。あまり印象に残らない。そして、次は「群青日和」。初日はアンコールで5曲やったのだが、今回はいきなり二曲目で群青日和。そして、最後は「新しい文明開化」。これは初日と同じ。でも、なんか初日よりずっと林檎嬢は元気でMCも多かったのは何よりである。

コンサートが終わると、直行で名古屋駅へ。そこからのぞみで新横浜に着いたのが23時前。家にはその日のうちに帰れた。

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ウィルコの『ザ・ホール・ラブ』 [ロック音楽]

ウィルコの二年ぶりの新作『ザ・ホール・ラブ』。スタジオ・アルバムとしては8作目となる。今回のアルバムでもウィルコ節は健全で、いぶし銀的な魅力に溢れている。旨い寿司屋に入って、いつものように旨い寿司にありつけたような印象である。いやあ、いつものようにウィルコの握る寿司は旨いよねえ、という感じである。ただ、それまでのアルバムと比べても本アルバムは全般的に落ち着いたトーンであり、それまでの尖っていたところが丸くなっているようだ。なんせ、アルバム・タイトルからして『ザ・ホール・ラブ』ですからねえ。

それにしても、この時代、リスナーが求める期待にここまで確実に応えてくれる職人肌のロック・バンドは本当に希有な存在である。ウィルコ・ファンは必聴でしょう。期待は裏切りません。

そうそう、オバマ大統領がウィルコの登場を紹介するユーチューブの画像があります。ちょっと感動です。
http://www.youtube.com/watch?v=nmR32cFfGTQ&feature=fvwrel


ザ・ホール・ラヴ

ザ・ホール・ラヴ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2011/09/28
  • メディア: CD



タグ:ウィルコ
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東京事変のライブ・ツアー2011ディスカバリーの初日に行く [ロック音楽]

東京事変のディスカバリー・ツアーが9月30日から始まる。というか林檎ファンの私は初日に訪れる。初日は、なんと府中である。府中の森芸術劇場という、おそろしく不便なところでこのツアーは幕を開ける。その理由は不明だ。ちなみに、その説明はコンサート中でも一切されなかった。府中の森芸術劇場は初めて訪れた。小さいホールをイメージしていたら結構、大きくてびっくり。旧渋谷公会堂や神奈川県民ホールなどより遙かに大きい。私の席は17列目。結構、ステージが近くて嬉しい。

さて、ディスカバリー・ツアーということで1曲目は当然「天国へようこそ」。いきなり、バイキングのビッケのような角が二つ生えたような帽子を被って林檎嬢は登場する。相変わらず、貫禄があり舞台映えして、ほれぼれする。その後は「大発見」のアルバムを中心にコンサートは進んでいく。「空が鳴っている」、「風に肖って行け」。初日ということで、林檎嬢も気合いが入っているかと思ったが、なんか気合いは入っていないような印象を受ける。さらに、4曲目の「海底に巣くう男」では音を外している。彼女がコンサートでこんなに音を外しているのは個人的には初めてだ。これはちょっと意外で驚きだ。他の楽器の音が聞こえていないのか、などと余計な心配をする。5曲目で「カリソメ乙女」とようやく「大発見」以外の曲。また、ほとんどMCはせずにたんたんとコンサートを進めていく。いつもは、もうMCを含めてそのエンタテイナーとしてのプロ根性に感心する私であったが、今日はどちらかというとツンツンしたままである。その後は、また「大発見」の「禁じられた遊び」、「恐るべき大人達」。この2曲は、あまり評価していない「大発見」アルバムの中ではフェイバレット・ソングなので、ちょっと個人的に盛り上がってくる。そして、新曲の「ハンサム過ぎて」。次は「かつては男と女」。ちょっといい感じかな、と思ったところで「某都民」。浮雲、高音を出すのが辛そう。一葉、声が今ひとつ。林檎嬢、またまたちょっと音を外している。ちょっと、白ける。この『娯楽』に入っている今ひとつの曲は、昨年のウルトラCのコンサートでも演奏していた。メンバーは気に入っているのかもしれないが、敢えてこの曲をやるべきかどうかは疑問だ。そして、「秘密」。これは格好いいわあ。少し機嫌が直ったところで「ドーパミント」、「女の子は誰でも」。「女の子は誰でも」ではドピンクの衣装になる。ちょっと可愛い。そして、「歌舞伎」、「ミラーボール」、「能動的三分間」、「電波通信」と昔のアルバムから4曲ほど演奏する。とはいえ、「電波通信」より「絶対絶命」をやってほしかったし、「ミラーボール」よりは「キラーチューン」でしょう!「歌舞伎」よりは「化粧直し」というか、「落日」を演奏して欲しかったなあ。まあ、そういう私の不満をよそに、再び「大発見」へ。「絶対値対相対値」、「電気のない都市」ときて、亀師匠的メロディー炸裂の「21世紀宇宙の子」で終了。ここまでは今ひとつ。しかし、アンコールで盛り返してくれると期待する。まあ、ファンですから。さて、アンコールでは、林檎嬢はインディアンの酋長のようなど派手な格好で登場する。「カーネーション」、「夜明けのうた」をしんなりと歌って、「OSCA」そして「群青日和」。群青日和でようやく、なんか来たことが報われたような気分になる。そして100分ほどのツアーは「新しい文明開化」で幕を閉じた。

個人的には一番、盛り上がったのはアンコールの4曲目の「群青日和」、それと「21世紀宇宙の子」、「能動的3分間」、「恐るべき大人達」、「秘密」、「女の子は誰でも」、「電気のない都市」はちょっと聴いていて嬉しい気分にさせてくれた。

パフォーマーとしての林檎は相変わらず流石。そして浮雲も格好いいわあ。逆に、格好悪いからお願いだから止めてくれ、というのがギターを弾く伊澤一葉である。あんなにキーボードを弾いている時は格好いいのに、ギターを弾いている時はださすぎる。林檎や浮雲が直立不動のように弾いている時、やたらに身体を前後させて揺らすし、ギターを弾いている時に顔を上げる時のだらしなさ。ルックスがいいのにギターを持たせると格好悪いという典型例である。逆に、もう林檎のギターを弾く姿は格好いいわあ。ピート・タウンゼントのようだ。私は一葉を応援したいので、このダサイ動きは是非とも改めてもらいたい。

ということで、初日ということで過度の期待をしていたこともあるが肩すかしを食らった気分である。今回のツアーは、まだ二回ほどチケットを持っているのだが、徐々に乗ってきてもらいたいと願う。それと、出来れば選曲もちょっと変えてもらえているといいのだが。


大発見

大発見

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン
  • 発売日: 2011/06/29
  • メディア: CD



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ジュリアン・レノンのオノ・ヨーコの批判は強烈だ! [ロック音楽]

1999年とちょっと古いカナダのテレビ番組であるが、ジュリアン・レノンがオノ・ヨーコを強烈に批判しているのがユーチューブでみられる。

http://www.youtube.com/watch?v=F815coz2A3s&feature=related

ジョン・レノンが亡くなった後、ジュリアン・レノンはジョンに送った手紙をオークションで買い戻さなくてはならなかったようだ。そのオノ・ヨーコの非情さにジュリアン・レノンは番組で冷静ながらも怒りを示していた。私もその発言を聞いて、唖然とした。番組に参加していた観客もそんな冷たい人間がいるのか、というような表情をして聞いていた。ジュリアンはオノ・ヨーコを裏がある人で、計算高いとも述べていた。

私が好きな小説に「ブリジット・ジョーンズの日記」がある。この小説の中で、日本人のことを「冷たい種族」であると形容しているところがある。これを読んだとき、私はよく理解ができなかったのだが、もしかしたら作者はオノ・ヨーコが頭に浮かんでいたのかもしれない。

オノ・ヨーコの取材記事を以前、読んだことがあるのだが「チャートでナンバーワンを取ることは重要」との発言に違和感を覚えたことがある。また、リバプール空港をジョン・レノン空港へと名称を変えるのに大変力を入れたことなども伝え聞くと、それがジョン・レノンがしたかったことなのかな、とも思ったりもする。国分寺駅が忌野清志郎駅になっても清志郎は喜ばないだろう。それと同様にリバプール空港がジョン・レノン空港になって、果たしてジョン・レノンは喜んだのだろうか。そもそも、リバプール空港はどちらかというとビートルズ空港ではないのか。まあ、ポールもそうだが、ジュリアンもオノ・ヨーコのことが嫌いになるのは何か分からなくもない。

しかし、稀代のカリスマを手玉に取ったとしたらオノ・ヨーコという日本人は大したものである。日本の歴代の外務大臣より遙かに優秀なのではないだろうか。

これと対照的なのが、リンダ・マッカートニーである。リンダ・マッカートニーの写真展を紹介したユーチューブもあるが、これはなかなか感動的である。どちらが妻として優れているかなどを比較するのは野暮も甚だしいが、私はリンダの方が好きだなあ。

http://www.youtube.com/watch?v=nir655AHuYw&NR=1
http://www.youtube.com/watch?v=fVeLykO1wQA&NR=1
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ローウェル・ジョージ『特別料理』 [ロック音楽]

 リトル・フィートのシンガーであり、ギタリストであるローウェル・ジョージが亡くなる直前に発表したソロ作品。リトル・フィートで数々の名曲を作曲したローウェル・ジョージであるが、本作品はカバーが多い。10曲中、半分の5曲が他人の曲であり、4曲が共作である。当時、リトル・フィートはよりジャズ的な要素を取り入れる方向に進んでおり、それをローウェル・ジョージはあまり面白くないと思っていたらしく、このソロ作品をつくることになったそうである。ローウェル・ジョージが単独でつくった曲は『トゥー・トレインズ』で、これはあの『ディクシー・チキン』に入っていた名曲であるが、このソロ作品では、さびに入る前までは、え?違う曲というほどの異なるアレンジが施されている。リトル・フィートとは違っているが、なかなかの傑作であると思われる。
 『20ミリオン・シングス』では、「俺には2000万個のすることがある」と歌う。その数ヶ月後に亡くなることを考えると、人生の無常さを感じさせられる曲である。


特別料理 イート・イット・ヒア<紙ジャケットCD>

特別料理 イート・イット・ヒア<紙ジャケットCD>

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: WARNER MUSIC JAPAN(WP)(M)
  • 発売日: 2007/12/26
  • メディア: CD



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ウィルコの『キッキング・テレビジョン』 [ロック音楽]

強烈に格好いいライブ盤。この2005年に発表されたウィルコのライブ盤は個人的にはロック・ライブ・アルバムのベスト10には入る大傑作である。特に2000年以降で発表されたものとしてはベストである。とはいえ、これまでで12万枚しか売れていない。なんで、これだけ格好いいライブが受け入れられないのだろうか。まあ、しかし、これは買って損はないと思います。アメリカのレディオヘッズという形容詞が決して誇張ではないことが理解できると思います。演奏テクニックの高さ、ライブの構成の演劇性。臨場感溢れる演奏と観客の熱気を見事に捉えています。まったく無駄曲のない素晴らしいライブ・アルバムだと思います。


Kicking Television: Live in Chicago

Kicking Television: Live in Chicago

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Nonesuch
  • 発売日: 2005/11/15
  • メディア: CD



タグ:ウィルコ
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ベン・フォールズのコンサートに行く [ロック音楽]

 ベン・フォールズのコンサートに行く。渋谷レモンCCホールだ。どこにそんなホールがあるのかと思ったら、渋谷公会堂のことだった。ネーミング・ライツを売却したのだろうか。さて、会場は満席からほぼ遠く、半分くらいの入り。ということは、千人も観客がいないということだろうか。
 初めて生で見るベン・フォールズの見た目は非常にしょぼかった。もう典型的なナードという感じで、彼が、「ビリー・ジョエルとセックス・ピストルズを足して二で割ったようなアーティスト」とは風貌的にはとても思えない。背も低いし、何か腰も低いしで、いやあ、これであの攻撃的な歌を作っているのかと考えると、人間、なめられないなと思う。
 さて、ライブは楽しかった。おもに新譜や最近のアルバムからの選曲であったが、「ワン・アングリー・ドワーフ」や「アーミー」などのベン・フォールズ・ファイブからの曲も披露してくれた。とはいえ、このライブでのハイライトは間違いなく「ヒロシマ」であろう。日本語の歌詞で歌って、これは観客に大受けであった。さらに、途中の余興の時にも、また「ヒロシマ」を日本語で歌い出し、これも観客は爆笑していた。
 他にも「ロッキン・ザ・サバーブ」でマイケル・ジャクソンのところがアンジェラ・アキに変わっていたりして、いやあ、本当に日本人へのファン・サービスが徹底しているなと感心した。まあ、それはこの時期に来日コンサートを実施することからも察せられるが。
 あと、本当にピアノは上手いね。私的にはビリー・ジョエルやエルトン・ジョン、ブルース・ホーンスビーより遙かに共感を覚えるピアノマンである。

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MUSEの『ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ』 [ロック音楽]

MUSEの代表作であると同時に、2000年代のブリティッシュ・ロックの最高傑作の一つであると同時に、ある意味で到達点とも捉えられる驚異的なアルバムである。それは、クイーンのドラマ性、ELPの過剰露出性、ステレオフォニックスの叙情性、キング・クリムゾンの攻撃性などを包含させ、さらに曲によってはキーンの美しい旋律、アイアン・メイデンのようなブリティッシュ・ヘビーメタルのドライブ感までをも取り込んだかのような、ブリティッシュ・ロックのコラージュのような音楽を展開させている。コラージュではあってもオリジナリティに富んでおり、イギリスのロック文化の底力を見せつけたアルバムである。

ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ(初回限定盤)

ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ(初回限定盤)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2006/06/28
  • メディア: CD



タグ:muse
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ピンク・フロイドの『アニマルズ』 [ロック音楽]

ピンク・フロイドの10枚目のアルバムで1977年にリリースされた。バッターシイ火力発電所の上を豚が飛んでいるという、ピンク・フロイドのアルバムのデザインでもピカイチの作品はイギリスのデザイン集団ヒプノシスの手によるが、そのアイデアはロジャー・ウォーターズのものであった。

犬、豚、羊というタイトルの10分以上の曲が3曲、そして、イントロとエンディングに羽のある豚、という短い曲がアルバムを締める。

非常に分かりやすいコンセプト・アルバムで、ジョージ・オーウェルの「アニマル・ファーム」にヒントを得ていると思われるが、オーウェルがスターリン主義を批判していたのに対して、このアルバムは資本主義への批判であり、また本アルバムではシープが最終的に権力の手先であるドッグに打ち克つ。シープの最後で犬を撃ち殺した後の歓喜を表現するリフは、ピンク・フロイドがいかにロック・バンド的な編成での音づくりに長けているかを理解させられる。また、犬における「油断をさせておけば、背中を刺すチャンスが得られる」など、相変わらずロジャー・ウォーターズの歌詞は聴いていてゾッとさせられる。その歌詞の後に、ギルモアの美しいディストーションがかかったギター、ライトの緊張感高めるギーボードのバッキングは、極めてピンク・フロイド的な音楽世界であると思われる。この曲のギルモアのギター・プレイは特筆すべきものかと個人的には思う。

このように私はこのアルバムは70年代というピンク・フロイドの黄金期においても、傑作であると思うのであるが、なんせ、この10年間に「狂気」と「壁」というロック史上における大傑作アルバムを製作したために、どうも評価が今ひとつであるが、それはこのアルバムにとって公平ではないような印象を受ける。私は、ザ・ウォールが発表される前にほぼ発売当時に聴いたので、それは大いなる感動を覚えたのを覚えている。偉大なバンドの相対的にいま一つのアルバムという評価は間違っていないだろうが、アルバム単体で評価すれば、傑作であると思われる。


アニマルズ

アニマルズ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2000/06/28
  • メディア: CD



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ジョー・ウォルシュの『ロスからの蒼い風』 [ロック音楽]

 イーグルスのギタリストとしても活躍するジョー・ウォルシュの1978年の作品。ホテル・カリフォルニアが世界を席巻した後に出されたアルバムだが、世界的なバンドになった後も、ジョー・ウォルシュのレイドバックした雰囲気が満ちあふれていて、なんか聴いていると心がほんわかしてくるようなアルバムだ。アルバムのハイライトは、邦題では「この人生に賭けて」との迷訳がつけられた「Life’s been good」。この曲はシングル・ヒットもしたし、イーグルスのコンサートでも演奏されていたが、このタイトルは「人生、そんなに悪かない」とでも訳すべきである。「ファンが欲しいというので、アルバムをつくったらゴールド・ディスクになって、俺がグレートだっているファンレターを書いてくるのさ。これまでのところ、俺に人生、悪くない」みたいな歌詞で、もう、曲調といい、イントロのリフといい、ギター・ソロといい、良い意味で肩が抜けている。他の曲も、なんか全く気張っていなくて、聴いている方も、そんな肩肘張っている必要ないよね、みたいな気分になってくる。これは、直前のイーグルスの『ホテル・カリフォルニア』の曲が「カリフォルニアにはもう夢はない」(Last Resort)とか、「チェックインはできるけどチェックアウトできない」(Hotel California)とか、「あっという間に年とっちゃう」(Pretty Maids All in a Row)など、暗いというかマイナーな曲が多かったのと対照的である。『ホテル・カリフォルニア』はBマイナーでアルバムが始まるが、『ロスからの蒼い風』はG。最後の曲も、滅茶暗い歌詞の「Last Resort」に比べて、こちらは適当にやったら人生上手くいっちゃった的な歌詞の「Life’s been good」。思うに、イーグルスの根暗的な要素(なんせヒット曲が「デスペラード」とか「呪われた夜」とか「偽りの瞳」とか、暗い歌詞のものばかりですからね!)に浸ったので、このような根明なアルバムをつくってジョー・ウォルシュ的にはバランスを取りたかったのかも知れません。勝手な推測ですが。
 さて、このアルバムは「Life’s been good」が有名ですが、他の曲のクオリティも極めて高く、捨て曲はありません。「Over & Over」のスライド・ギターのソロを初めとして、ギタリストとしてのジョー・ウォルシュも八面六臂の活躍をしており、ギター小僧も必聴のアルバムの一つだと思います。
 最後にアルバム・タイトル「But, Seriously Folks」は、「いや、お前らまじだって」とでも訳すべきで、『ロスからの蒼い風』はすかしすぎである。ジョー・ウォルシュはファンにもスターぶるところが全くないという評判であり、そこが彼の一番の魅力であるのだが、日本では、むしろ格好よいロック・スターを彷彿させるような訳がなされているところが滑稽だ。とはいえ、このアルバムでの曲群、ギター・ソロはとても乾いていて、ロスの乾燥した涼しい風のような印象を与えることは確かである。


ロスからの蒼い風

ロスからの蒼い風

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2011/02/23
  • メディア: CD



But Seriously Folks

But Seriously Folks

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Elektra / Wea
  • 発売日: 1995/04/12
  • メディア: CD



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イギリスの音楽誌「Q」の過去25年間ベスト・アルバムに対する超主観的な違和感 [ロック音楽]

2011年に創刊25周年を迎えるイギリスの音楽誌「Q」が〈過去25年間のベスト・アルバム〉を発表した。

読者投票によるランキングだ。

〈Greatest Album Of last 25 Years〉
1. RADIOHEAD『OK Computer』

2. NIRVANA『Nevermind』

3. OASIS『(What's The Story) Morning Glory?』

4. OASIS『Definitely Maybe』

5. ARCTIC MONKEYS『Whatever People Say I Am That's What I'm Not』

6. U2『The Joshua Tree』

7. THE STONE ROSES『The Stone Roses』

8. RADIOHEAD『The Bends』

9. U2『Achtung Baby』

10. MUSE『Black Holes And Revelations』

11. THE STROKES『Is This It』

12. COLDPLAY『A Rush Of Blood To The Head』

13. BLUR『Parklife』

14. PRIMAL SCREAM『Screamadelica』

15. THE WHITE STRIPES『White Blood Cells』

16. NEUTRAL MILK HOTEL『In The Aeroplane Over The Sea』

17. THE KILLERS『Hot Fuss』

18. RADIOHEAD『Kid A』

19. ARCADE FIRE『Funeral』
20. GREEN DAY『American Idiot』

21. MANIC STREET PREACHERS『The Holy Bible』
22. MUSE『Absolution』

23. RADIOHEAD『In Rainbows』

24. KINGS OF LEON『Only By The Night』

25. GORILLAZ『Demon Days』

26. MUSE『Origin Of Symmetry』

27. GUNS N' ROSES『Appetite For Destruction』

28. THE VERVE『Urban Hymns』

29. R.E.M.『Automatic For The People』

30. MY BLOODY VALENTINE『Loveless』

1位に輝いたのは、レディオヘッドが97年に発表したサード・アルバム『OK Computer』。2位、3位あたりには異論はない。4位もまあ、そうかな。5位くらいからは若干、怪しい気分もするが、ベスト10まではアクトン・ベイビー以外は、まあそんなものかと思ったりもする。しかし、それ以降はちょっと異論を唱えたくなる。14位と18位、20位はいいが、他はもっと下だろう。むしろ、ザ・ヴァーブのアーバン・ヒムは10位以内に入るべきでしょう。

それにしても、90年代を支配したかのようなレッチリがまったく入っていないのはおかしいだろう。マザース・ミルクが入っているべきだ。同じことはベックにも言える。メローゴールドかオーデレイが入っていないのは納得できない。フーファイのイン・ユア・オーナーが入っていないのもまったく理解できない。それとエアロスミスのゲット・ア・グリップ。ジェリーフィッシュのスプリット・ミルクやアラニスのデビュー・アルバムのような奇跡的な名盤も入っていない。パール・ジャムもVS.は入るべきだろうし、スマパンのメロンコリーが入っていないのはおかしい。これはU2より上に来るべきだ。25年ならピーター・ガブリエルのSoとUsが入っていないことは個人的に解せない。それよりステレオフォニックスはどうしたんだろう?全英一位を2枚目から6枚目まで5回連続して取り、ベテランのロック・アーティストの絶賛を浴びているステレオフォニックスが入っていないのはまったく理解できない。あと、極めて個人的な意見だが椎名林檎の無罪モラトリアムが入っていないのも意外。まあ、どうしても最近でも活躍しているMUSEやレディオヘッドに票が集中してしまうのかもしれない。あと、イギリス人はやはり、アメリカ系はザ・ストロークスとかザ・キラーズ、ザ・ホワイト・ストライプといったガレージ系が好きなのでしょうか。そうでも解釈しないとレッチリ、フーファイ、パール・ジャム、スマパンが入っていないことは理解できない。私としては、ウィルコやフィッシュも入って欲しいくらいだ。椎名林檎も。

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ロック・スターになった幼馴染みの話 [ロック音楽]

期待されながらも、ビッグになり損なったLAメタル・バンドの一つにアーマード・セイントがある。1984年にデビューをして、メンバーは皆、ロスアンジェルスの牧歌的な郊外のサウスパサデナ高校出身であった。正統派のヘビーメタルで、強烈なボーカル、印象的なリフとディストーションの伸びが美しいツィンギター、そしてブレーキのないトラックのように突き進むリズム隊。その後、ヴォーカリストのジョン・ブッシュとジョーイ・ヴェラはメジャー・バンドのアンスラックスに加入することから実力があったことは間違いない。ただ、デビューに際しては、大手のレコード会社であるクリサリスと契約を結び、ブラック・サバスが嫌いなプロデューサーと組んだこともあり、バンドがスターダムにのしあがることはなかった。

さて、このバンドのギタリストであるデーブ・プリチャードは私の小学校の幼馴染みであった。小学校5年と6年の時は同じクラスであった。当時は、まったく音楽とかに興味がなかったと思う。蛇を飼うのが好きで、蛇に餌のネズミをやるのが趣味というなかなか凄まじいキャラであったが、ギャグ・センスが秀逸であるのと漫画が上手かったのを覚えている。山にクラスの子たち7人くらいでキャンプに行った時、デーブ・プリチャードに感化され、全員がキャンプ中は蛇を捕まえることにずっと熱中し、皆、トランクに蛇を入れて持ち帰ったことを覚えている。プリチャードは10匹くらい蛇をトランクに入れていた筈だ。結構、家は裕福であったが彼は養子であった。彼は三人兄弟の一番上であったが、年子の弟も養子で、4つ下の弟だけが実子であった。

さて、そんな彼とは私が中一の時に帰国してからまったく縁が切れた訳なのだが、最近、彼がバンドのギタリストとデビューしていたことを知ったのである。彼の若い頃の勇姿は次のユーチューブなどでも見える。デビュー・アルバムにも入っている曲のプロモーション・ビデオである。

http://www.youtube.com/watch?v=8LMw_tvSY9Q

赤毛のギタリストがプリチャードである。驚くほどギターが上手い。まあ、プロとしてデビューしたので当然なのだが、小学校の時にはまったく音楽に才能があるとは思えなかった彼が、こんなに上達していたという事実に驚く。人は若い時に、集中して努力をすればどうにかなるのだな、ということを改めて知らしめる。人間の可能性をこんなにも教えてくれた彼に感謝したいくらいだ。

しかし、残念なことに感謝はできない。彼は27歳の時に白血病で亡くなったことも知ったからである。もう20年も前のことである。こんなそばに、ロック・スターになっていた人間がいたこと、そして、その当時はその片鱗さも感じなかったことに、大いに驚き、また人間というか若者の可能性を知ると同時に、命の儚さも知る。なぜ、彼のこの活躍をまだ彼が生存していた時に知らなかったのだろうか。小学校の同級生では当時(20代の時)も今も付き合いのある奴がいる。彼も私と同じく最近になってプリチャードがプロのバンドで活躍をしていたことと、彼が27歳の時に亡くなったことを知ったのだが、なんで同じ町に住んでいて、しかも小学校の時は彼と仲良かったのに、彼の活躍を知らなかったのだ、と詰りたい気持ちにさえなった。彼の活躍を20代の時に知っていたら、私は随分と学び、それを自分の生きるための糧に出来たであろうに。今でも、彼の生き様から私は多くを学べている。しかし、それは自分のためにはもはや使えない。もう年を取りすぎたからである。とはいえ、幸い、教員という職業なので、学生の指導のためには使える。やりたいことがあれば、自分の可能性を信じることだ。これは、簡単なようでいて実は難しいことである。私は、父親がまったく私の可能性を信じなかったことや、ちょっと自分のいじけたところもあり、自分が持っていたかもしれない才能を出すための努力を怠った。だから、この年になっても自分に何がやれて、何がやれなかったのかがあまり分からない。これは辛いことだ。プリチャードは若くして亡くなり、それはとても残念なことでもあり悔しくもあるが、自分がロック・ギタリストであることは知ることができた。それは、私のような人間からすると羨ましいし、眩しくも思える。

彼が在籍したバンドのアルバムは日本のアマゾンでも購入できます。


March of the Saint

March of the Saint

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Rock Candy
  • 発売日: 2006/03/07
  • メディア: CD



Saints Will Conquer

Saints Will Conquer

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Metal Blade
  • 発売日: 1994/05/31
  • メディア: CD



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ブルーオイスターカルトの『スペクターズ』 [ロック音楽]

ブルーオイスターカルトの代表曲『ゴジラ』と『アー・ユー・レデイ・トゥ・ロック』を含む1977年に発表された5枚目。へヴィ・メタル・バンドなどとも形容されるが、極めてメロディアスで曲によってはモット・ザ・フープル、ミートローフを彷彿させたりもする。哀愁の帯びたディストーションの効いた美しいギター・ソロ、アルペジオも多用する叙情性、歌詞もどこかロマンチックなものが多く、編曲にも知性が感じられる。知性といえば、『ゴジラ』でのたどたどしいエリック・ブルームの日本語は日本人にとってはなかなか嬉しい。オカルトや狂気といったおどろおどろしいイメージを少なくとも日本ではマーケティング戦略で用いているが、ニューヨークのバンドという出自のよさが、上品で知的な洗練さをなかなか隠せないのかな、という印象を受ける。私などは、どうもエリック・ブルームがELOのジェフ・リンに見えてしまうぐらいなので、オカルト・メタル・バンドというよりかは、メロディアスなハード・ロック・バンドのように思えてしまうのである。


スペクターズ(紙ジャケット仕様)

スペクターズ(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2007/10/24
  • メディア: CD



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レディオヘッドの『ザ・キング・オブ・リムス』 [ロック音楽]

ブリティッシュ・ロックの今や大御所となったレディオヘッドの8枚目のアルバムである『ザ・キング・オブ・リムス』を聴く。レディオヘッドは非常に好きで、音楽家としてのトム・ヨークは尊敬している。しかし、このアルバムはレディオヘッドの作品の中でもっとも今ひとつの印象を受けた。まず今時CDで38分という短さが気になる。ビートルズの時代に戻ったかのようだ。しかし、ビートルズと違うのは一曲が長いので8曲しか入ってない。そういった点で量的な満足感が得られない。なんか損をした気がする。それでは質はどうなのだろうか。どの曲も、レディオヘッドの曲としてのクオリティは維持しており、そういう意味では悪くはないのだが、全体を通してのインパクトが弱すぎる。野球でいえば、7番打者と8番打者ばかりが揃ったようなラインナップなのである。フランス料理でいえば前菜とデザートだけしか出ないコース料理といえばいいのだろうか。個人的には5曲目のロータス・フラワーや8曲目のセパレーターとかは決して嫌いではないが、それでも、これらの曲がレディオヘッドのベスト盤に入るとはとても思えないのだ。というように考えると、レディオヘッド的には、このアルバムは駄作ということになるだろう。レディオヘッドでなければ、決して悪くはないと思うのだが、レディオヘッドのブランドで出してしまうと、まあせいぜい7番打者レベルの曲であるということだ。これはザ・ベンズが3番打者、4番打者、5番打者クラスの楽曲群を揃えていることなどと比べると対照的である。


ザ・キング・オブ・リムス

ザ・キング・オブ・リムス

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ホステス
  • 発売日: 2011/04/06
  • メディア: CD




ザ・ベンズ

ザ・ベンズ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1995/03/08
  • メディア: CD



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ロビー・ロバートソン『ハウ・トゥ・ビカム・クレアヴォヤント』 [ロック音楽]

ロビー・ロバートソンの13年ぶりの新譜を聴く。彼は1943年生まれだから67歳だ。しかし、この新譜からは年齢を取ることのマイナス面が全然、感じられない。それどころか、まるでワインのように年を取ることで味わいが深くなったかのような渋さと濃厚さである。それはギターだけでなく、ボーカルにも言える。滋味深さに溢れたボーカルは、このアルバムに素晴らしい重みを与えている(むしろ、6曲目のクラプトンのボーカルが浅く聞こえてしまうくらいだ)。超一級品の楽曲群に、最近のロック・アルバムでは感じたことのないような深い感動を覚える。3曲目のガット・ギターでのペコペコ・ソロのロバートソン節に懐かしい思いをするのは私だけではないだろう。ザ・ラスト・ワルツでクラプトンと競演してもまったく引けをとらなかったロバートソンのギターは本作品でも健在だ。本作品は、エリック・クラプトン、スティーブ・ウィンウッドといったロック興隆期に時代をともにした朋友だけでなく、トレント・レズナー、トム・モレロといった次世代の才能溢れる音楽家とも共演している。しかし、これらの音楽家と一緒にセッションしていても、圧倒的にロバートソンの音楽性が際立っている。もちろん、参加アーティストはロバートソンの脇役に徹しているのだろうが、そうさせるだけの存在感、そして彼のカリスマへの参加アーティストの敬意がうかがえる。日本版では、クラプトンの全面協力といった感じで、クラプトンの参加が本作品の価値を高めている、といったような紹介をしているが、クラプトンの存在感がむしろ霞むほどのロバートソンの素晴らしさが光る傑作であると思う。

ハウ・トゥ・ビカム・クレアヴォヤント

ハウ・トゥ・ビカム・クレアヴォヤント

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: 日本コロムビア
  • 発売日: 2011/03/23
  • メディア: CD



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『ビーディ・アイ』のデビュー作には度肝を抜かれた。まさに傑作である。 [ロック音楽]

オアシスのリアム・ギャラガーが兄のノエルを除いたオアシスのメンバーでバンドをつくったことは知っていた。私的には、オアシスはアルバム的には「モーニング・グローリー」で、シングル的には「スタンド・バイ・ミー」の表題作そして「オール・アラウンド・ザ・ワールド」でほぼ終わっており、その後も惰性でアルバムは買っていたが、それほど新たな感動はなかったし、最後のアルバムは駄作であるとさえ思った。ライブも観たし、まあ、今更オアシスを必要とするほど情けない人生でもないから、解散されても大丈夫だと思ったりしていた。だから、ノエルを除いてリアム中心のバンドの作品など、大したことないと高をくくっていたのである。だって、オアシス=ノエルでしょう?
 しかし、iTuneで試しに数曲を聴いてぶっ飛んだ。オアシス=ノエルじゃなかったんだ。というか、これはビートルズが解散して、リンゴやジョージがそれまで抑制された才能を一挙に開花して名作をつくったのと同じように、いやそれ以上に素晴らしい曲群であったからである。「モーニング・グローリー」と同レベルといわれると、それには劣るかもしれないが、「デフィネットリー・メイビー」のレベルにはあるかもしれない。少なくとも、オアシスの最後の方のアルバムよりは質が高い。オアシスから叙情性は削られたかもしれないが、むしろその結果、より骨太のロックンロールが展開されている。ひたすら8ビートだが、快感である。というか、この年齢になって新たなロックンロールの魅力を知らされたような名作である。久々にロックの名作が出された時に立ち会うことが出来た。嬉しい。急いでライブを観に行こうとしたら、すべて売り切れていた。しまった。

ディファレント・ギア、スティル・スピーディング(初回生産限定盤)(DVD付)

ディファレント・ギア、スティル・スピーディング(初回生産限定盤)(DVD付)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2011/02/23
  • メディア: CD



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ジョン・レノンとヨーコ・オノが出演したテレビ番組を観てヨーコ・オノに感心する [ロック音楽]

ユーチューブは凄い!何が凄いって、ジョン・レノンとヨーコ・オノが出演したテレビ番組の映像まで観れてしまうからだ。
http://www.youtube.com/watch?v=D1KZGPYjleE&feature=related
ジョンはこの時、まだ30歳。若々しいなあ。ヨーコ・オノは7歳上なので37歳だろう。やはり、相当の美人であることを知る。あと、メチャクチャ落ち着いている。ジョンがビートルズのメンバーであることを知らなかったという発言も本当なのだろうと思わせる貫禄がある。年を取った後の発言は今ひとつだなあ、と思っていたりしたのだが、このテレビ取材は格好がよい。感心させられた。

また、凄いのは観衆にジョンとヨーコに質問をさせ、ジョン達が真摯に答えているところだ。
http://www.youtube.com/watch?v=Maxj1mwU0xs&feature=related
私はポールのファンであったが、ジョンの知的さに結構、参った。やっぱり相当、格好いいね。特にストレートなロックン・ロールが好きというところなんて強烈に惹かれてしまう。


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『インディゴ・ガールス』 [ロック音楽]

インディゴ・ガールスのメジャー・レーベルのデビュー作。1989年に発表。ビルボードでは22位まで昇る。アトランタ郊外で生まれ育った幼馴染みの女性二人のフォーク・デュオであるが、とてつもなく重厚で存在感のあるボーカル、そしてテンションの効いたコードを多用する楽曲は聴く者を惹きつけてやまない。凄まじい才能が花開いた傑作である。シングル・カットしたのは1曲目の「クローサー・トゥ・ファイン」であるが、個人的にはインディーズ・レーベルで既に発表したものをアレンジしなおした「ランド・オブ・カナーン」と「プインス・オブ・ダークネス」がお気に入りである。しかし、他も捨て曲は一切ない質の高さである。トレーシー・チャップマンやスザンヌ・ヴェガが好みであれば、きっと気に入ると思う。


Indigo Girls

Indigo Girls

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD



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ELOの『ディスカバリー』 [ロック音楽]

1979年に発表されたELOの8枚目のアルバムで、長いキャリアの中で唯一全英ナンバーワンに輝いた、宝石箱のようなキラキラとしたポップ・ソングがギュウギュウ詰めに押し込まれている大傑作アルバム。その煌びやかさ、派手さは、まさにポップ・ソングの王道。記憶に残るメロディー、心を弾ませるアレンジ。どの曲もシングル・カットの候補になり得るというクオリティの高さは尋常ではない。その中でも、個人的には「ホーラス・ウィンプの日記」と「ロンドン行き最終列車」が印象に残る。このアルバムはジェフ・リンがポール・マッカートニーやエルトン・ジョンなどと同じスーパー・ソングライターの域に達していることを知らしめる。一家に一枚持っておきたいアルバムであろう。


ディスカバリー

ディスカバリー

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニーレコード
  • 発売日: 2001/07/18
  • メディア: CD



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ジェネシスの『フォックストロット』 [ロック音楽]

ポール・ホワイトヘッドのデザインによるジェネシスのアルバムは3枚出されているが、その怪奇的なアルバム・カバーと同様に、この3枚の作品においてジェネシスが創り出す音楽もどこかおどろおどろしい。というか、アルバム・カバーがあまりにも気味が悪いので、音楽もその影響を受けて猟奇的というか怪奇的に聞こえてしまうのかもしれない。歌詞も人間ベーコンとか、人と地球の共生の終焉とか、人食い雑草、とかが出てくるから、まあ確かに薄気味悪い。『フォックストロット』は、このポール・ホワイトヘッドがデザインを手がけた3枚のアルバムのうち最後に発表された3枚目になる訳だが、前作『怪奇骨董音楽箱』から格段に楽曲といい演奏技術といい飛躍した作品となっている。前作も大した傑作であり、その前の作品である『侵入』に比べて遙かに進歩していたことを考えると、この時期のジェネシスのメンバーの上達ぶりは目を見張るようなものがある。若い才能がどんどんと花開いていく過程が、今、聞き比べても分かる。そして、この『フォックストロット』は、『ナイフ』、『怪奇骨董音楽箱』と追求してきた「おどろおどろしい世界を表現する音楽」の頂点であると考えられる。『ウォッチャー・オブ・ザ・スカイ』というジェネシスの歴史を通じても名曲中の名曲を含み、また、『サパーズ・レディ』という20分間を越える超大曲をも見事に構成させることに成功している。その他の作品もどれも素晴らしく、怪奇風ドラマチック・プログレ・ロックというジャンルがあれば、まさに歴史上の傑作として位置づけられる。ジェネシス自身も、この方向性では頂点を究めたと思ったのかどうかは知らないが、以降は曲の世界観というよりかはメロディーと演奏でより人々を魅了させる曲づくりへとシフトしていく(眩惑のブロードウェイだけは、再び壮大なる世界観をつくりあげるが、これはバンドというよりかはピーター・ガブリエルの志向であったと考えられる)。ということで初期のジェネシスの代表作であると同時にプログレ・ロック史上の傑作でもあると考えられる。

フォックストロット

フォックストロット

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1995/11/29
  • メディア: CD



フォックストロット(DVD付)(紙ジャケット仕様)

フォックストロット(DVD付)(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
  • 発売日: 2009/01/28
  • メディア: CD



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ジョン・レノン没後30年 [ロック音楽]

今日12月8日はジョン・レノンの命日である。しかも没後30年ということで、本当に時が経つのはあっという間である。ジョン・レノンが亡くなった時、私は高校二年生であった。その時は結構、世の中だけでなく、クラスも大騒ぎで、ビートルズ・ファンだったらもう嘆きに嘆けよなといった感じで悲しみを強要されていたような気分になっていた気がする。私は、ビートルズは好きだったが、それほど悲しみを感じていなかったと思う。死に方は酷いなとは思って悲しくなったが、私の日常は同じように続いていくだろうなとは思っていた。しかし、日本での来日公演が企画されていたとかいうニュースを読んだばかりだったので、その点では残念だったなあと思ったのを覚えている。死ぬ直前に発表された『ダブル・ファンタジー』はあまり好きになれなかった。というのもジョンの曲とオノ・ヨーコの曲が交互に入っており、オノ・ヨーコの曲が気に入らなかったからである。高校生の時は、結構、好みがうるさかったのである。今、思うとこのアルバムはタイトル曲やウォメンなど名曲が入っているのだが、私は圧倒的にポール派であったので、ジョンはやっぱり今ひとつかな、などとたわけたことを考えていたかもしれない。だから、亡くなったから急に嘆いたりするのは不誠実だなと思っていたのである。

ジョンは40歳でなくなった。47歳の私はジョン・レノンの人生の100分の1も生きていないような気がするが、まあ、そういうことを知るのも私が生きているからでとりたて羨ましくもない。オノ・ヨーコ好みじゃないし。空港に自分の名前がついたとしても嬉しくもないしなあ。しかし、無邪気にジョン・レノンが好きになれないというのは私の人間としての器の小ささも物語っているような気もする。なんでジョンが好きになれないんだろう。もしかしたら、ジョン・レノンのファンもどきを鬱陶しいと思っているからかもしれない。私はビートルズが好きだったが、圧倒的にポールの曲が好きだったので、なんかポールをバカにしていたジョンに抵抗を覚えていたのかもしれない。何を書きたいかも分からなくなってきたが、ジョン没後30年ということで、とりあえず私のジョンの曲ベスト10でも披露させてもらいたい。
1. Tomorrow Never Knows
2. A Day in the Life (この曲ではPaulの作曲部分は糞)
3. I am the Walrus
4. Come Together
5. Love
6. Mind Games
7. Strawberry Field
8. In My Life
9. Because
10. A Hard Day’s Night
というか、こうやって整理しているとジョンの曲もとてつもなく素晴らしいものが多いことに愕然とする。ポール・マッカートニーが晩年、俗物ぶりを発揮しまくっていることを考えると、何か死ぬことについても考えさせられてしまう。まあ、久しぶりに今日はジョン・レノンの曲でも聴くか。こういう時はiTuneは便利である。恐ろしいストックから検索して聴くことができるからだ。

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EBTGの『Idlewild』 [ロック音楽]

1988年に発表されたエブリシング・バット・ザ・ガールの4枚目。バンド名通りの「本当に普通な女の子」(ただし、歌声はまったく普通でない)の青春時代の甘酸っぱさと切なさが、美しいメロディーとトレーシー・ソーンの比類無き素晴らしき歌声によって表現されている。リズム・マシーンが無機的に刻むリズムに、アコースティックの楽器の温かさ、そしてトレーシー・ソーンの「生命力」がそのまま息づいているかのようなヴォーカル。もう心が掴まれるような感動を覚える傑作である。宝石箱のようなアルバムであり、どの曲もキラキラと輝いているが、特に「Love is here where I live」と「I always was your girl」、「Goodbye Sunday」が素晴らしい。

Idlewild

Idlewild

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sire / London/Rhino
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD



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ジェネシスの『アバカブ』とジェネシスのロック殿堂入りの関係性 [ロック音楽]

ジェネシス11枚目のスタジオ・アルバム『アバカブ』は、少なくとも個人的にはジェネシス史上最高傑作ともいえる『デューク』に次いで発表されたアルバム。本来的にはとてつもない期待をもってよい筈だったのだが、当時は期待と不安が入り交じった複雑な気持ちでレコードに針を落とした。というのは、『デューク』が出た後、フィル・コリンズが初のソロ作品を発表していたからである。それまで、他のプログレ・バンドの追随を許さぬ超絶ドラムそしてピーター・ガブリエルがいなくなった後はボーカルとフロント・マンを担っていたとはいえ、作曲面ではほとんど貢献してこなかったコリンズであったが離婚そして『デューク』の制作過程において、本人も気づかなかったソング・ライターとしての能力が開花する。そして、それまで蓄積されていたものが一挙に顕在化する。ビートルズ解散後のジョージ・ハリソンのようなものか。このソロ・デビュー・アルバムの『フェース・ヴァリュー』はそんなに悪いものではなかったのだが、どこかポップス調で軽くて、ジェネシスの重厚さとはちょっと違っていて、多少抵抗を覚えた。ということで、『アバカブ』がその影響を受けないといいのだが、という不安を当時は抱いていたのである。

さて、それで実際、聴いてみると『デューク』と『フェース・ヴァリュー』を合わせたような内容のものとなっていて、期待に応えてくれた部分と不安が現実化してしまった部分とが共存するアルバムになっていた。例えば『ミー・アンド・サラ・ジェーン』や『ドド』はまさに『デューク』路線で、トニー・バンクス節が炸裂して個人的には非常に好きな曲である。しかし、一方で『ノー・リプライ・アット・オール』はメロディこそ素晴らしいが、アース・ウィンド・エンド・ファイヤのホーン・セクションが入ったりして、それまでのジェネシスとは全く異なるタイプの曲であった。そして、だめ押しが『フー・ダニット』。これは、それまでの重厚なるアンサンブルのジェネシスの曲とはまったく一線を画す曲で、当時は大いに絶望した。ということで、『アバカブ』に対しては非常に複雑な気持ちを持っている。そして、それ以降、ジェネシスはむしろ『ノー・リプライ・アット・オール』、『フー・ダニット』路線を突き進んでいき、それでも素晴らしい曲を幾つかは提供してくれるのだが、トニー・バンクス作詞・作曲の『ミー・アンド・サラ・ジェーン』のような繊細でいてドラマティックで、つづれ織りのように複雑な音楽を創ることはなくなってしまった。しかし、そのことで一般的な人気を博すことになり、今年にはロックン・ロール・ホール・オブ・フェームに殿堂入りする。ということで、イエス、キング・クリムゾン、ELPも成し遂げたことがない快挙?(イギリスのプログレ系だとピンク・フロイドのみが殿堂入りをしている)を達成したことは、ジェネシスのメンバーにとってはよかったのかもしれない。

ところで、この殿堂入りのイベントでのフィッシュのスピーチと演奏が非常にいい。トレイ・アネステシオはジェネシスのファンでなければ決して言えない素晴らしい紹介をしている。関心がある人は下記をチェックしてください。ジェネシス・ファンであれば感動すると思います。

http://www.youtube.com/watch?v=MHV1TAwujds&feature=related


Abacab

Abacab

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Atlantic / Wea
  • 発売日: 1994/11/29
  • メディア: CD



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ジェネシスの『怪奇骨董音楽箱』 [ロック音楽]

ジェネシスのメジャー・デビューでは2枚目、実質3枚目のアルバム。前作とメンバーが交代し、ドラムにフィル・コリンズ、そしてギターにスティーブ・ハケットが入る。アンソニー・フィリップスは作曲者としては飛び抜けていて、ジェネシスの支柱的存在だったようだが(ピーター・ガブリエルが脱退した時、マイク・ラザーフォードはアンソニー・フィリップスが辞めた時の方がずっと落胆したと述べていた)、ギターに関しては、ハケットの方がはるかにうまい。技術的な点はもちろんだが、ハケットの方が音づくりが上手く、また、そのリフやソロがはるかに攻撃的であり、アルバムにピンと張るような緊張感をもたせることに成功している。フィル・コリンズは、この当時からもう相当、手数が多いドラムを叩いているが、まだ、このアルバムでは蛸ドラムの片鱗が見え隠れする程度である。

前作の『侵入』でも「ナイフ」のような相当、攻撃的でアドレニンをどっと分泌させるようなハードな曲もあったが、その他は比較的牧歌調であったのに比べて、このアルバムの曲群は遙かにドラマティックでまた緊張感を孕んでいる。大曲は「ミュージカル・ボックス」、「ザ・リターン・オブ・ザ・ジャイアント・ホッグウィード」そして「サルマシスの泉」であるが、それらの間に入っている小曲群の質も高く、欠点のないアルバムである。二人の新メンバーの加入ということもあるが、前作より数段、ミュージシャンとしてのレベルが上がっている。特に、トニー・バンクスのキーボードは、もうバンクス節とでもいうべき、絶妙なバッキングと強烈な印象を残すソロを幾つかの曲で披露している。

それにしても邦題の『怪奇骨董音楽箱』というタイトルはおどろおどろしい。その後、このバンドが、「インビジブル・タッチ」などという軽薄なポップ・ロックを演奏するとは、誰がこの時、想像し得たであろうか。
Nursery Cryme

Nursery Cryme

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Atlantic / Wea
  • 発売日: 1990/01/01
  • メディア: CD



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ジェネシスの『月影の騎士』 [ロック音楽]

ジェネシスの『月影の騎士』。英語のタイトルは『セリング・イングランド・バイ・ザ・ポンド』で、『イギリスを1ポンドで売り払う』というものだから、『月影の騎士』とは関係ない。おそらく、このタイトルは1曲目の「ダンシング・ウィズ・ムーンライト・ナイト」から採ったのであろう。アルバムの表紙の絵は「夢」というタイトルであり、このアルバムのためにオリジナルではなかった芝刈り機が描かれている。「アイ・ノウ・ファット・アイ・ライク」の歌詞に出てくるからで、表紙はむしろこの曲のイメージである。ということで、ちょっと分かりにくい。

さて、そんなことはともかくとして、このジェネシスの5枚目のスタジオ・アルバムは、それまでのおどろおどろしい怪奇趣味のコンセプトに包まれていた以前のアルバムとは一線を画し、プログレ・ロックらしい美しくも複雑なメロディが強烈な存在感を持つ曲群に彩られている。フロントマンであり、バンドの顔でもあったピーター・ガブリエルと同じ前線に他のメンバーも躍り出て、ピーターが在籍したジェネシスのアルバムでは最も5人のチームプレイがうまく機能し、その結果、奇跡的な素晴らしい化学反応が生じている。「ファース・オブ・フィフス」では、天空を翔ているかの如くのスティーブ・ハケットのギター・ソロが聴けるが、これはおそらく彼のジェネシス在籍時の最高の演奏ではないかと思われる。同様に、「シネマ・ショー」での後半のトニー・バンクスのキーボード・ソロも彼の最高の演奏の一つであり、これはその後、ジェネシスのライブのハイライトとなる。アルバムの構成としては、1曲目、3曲目、5曲目、7曲目といった奇数曲に10分程度の大曲を、偶数曲にリエゾン的な短い曲を配置している。大曲はどれもが傑作でありケチのつけようがないが、短い曲も「アイ・ノウ・ファット・アイ・ライク」が当時、ジェネシスの唯一のヒット・シングルとなるなど、クオリティはどれもが高く、捨て曲は一切ない。「シネマ・ショー」から「アイル・オブ・プレンティ」にそのまま流れ込み、1曲目の「月影の騎士」のメロディーに戻るという循環させる構成は、その後、「トリック・オブ・ア・テイル」、「セコンド・アウト」、「デューク」などでも用いられることになるが、このアルバムはその手法の先駆けとなった。ピーター在籍時のアルバムの中では、バンドの総合力が最も発揮された傑作であり、ジェネシスというバンドが凄まじい才能の集合体であるということが理解できる。

月影の騎士(紙ジャケット仕様)

月影の騎士(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1999/03/31
  • メディア: CD



セリング・イングランド・バイ・ザ・パウンド

セリング・イングランド・バイ・ザ・パウンド

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1995/11/29
  • メディア: CD



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