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カンサス『永遠の序曲』 [ロック音楽]

カンサスの4枚目である『永遠の序曲』は、アメリカ・プログレ・バンドの一つの到達点ともいえる傑作であると思います。何しろ『伝承』に始まり、『壁』と続く、流れは凄まじいクオリティの高さです。そして、最後(CDではボーナス曲が2曲入っているのでラストではないですが)の『超大作』のまさにプログレ・ロックの王道を行く重厚さ。しかし、この3曲があまりにも飛び抜けて優れているので、アルバムを通して聴くと他の4曲のポップさが気になります。3人の図抜けたスーパースターと4人の普通のプレイヤーから構成されるスポーツチームのような印象を受けてしまうのです。もちろん、この3曲だけで、アメリカ・プログレを代表するアルバムとして位置づけられる本作ですが、ちょっとトータル・アルバムという観点からだと、完全さには不足しているかなという印象を受けます。いや、残りの4曲もクオリティは悪くはないのですけど。あと、シャイアン・アンサム(ワイオミングの都市であるシャイアンの賛歌)という曲が『黙示録』という邦題になったり、ファッツ・オン・マイ・マインド(私の心にあること)という曲が『深層心理』という邦題になったりするのは、ご愛敬といえばそれまでですが、ちょっと狙い過ぎでしょう。カンサスは、確かにプログレ・バンドの範疇に入るとは思いますが、そこまで深刻ではないポップなノリも有しています。なんせ、スティーブ・ウォルシュはジョッギング・パンツでライブで歌ってしまうくらいですから。ということで、もう、絶対的に素晴らしいと手放しでは絶賛できないのですが、アメリカ・プログレ・バンドという範疇では、間違いなく傑作だと思います。


永遠の序曲

永遠の序曲

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2004/10/20
  • メディア: CD



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