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ドイツの都市計画家達との議論で新しい知見を得られた [都市デザイン]

ドイツの都市計画の先生達との議論に参加する。そこで分かったのは、ドイツは都市計画学科のカリキュラムに都市経済学とかがないらしい。したがって、コスト感覚がしっかりとしていなくて、それをとても問題視していることが判明した。不動産経済とかをしっかりと分かる都市計画家がいないらしい。不動産投資をバックアップする学問がなかなか発達していないので、それがドイツの欠点であるとさえ言う。
 マサチューセッツ工科大学や明海大学とかにある不動産学部のようなものが、どうもドイツにないようなのだ。おそらく日本の不動産学会とか、アメリカのUrban Land Instituteみたいな組織もないのだろう。いや、私の邪推なので間違っていたら申し訳ないですが。
 さて、ただドイツは不動産業界が弱いのは確かである。ドイツにも不動産家は結構いて、宅地開発なども手がけていたようなのだが、世界大恐慌でほぼすべて倒産したそうだ。そのような経緯もあり、政治力のある不動産屋が出てこなかった。あと、ドイツの特性として土地利用規制などをしっかりとやることを好むという風土があったので、金儲けのために勝手をさせないという空気があったのと、郊外の多くは王家とかが所有していたので開発できなかった、ということもある。これらの王家の土地はそのまま市有地になったりしている。これが、ドイツはアメリカや日本と違って、だらしないスプロールが生じなかった二つの理由だと考えている。すなわち、土地利用規制がそもそも厳しいということと、そのような規制を無理矢理変えてでも郊外の宅地開発をして儲けようという不動産業者が不在だったということだ。
 私はドイツの都市計画に経済的な要素が入ってないことを、公共性とかを優先しているからだろう、と勝手に評価をしていたのだが、ドイツ人達はそれをマイナスと捉えていたというのが大変興味深かった。いや、経済優先でいったら、ドイツから公共交通、全部なくなってしまう。公共交通をむしろ生存権として位置づけ、民間事業ではなく公共事業として公共事業体が責任もってサービスを提供する。赤字は税金から補塡。潔くて素晴らしい、と関心していたのに、ドイツ人はその経済性の意識の無さ、そして、都市経済学のような経済的な視点が欠けていることを問題だと捉えていたとは。なんか、がっかり。
 ただ、私がそういう経済性を考えないところが、ドイツの都市計画の素晴らしいところじゃないのか、ローカル線を廃線にするような考えの政策が正しいとは思えない、そもそも私はドイツのそういう知恵を学びに来ているのだ、と主張したら、4人いた先生のうち1人はふむふむと聞いてくれた。この先生がいたのは結構、救いであった。この先生は都市デザイナーなのだが、なんとハンブルクのハーフェン・シティの設計に関わって、エルベ川が氾濫した時は、一階は浸水してもしょうがない、というアイデアを出した本人であった。感動した。ということで、ドイツ人があまり賢いわけではないな、ということを確認したがっかりした日ではあったが、とても貴重なネットワークもつくることができた。ドイツくんだりまで来た甲斐があったといえるような日であった。

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