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ジョー・ウォルシュの『ロスからの蒼い風』 [ロック音楽]

 イーグルスのギタリストとしても活躍するジョー・ウォルシュの1978年の作品。ホテル・カリフォルニアが世界を席巻した後に出されたアルバムだが、世界的なバンドになった後も、ジョー・ウォルシュのレイドバックした雰囲気が満ちあふれていて、なんか聴いていると心がほんわかしてくるようなアルバムだ。アルバムのハイライトは、邦題では「この人生に賭けて」との迷訳がつけられた「Life’s been good」。この曲はシングル・ヒットもしたし、イーグルスのコンサートでも演奏されていたが、このタイトルは「人生、そんなに悪かない」とでも訳すべきである。「ファンが欲しいというので、アルバムをつくったらゴールド・ディスクになって、俺がグレートだっているファンレターを書いてくるのさ。これまでのところ、俺に人生、悪くない」みたいな歌詞で、もう、曲調といい、イントロのリフといい、ギター・ソロといい、良い意味で肩が抜けている。他の曲も、なんか全く気張っていなくて、聴いている方も、そんな肩肘張っている必要ないよね、みたいな気分になってくる。これは、直前のイーグルスの『ホテル・カリフォルニア』の曲が「カリフォルニアにはもう夢はない」(Last Resort)とか、「チェックインはできるけどチェックアウトできない」(Hotel California)とか、「あっという間に年とっちゃう」(Pretty Maids All in a Row)など、暗いというかマイナーな曲が多かったのと対照的である。『ホテル・カリフォルニア』はBマイナーでアルバムが始まるが、『ロスからの蒼い風』はG。最後の曲も、滅茶暗い歌詞の「Last Resort」に比べて、こちらは適当にやったら人生上手くいっちゃった的な歌詞の「Life’s been good」。思うに、イーグルスの根暗的な要素(なんせヒット曲が「デスペラード」とか「呪われた夜」とか「偽りの瞳」とか、暗い歌詞のものばかりですからね!)に浸ったので、このような根明なアルバムをつくってジョー・ウォルシュ的にはバランスを取りたかったのかも知れません。勝手な推測ですが。
 さて、このアルバムは「Life’s been good」が有名ですが、他の曲のクオリティも極めて高く、捨て曲はありません。「Over & Over」のスライド・ギターのソロを初めとして、ギタリストとしてのジョー・ウォルシュも八面六臂の活躍をしており、ギター小僧も必聴のアルバムの一つだと思います。
 最後にアルバム・タイトル「But, Seriously Folks」は、「いや、お前らまじだって」とでも訳すべきで、『ロスからの蒼い風』はすかしすぎである。ジョー・ウォルシュはファンにもスターぶるところが全くないという評判であり、そこが彼の一番の魅力であるのだが、日本では、むしろ格好よいロック・スターを彷彿させるような訳がなされているところが滑稽だ。とはいえ、このアルバムでの曲群、ギター・ソロはとても乾いていて、ロスの乾燥した涼しい風のような印象を与えることは確かである。


ロスからの蒼い風

ロスからの蒼い風

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2011/02/23
  • メディア: CD



But Seriously Folks

But Seriously Folks

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Elektra / Wea
  • 発売日: 1995/04/12
  • メディア: CD



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