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ベトナム・コーヒーは変わった味がする [B級グルメ雑感]

ベトナムは世界でコーヒーの生産量が二番目に多い国である。コーヒーといえば、ブラジル、そしてコロンビアだと勝手に思っていたのだが、いつの間にかコロンビアはインドネシアにまで抜かれて4位になっていた。ベトナムがコーヒーの生産量を大幅に伸ばしたのは1990年代であるそうだ。

そして、ベトナム・コーヒーなのだが、バニラの味がする。非常にユニークな味だ。そして、コーヒーはそうとう苦い。どうも、コンデンス・ミルクを加えているようだ。なぜ、ミルクではなくてコンデンス・ミルクかというと、コーヒーを作り始めた19世紀のベトナムはミルクを入手することが難しかったためである。個人的には、コーヒーはブラックが好きなので、このベトナム・コーヒーはあまり有り難くはない。

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ハノイにてベトナムつけ麺を食べたら美味かった [B級グルメ雑感]

ハノイでの昼食は、ベトナム的な料理を食べたいと強く思い、「地球の歩き方」などを参照して、旧市街地にあるDac Kimという店を訪れた。ここは、ベトナムつけ麺であるブン・チャーで有名なお店である。1966年創業ということなので、なかなかの老舗だ。注文すると、大盛りの米麺である「ブン」と、肉団子、焼き肉、青パパイヤのスライスしたものが入ったヌックマムベースのたれ、さらに大量の香草が出てくる。このタレにブンを入れて食べるのだが、これがなかなか美味しいのだ。個人的には初めて食べたような味であるが、なかなか箸が進む。偶然、斜め前に日本人の中年男性が座ったのだが、お互い、「これは思ったより随分と美味しいですね」と意見が合った。
 米麺はなかなか美味しいと思う。なぜ、米余りの日本で普及しないのかが不思議だ。どんどん米麺にして消費するといいと思ったりもする。

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日本海の蟹三昧を生まれて初めて体験したが、それほど有り難くなかった [B級グルメ雑感]

関西にいると、もう冬は日本海の蟹を食べなくてはいけないような、妙なプレッシャーを感じる。JR西日本は蟹列車まで運行されている。結構、蟹三昧コースはいい値段がする。通常1万円ぐらいの宿の値段が3万円と3倍ぐらいに跳ね上がる。これは、しかし、それだけの価値があるのではないか。これだけ関西の人々が蟹を食べに日本海まで行くというのは、それだけ有り難いからであろう。少なくとも、経験してもいないのに、それをどうこう判断することはできない。

ということで、日本海に行く予定ができたので蟹宿に泊まり、蟹三昧を体験することにした。泊まったのは新温泉町の湯村温泉の旅館である。さて、その蟹三昧コースであるが、このような御時世であるのでロシアの蟹は食べたくないので、松葉ガニコースにした。これで倍以上の値段差が生じるのだが、私のお金が砲弾になってウクライナの人を傷つけるようなことはしたくないので、これはしょうがない。さて、出てきたのは通常の茹でガニと蟹焼き、蟹のしゃぶしゃぶ、さらに蟹も含んだ刺身、そして蟹も含まれた天ぷらなどである。いやはや、凄まじい量であり、これを完食できるのはフード・ファイターぐらいじゃないか、と思うような量だ。食い倒れの食文化なのだろうか。私は相当の大食漢かと思うが、それでも3分の1は残した。そもそもこの量の3分の1ぐらいで、余裕で十分かと思う。

味はそんなに感動するほどはよくなかった。特別な蟹の味覚を体験できるか、と期待したが、これまで食べてきたような蟹と同じものであった。蟹は嫌いではないが、そんな特別に美味しいとも思わないので、まあ一度、経験したらもう十分というようなものであった。こんなことに何故、人々は熱中できるのか。若干、理解に苦しまなくもない。

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タグ:日本海
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利尻の人はウニを食べない!? [B級グルメ雑感]

利尻島に来ている。利尻島といえば、ウニ丼である。宿の夕食でちょこちょこっとウニが出てきたのだが、なかなか美味である。とはいえ、ウニ丼のあの大量なるウニを食べたいとはあまり思わないのと、何しろ値段が高い。100㌘3500円ぐらいで売られているので高いのは当然なのだが、一杯4000円、5000円はちょっと手を出す気分になかなかならない。
 そこでレンタカーを借りる時、事務をしていた現地の人達にウニ丼はやっぱ食べた方がいいかを確認すると、利尻の人達はほとんど食べないことを知る。正月に食べるぐらいか、外地の人が来ると見栄で出すぐらいだとのこと。その理由は、何しろ高すぎるからだという。ウニ丼とかはまず食べないそうだ。驚きだ!ブラジルの多くの人がブラジルの最高級のコーヒー豆のコーヒーを飲まないのと同じような理由であろうか。
 まあ、個人的にウニ大好きであるし、寿司屋に行くと、ウニをいつ注文するのかが、一番の懸案事項であったりもするのだが、確かに、この高額さだと躊躇するかもしれない。それに、せいぜいお寿司でいうところの二貫ぐらいで量的にも十分であるし、そんなにウニ尽くしのように食べたいとも思わないからだ。これは、ウニ丼だけでなくいくら丼でも言える。うな丼やしらす丼とかだったら大丈夫なのだが、ウニはちょっと丼で食べるには強烈過ぎるかもしれない。
 ということで3泊したが、ウニ丼は食べず。代わりに利尻昆布出汁のラーメンと、ホタテフライのカレーを昼食では食べた。

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<利尻島ウニ種苗生産施設でのウニ>
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四川料理は流石に美味しい。が、いい気になって食べていたらお腹を壊した [B級グルメ雑感]

中国料理は4つに大きく分類されるようだが、そのクオリティからすると四川料理と広東料理の二頭であると捉えられているようだ。そうなのか。さて、そのうちの一つの四川料理であるが、その特徴は唐辛子や花椒などの香辛料を調味料として多用していることである。私が滞在している成都のホテル周辺はレストラン街らしく、レストランが多いが、それらの多くは火鍋料理である。火鍋料理以外のレストランに入ろうとすると、ちょっと探さなくてはならないほどだ。
 火鍋はクアラルンプールとかバンコクでスチームボートという名で食したこともあるし、日本でも食べたことがあったが、流石、本場は驚くぐらい美味しい。鴛鴦火鍋と呼ばれている鍋は、唐辛子が強烈に効いた赤いスープと比較的マイルドな白いスープとに二つに仕切られている。どうも見ていると野菜などは白いスープに入れるようだ。これらのスープにしゃぶしゃぶのように豚のホルモンや鶏肉を入れて、それを薬味を入れたセサミ・オイルに浸して食べる。薬味は葱やニンニク、胡椒、砂糖、唐辛子(なぜ、さらに辛くする)、パクチーなどを自分で適当に調合する。セサミ・オイルで辛さを調和するので、まあまあ食べられる。とはいえ、辛い、旨いと強烈で多彩なる香辛料の味覚攻撃に舌が喜ぶが、私はあまりお腹が強くないので注意深く食べていた。舌の快楽のために身体を壊すわけにはいかない。
 さて、接客はほとんど火鍋が多かったことや、ホテル周辺で食事をしようとすると火鍋だらけだったのだが、やはり火鍋以外の四川料理も食べたい。ということで、麻婆豆腐と担々麺を食べに行った。
 麻婆豆腐は火鍋以外の本格的四川料理屋にもメニューにはなく、もしかしたらこれは焼きそばやチャーハンのような庶民的な料理なのかもしれない。ということで、普通の四川料理屋を探して入って食べたのだが、これは人生初めてというぐらい美味しかった。香辛料の使い方が上手すぎるのだ。四川料理の辛さを唐辛子や花椒ではなく、化学調味料を使う場合が多いそうだが、ここは別に高い店ではないが、しっかりとこれらの香辛料を使っているのだろう。鯉の料理を注文したが、これは、もう香辛料の海に鯉が浮かんでいるような料理であった。これも香辛料の美味しさが際立っていた。
 そして坦坦麺であるが、これは本当、立ち食いそば屋のようなお店で出ている。9元ということで150円ぐらいか。麺は今一つだが、流石スープは美味しいと感心したのだが、これを成都で一緒になった東京大学に留学していた北京大学の先生に言うと「いやいやそれは逆でしょう」と言われた。スープは日本のラーメン屋の方が美味しいが、麺はまだ中国には及ばないとのこと。そうなのかなあ。それほど納得しなかったが、私が食べたのは日本でいえば日高屋のラーメンみたいなものなので、もしかしたら絶品の麺が中国にはあるのかもしれない。
 これら以外には、私が日本で食べ慣れているものとして、青椒肉絲、回鍋肉、排骨麺、排骨飯などを食べた。さらに、火鍋以外の高級四川料理レストランにワークショップの初日と最終日に連れて行ったもらったが、そこでは麻婆茄子、棒々鶏、鶏肉とピーナッツの辛子炒め、辣子鶏などを食べた。どれもが、日本で食べたのとは比較にならないぐらい美味しく、本当感心する。
 さて、しかし旅行の前半は注意をしていたのだが、二週間ぐらいこちらに来ていて、徐々に舌が辛さに馴れていたこともあり、最終日の高級四川料理レストランでは、こちらの強烈(50度以上)なお酒と一緒に、思わず「旨い、辛い、旨い、辛い」と食いしん坊に食べていたら、流石、その日の夜に強烈な下痢を体験してしまった。舌が辛さに馴れても、お腹は馴れてはいなかったのだ。どうも、強烈に辛い火鍋を食べて死んだ人もいるそうだから、気をつけないといけないと反省した。いや、あとの祭りですが。

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(火鍋。見ての通り、強烈に辛いです)

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(火鍋には豚、鶏、羊などを入れます)

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(タケノコの名産地なので、タケノコ料理もたくさんあります。これはあまり辛くなかったです)

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(地元の名酒だそうです。50度以上ある、米老酒のようなものでしょうか)

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(貝割れを豚肉で巻いた料理)

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(キノコスープ。これは絞めで出てきます。辛くありません)

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(スペアリブのような料理。山椒が効いていて大変美味)

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(魚料理。多くが川魚です)
タグ:四川料理
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まつおかのお弁当を食べて、改めて崎陽軒の弁当の凄さを確認する [B級グルメ雑感]

新幹線で新横浜と京都とを往復するような生活を送っている。必然、駅弁で食事をすることも少なくない。新横浜から乗る時はもうこれは崎陽軒しかない。若い時には、他を試したことがない訳でもないが、もう崎陽軒のクオリティがダントツである。これは、シューマイ弁当に限ったことではない。他の弁当もそうである。
 さて、しかし今日はたまたま東京駅から乗ることになった。そして、ちょうどお昼頃である。お弁当を買うことにした。東京駅でも崎陽軒の弁当が買えない訳でもないが、それもあまりにもワンパターンだろう、ということで他を物色する。東海パッセンジャー・サービスのお弁当はまず論外なので、これは大丸の総菜屋に行く。そこで「まつおか」のお弁当が美味しそうに見えたので購入した。名古屋の方のお弁当屋さんのようで購入したのは鶏肉弁当であった。
 食べてみたけど、あまり美味しくない。おかずはそれほど悪くはなく、美味しくないと感じさせているのがごはんであることが分かった。ごはんが今一つの状態になっているのである。これは崎陽軒のお弁当との大きな違いである。崎陽軒のお弁当はごはんが美味しいのである。崎陽軒はごはんを蒸気炊飯方式で炊いている。また、どうもお弁当箱が経木でつくられているのだが、これがどうもお櫃のような効果があるようで、冷めても美味しく食べられるようだ。
 いつも食べていると有り難みが薄れるが、たまに違うものを食べると、改めて崎陽軒の有り難みを知った。

タグ:崎陽軒
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ステーキの焼き方 [B級グルメ雑感]

家のそばに素晴らしい肉の卸屋がある。ここで買う肉は本当に素晴らしく美味しい。そして安い。そういうこともあって、ここ最近、ステーキ屋には一切行かなくなっている。いや、ステーキ屋どころか焼き肉屋にも行かなくなってしまった。さて、ただステーキを家で焼くとなると、ちゃんと焼かないと、せっかくのステーキを台無しにしてしまう。そのため、焼き方はちゃんとした方法でやらなくてはならないのだが、最近は、ユーチューブでいろいろと焼き方を教えてくれるので、本当、有り難い。
 一方で、いろいろと比較すると、なんかプロであるにも関わらず牛肉分かってないんじゃないの?というような輩もいたりして、いやはやユーチューブ恐るべしである。私が個人的に納得したのは、「生活クラブ生協連合会」の焼き方。
 https://www.youtube.com/watch?v=g1ccDLQ43Ss
 塩と胡椒は焼く前にはふらない、などの拘りがあるが、しっかりとその理由も説明してくれている。当然、焼くための脂は牛肉の脂だ。
 逆に、もしかして素人だから馬鹿にしている?とさえ思わせるのが「いきなりステーキ」の社長が教えるステーキの焼き方である。
https://www.youtube.com/watch?v=ivKEznA_BA8
 いきなり、サラダ油。しかも焼く時間が片側4分。焼きながら肉をフライパンの上で回すというのも、生活クラブを始めとして他の焼き方指南者とは違う。生活クラブの片側1分の方がレア、ミディアム・レアなどに対応できる正しい焼き方でしょう。ちょっと、これをみると「いきなりステーキ」には行きたくなくなりますね。というか、まあ、基本、外食ではステーキ食べなくなっているので、あまり私とは関係ない話ですが。
 
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(今日はサーロイン・ステーキを焼いてみました。100グラムで1400円。220グラムですので一枚3000円ですが、どんな大トロにも負けないような美味しさです)

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若者は本当はそんなにラーメンが好きではない [B級グルメ雑感]

私のゼミ生は好き嫌いが多い。ソーセージが食べられない、ネギが食べられない、トマトが食べられない等、もう食べられないもの尽くしだ。しかし、そのゼミ生が異口同音に「ラーメンは好きだ」と言う。それじゃあ、ラーメンを調べるか、と言ってラーメンをゼミで調べることにした。とりあえず、そこで設けたゼミの課題は「伏見・深草周辺のラーメン屋のラーメンを食べること」である。この課題を通じて、ラーメンについてゼミとしていろいろと知識や知見が集積されるだろうと期待した。
 さて、しかし、ゼミ生はこれらの課題をしない。少なくとも、これまでラーメンを食べていたペースよりラーメンを食べたような形跡は一部の女子学生を除くと見られない。普通、ゼミの課題がラーメンを食べて、その特徴をラインにアップするというものだったら喜ぶのではないかと思う。しかし、そうではなかったのである。
 それで分かったことは、ゼミ生はとりあえずラーメンが好き、というと格好いいので言っているだけだということだ。これは、なんか私のような50代のオヤジが現在、クィーンが好きだというと、時代的に正しいというのと似ている。本当はそんなに好きでもないのに、好きというと「通」というか「分かっている」ように思えるので、とりあえず言っている。これは、団塊の世代のオヤジ達が、ビートルズをろくに聴いていなかったのにビートルズが好きだった、というのと同じである。リバプールとか一緒に行くと、やたらビートルズゆかりの観光施設に連れて行けとこのような団塊の世代オヤジは主張するので、ストロベリー・フィールズやペニー・レーン、キャバーン・クラブに連れて行っても、それらの場所の意味も分かっていなかったりするが、そういう団塊のオヤジと同様なのではないかと思うのである。
 ラーメンがあまり好きでない、とか言うものならば、ちょっとグルメじゃない、というか分かってないね、とか言われるような雰囲気が若者の間に漂っているような気がする。ということで、皆、若者はにわかラーメン評論家ぶりたがり、皆ラーメンが好きだと演じるのだが、実はそんなに好きじゃない、ということがゼミの課題をラーメンにして分かった。
 なぜなら、麺類でいえば好きな順で、うどん、そば、パスタ、ラーメンという私の方がラーメンをどの学生よりも食べたからである。そして、ラーメンが好きでもないのに、たくさんのラーメンを食べていたら、何となくラーメンが見えてきた。例えば、京都ラーメンは大きく2つ(第一旭系の近藤製麺を使う醤油豚骨系と極鶏に代表される一乗寺を中心としたどろどろ系)に分類されることが分かったし、つけ麺きらりがこれだけ支持されるのは麺が美味しいからだ、なども昔ならよく分からなかったが、たくさんラーメンを食べることで見えてきた。
 ビートルズのよさを知るには、ビートルズの曲を聴きまくることが必要である。というか、好きだったら聴きまくるであろう。私は、ほとんどビートルズの曲をジョンがつくったか、ポールがつくったかを判別できる(ジョージは当たり前)。これは、聴きまくったからである。ラーメンも好きではないけど、たくさん食べていたらちょっとラーメンが分かってきた。とはいえ、それでラーメンが好きだとは言えない。
 消費社会においては、自分のイメージが、何を消費するかで形成されてしまうという側面がある。そのため、自分が実際は消費していないのに、こういうことを消費しているという情報を発することで自分のイメージを操作しようとするのは、分からなくもない。ただ、自分が好きでないものや理解していないもので無理矢理、イメージを形成させようとしなくてもいいんじゃないかな。
 ちなみに、私も昨今のクイーン・ブームで『ボヘミアン・ラプソディ』を観たり、また、ちょっとクイーンの曲を聴いたりしたが、改めて気づいたのは、私が愛するジェネシスはもちろんのこと、クラプトンやイエス、ドゥービー・ブラザース、ZZトップ、ツェッペリン、イーグルスとかの方が個人的にはクイーンより好きだな、ということである。悪くはないけど、そんな素晴らしくもない。
 別にラーメンが好きじゃなくてもいいのだから、好きだといって自分を誤魔化す必要はない。ただ、好きじゃなくても、ラーメンがゼミの課題になったのだから、しっかりと課題をこなす(ラーメンを食べる)ことをしないと駄目だ。食べることによって初めて、ラーメンが見えてくるし、それによって、自分がラーメンを好きなのか嫌いなのかも分かる。それはラーメンという視座によって自分の存在を確認する行為でもあるのだ。逆にいうと、ラーメンをしっかりと食べていないから、ラーメンが好き、と無責任に言えるし、70年代の音楽をしっかりと聴いていなかったら、安易にクイーンが好きとも言える気もするのである。
 まあ、このクイーンのことに関しては、相当、反論もありそうなので、また機会があったらこの考えについてもう少し、丁寧に書いてみたいとも思う。とりあえず、今日の駄文では、若者はラーメンが好きというと格好がいいので、そう言っているだけで、本当は好きでないということを指摘したかっただけである。
 

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パリは本当に美食の都なのか? [B級グルメ雑感]

パリは「美食の都」というイメージがある。しかし、私はこの説に30代中頃から疑いを持っていて、それはパリを訪れるたびに確信に近くなっている。ただ、私がそう主張すると、ほとんどの人が「それはお前の舌の方が間違っている」と批判するので、もしかしたら私の方が間違っているのかもしれないな、と謙虚な気持ちになり、パリに来るとたまに美食体験を試みたりする。
パリは最近では一昨年の夏、先月(2月)と来ているが、パリ市内はバリアフリーではないし、宿も異様に高いので、前回の二回はシャルル・ド・ゴール空港のそばにて泊まった。したがって、パリ市内で食事をするのは昼だけにしていた。しかし、今回は他の大学の先生と一緒なので、久しぶりにパリ市内に滞在することにして、この先生がグルメということもあり、結構、美味しいものを二人で探索することにしたのである。一応、仕事もあったりしたので、仕事先のカフェテリアで昼ご飯を食べたりもしたが、それ以外は比較的有名店を訪れた。ちょっと、その外食体験を通じた感想のようなものをここに記したいと思う。
宿はパッシー地区で取った。パッシー地区はオスマンがパリの都市大改造をした時に、開発されたブローニュの森そばの住宅地である。最初の晩は、ホテルそばのオイスター・バーで牡蠣と白ワインを注文した。店名はLe Lallye Passyで、カウンターにはオヤジしかいない店であった。オヤジしかいない店は、大抵、美味いと相場が決まっているが、ここは牡蠣は悪くはないが、とりたてて美味しいというものでは決してなかった。日本で食べる方がずっと美味しいし、先月訪れたバーリの生ムール貝の方が遙かに美味しい。その後、ちょっとオイスターだけではお腹が空いたままなので、またホテルそばにあるAero Restaurantに行った。ここでは、チキンを焼いたものを注文したのだが、日本の気の利いた定食屋の方が美味しいような代物であった。添えられたサラダもフライドポテトも今一つだったが、ワインはそんなに悪くはなかった。
二日目は、朝食は近くのカフェでクロワッサンとタルト、そしてカフェオレを注文する。カフェオレは機械でつくるので評する必要性もないが、クロワッサンは流石、パリと言わさせるだけの美味しさであった。バターがちょっと日本とは違うのかもしれない。というか、バターが相当ふんだんに入っている?洋なしのタルトも梨とバターがふんだんに使われていて、これは美味しかった。というか、パリ4日間でもっとも美味しかった可能性もある。
昼食は、旧証券取引所のそばにあるレストラン、Vaudervilleに行った。これは特に行こうと思っていた訳ではないのだが、たまたまお昼時にこのお店の前を通ったら、えらい繁盛していたので、これは外さないだろうと判断して入ったのである。注文したのはクロック・ムッシュ。これは、本場のクロックムッシュが食べたかったからである。これは、トーストが3枚のものにハムが挟んであり、上にチーズがどかんと乗っているもので、なかなかの食べ応えがあった。最初は美味しいと思ったのだが、だんだん飽きてきた。まあ、とても洗練されているとは言い難いが、チーズはなかなか美味しいと思った。
さて、その日の夜は、パリ在住10年という人に夕食に連れて行ったもらった。これは、絶対期待できると胸を躍らせたのだが、連れて行ってもらったのは、なんとビストロ・ヴィヴィアンヌであった。ビストロ・ヴィヴィアンヌは個人的にパリで最も好きな空間であるヴィヴィアンヌ・ギャラリアの入り口に位置するビストロでとてもお洒落である。前から気になっていたのだが、夏にパリに来ると凄い長蛇の列でほとんど入る気をなくす。しかし、先月(2月)に来た時は全然、空いていたので念願叶って初めて昼に入ることができた。白ワインとエスカルゴ、そしてシーザーサラダを注文した。流石、エスカルゴは美味しかったし、シーザーサラダも悪くはないが、パリは美味い料理があるなあ、と感心するほどではなかった。この程度であったら、日本のフランス料理屋の方が美味しい。とはいえ、白ワインのコスパは悪くはなかった。とはいえ、パリ滞在10年の方が満を持して?一緒に夕食に連れて行ってもらった店がここであるのはちょっとショックであった。というのは、ここはパリ在住10年でも美味い店として認識されていることに落胆したからである。というのも、パリ在住10年であれば、私のような輩が見つけられないようなお店を教えてくれるのではと期待したからである。ここで注文したのは、エッグ・ベネディクトとフォアグラがラーメンのつけ麺のスープのようなものに入った料理であった。つけ麺のスープと同様に葱がなかなかいい味を出していた。悪くはないけど、ちょっと肩透かしであった。とはいえ、パリの美味しいお店を未だに発見できていない私としては、ここは他のお店よりはずっと親しみが持てる。加えて、ワインのコスパはよかった。ただ、このお店がリモージュとかリールであったら納得だが「美食の都」とその名を知られるパリの名店かというと、やはりがっかりしてしまう。日本のフランス料理の方が美味しいとずばり、思う。
 その次の晩は池波正太郎がパリ滞在時によく行く店としてエッセイに書いていたりして知られるAu Pied de Cochonを訪れる。これは、新しく整備中のネルソン・マンデラ公園の前にある。パリジャンヌにも人気であるという解説であったが、土地柄か観光客が多い気がする。フランス語よりも英語の方が聞こえる。そして、サービスがまあ感動的に悪い。というか、パリのレストランは決してサービスがよくないがそれらに比べても驚くほど悪い。これは日本人だからなめられているのかもしれない。注文したワインはクレームをするまで来なかったし、また周りのテーブルには来ていた付け足しのオリーブも督促するまで来なかった。赤ワインと豚肉のコンフィを注文する。赤ワインは流石にそれほど値段の割には悪くない。豚肉のコンフィもまあ悪くはないが、有り難がるほど美味しくはない。ドイツのハクセンシュヴァインや日本の豚の角煮の方が美味しいくらいだ。庶民的な定食屋という雰囲気は悪くはないかもしれないが、インテリアの趣味はどちらかというと無粋で洗練されていない。池波正太郎の味覚も店の意匠センスをも個人的には疑う。
ということで、今回のパリ滞在も食事に関しては悲惨であった。というか、本当、パリには10回は来ていると思うが、唸るように美味しいものに出会ってない。納得するものはワインとチーズだけだ。しかも、チーズはどちらかというとフランスの田舎の方がパリのものよりも美味しい。そうそう、今回は日本人にも大人気のチョコレート屋、ジャック・ジュナンにも訪れ、お土産用に1万円ほど買ったのだが、買った直後に「生チョコなので2週間以内に食べて下さい」と言われて、しょうがなく家族以外のお土産で買ったものは自分で食べたのだが、これはなかなか美味しくて流石と思ったが、この値段であったら日本でもほぼ同じものは入手できる。自由が丘のパティスリー・パリセヴァイユも負けていない。とはいえ、ここのチェコレートは不味いとは決して言えない。そういう意味では、ワイン、チーズ、チョコはパリの美味いものであるとは言えるかもしれない。あと、クロワッサンかな。今回、滞在したパッシー地区の総菜屋デパートに入っているパン屋のクロワッサンはバターがたっぷり使われていて美味しかった。とはいえ、これだけで「美食の都」というのは看板に偽りありだと思う。

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<オイスターバーの生牡蠣>

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<Aero Restaurantのチキン>

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<ビストロ・ヴィヴィアンヌのエッグ・ベネディクト料理> IMG_0073.jpg <Au Pied de Cochonの豚のコンフィ> IMG_0074.jpg <唯一、サービスがよかったシャルル・ド・ゴール空港内のレストランでのサラダ料理>
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ラーメンはなぜ人を惹きつけるのか [B級グルメ雑感]

ラーメンは歴史が浅く、いわばまだ戦国時代である。ご当地ラーメンも、喜多方ラーメンが1920年代、尾道ラーメンなどは戦後である。ラーメンまちづくりを現在、展開している山形県の南陽市の赤湯温泉も50年前は、現在も食べログ百名店の龍上海を始め3〜4軒しか町にラーメン屋がなかったようである。さて、この歴史の浅いということは、まだ流儀というか正しいスタイルが確立されていないということで、完成形のようなものがない。しっかりとしたお茶の世界のようなブランドが確立されていないのである。クラシック音楽に比べてのロック音楽のような自由度、創造性を受け入れる余地がラーメンにはある。ラーメン店はほとんどが個店で、これらの個店は麺の作り方やスープの作り方に拘る。そして、それをレシピのような形で表に出さないし、また他人にも教えない(ために教える人もいるが極めて例外的)。伊丹十三の映画『たんぽぽ』でラーメン店の女主人が美味しいスープの秘密を探るためにあれこれ試みるシーンがあるが、まさにラーメン店の秘密主義を示している。これは、例えば日本蕎麦なんかとの大きな違いである。
 そのような状況であるために、学歴や家柄も関係ない公平な勝負のできるステージがある。裏千家にお金を払ってステータスを得るというような必要性がないのだ。人気のラーメン店の主人が元暴走族だったり、いわゆる青年時代にアウトロー的な人が多いのは、このステージが、まさに下克上が可能なジャパニーズ・ドリーム的なプラットフォームを提供している証拠でもあり、それゆえに多くのドラマを生むし、そのようなドラマを我々、消費者も期待している。
 つまり、味も進化しているので、常にその進化した味を確認するために店を探し、訪れなくてはならないし、新しい情報を収集しないと、ラーメン動向は分からないという面白さがある。また、下克上ごめん的な武将ならぬ店主が常に上を目指して競うというロマンは、単に味ではなく、ストーリー消費の魅力を孕んでいる。グルメ雑誌もラーメン特集は鉄板であると言うが、それは情報が常に更新されるだけでなく、そのお店の背景にある個の魅力、その人のロマンに人は惹きつけるからではないだろうか。ラオターと呼ばれるラーメンオタクは、おそらくラーメンという食事以上のものを、ラーメンを啜る時に消費しているからこそ、ラーメンに惹きつけられているのではないかと思われる。

タグ:ラーメン
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南陽市のいもせ食堂 [B級グルメ雑感]

南陽市には4つの高評価のラーメン屋がある。龍上海と葵、いもせ食堂とまるひろである。南陽市を訪れ、そのうち葵といもせ食堂を訪れ、またいもせ食堂では店長にお話まで聞かせていただいた。
 さて、南陽市のラーメンの特徴とは何か。それは、ラーメンの特徴がないということだ。例えば、長浜ラーメンであれば豚骨細麺、京都の一乗寺であればどろどろ鳥豚骨、尾道ラーメンは醤油スープに平打ち麺などの特徴がある。南陽市は、そのようなラベリングができないそうだ。これが、おそらく南陽市がご当地ラーメンとしてこれまで知られてこなかった理由であろう。もう一つの特徴は、ほとんどの南陽市のラーメンは20年以上経営しており、老舗が多いということだ。
 お話をしてもらったいもせ食堂もそのような老舗ラーメン店の一つである。2019年に開業してから57年目になるそうだ。現在の店長は二代目である。一代目が使っていた粉に二代目がつくった太麺。赤湯に限っての話になるが11軒中10軒が自家製麺をつくっており、麺にはうるさいお店が多いそうだ。そして、それらの多くがちぢり麺で、隣接している米沢ラーメンと全然、違う。いもせ食堂も麺に凝っている。平打ち麺であるが、手で揉んでいる。
 ここの味噌ラーメンを食べたが、麺は確かに相当、美味しい。スープは一代目からは違っているそうだ。なぜなら、ガラをつくっていた業者が潰れたりしたからだ。しかし、できる限り、先代からのスープをずらさないように留意しているそうだ。
 南陽市というか赤湯に限った話かもしれないが、ラーメンは歴史が浅い。赤湯にはそば屋とうどん屋があったのだが、一代目が始めた時は龍上海と3〜4軒ぐらいしかなかった。赤湯は温泉街。旅館の中に食べるところがない。締めのラーメンを食べるために、旅館の外のラーメン屋に温泉客が訪れるというようなパターンもあった。赤湯の観光の主流は、熊野大社に参拝して赤湯温泉に泊まるというものであったが、このような観光客はだいぶ少なくなっている。
 一方で、これは赤湯だけに限った話でなく、山形全体でいえると思うが「出前の文化」である。そして、お客さんのもてなしとして、ラーメンを食べさせて喜んでもらうというものがある。子供達もお客さんが来るとラーメンが食べられると喜んだ。これは、他に外食するものがなかったことの裏返しともいえる。
 15〜16年前、イオンが出来、またベニマルが出来たのだが、その結果、極端に夜の客が減ったり、出前が減ったりした。いもせ食堂において、セットものとかを提供し始めたのはその頃からだ。
 ラーメンの魅力としては、自分の個性を出したい人がラーメンをつくる。お互いに教えない。結果、拘りを持つ人が多い。そうでないと同じような生そばのようになっている。ラーメン屋はサムライ。まとめようとしても、まとまらない。結局、自分の主張が強い。それが魅力だけど。「個性」がある。一つ一つの顔が見える。レシピが分からないというのも魅力。
 いもせ食堂は元旦でもやっている。これは、帰省したお客さんが訪れるからだ。赤湯では、おせち料理が逆に提供されない。
 ラーメンの外食消費量が一番高い山形県で、その中でも一番消費量が高いのが南陽市。その統計的な背景が垣間見れた気がする。
 
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(いもせ食堂の辛味噌ラーメン。美味)
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最近、外食で肉を食べることがなくなった理由 [B級グルメ雑感]

最近、外食で肉を食べることがほとんどなくなった。焼き鳥屋には行く。しかし、焼肉屋やステーキとかは食べない。イタリアンでもメインの肉は基本、頼まないようにしている。なぜか。それは、私の家のそばにある肉屋の肉があまりにも美味しくて、なおかつ、外食とではあまりにも値段差があるからだ。特に違いが出るのはステーキである。100グラム1300円のぐらいの肉でも(フィレやサーロインではない)、そこらへんのステーキ屋より遙かに美味しいのだ。同じ美味しさを楽しもうと思ったら、もう10000円ぐらいは払わないと無理であろう。最近はスペアリブをつくってみた。スペアリブとかだと骨があるが、100グラム250円とかそういう値段である。しかし、それでもとても美味しい。私の家のそばにはちょっと美味しくて有名なスペアリブ屋があるのだが、私が調理したスペアリブの方が美味しいと思う。もちろん、手間暇はかかるので、調理を機会費用とみると調理の2時間は多少もったいないという見方はあるかもしれないが、それを含めても家でつくった方がお得であると思う。しっかりとしたお肉屋が家のそばにあることの有り難みを最近、痛感している。

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(家でも美味しいスペアリブをつくることができる。クックパッドのおかげでもある)
タグ: 外食
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札幌市はスープカレーこそがガストロミー的にはキラーコンテンツだと思う [B級グルメ雑感]

下北沢はカレーで売り出している。2012年に開始したカレー・フェスティバルはとても成功したボトムアップ型のイベントだ(http://www.hilife.or.jp/cities/?p=1412)。そして、下北沢には実際、多くのカレー屋があり、駅から800メートル圏内のカレー店の数は、中央線の高円寺・中野や同じ世田谷区の三軒茶屋などのサブカル・シティのライバルに比べても多い。さて、しかし、下北沢の人気カレー店はあまり下北沢発ではない。もちろんムーナとか茄子オヤジといった下北発のカレーの名店もあるが、例えば、サムライ、マジック・スパイス、心などのスープカレー系は札幌発のカレー店である。ということで、せっかく札幌にいるのでスープカレーを食べに行くことにした。せっかくなので下北沢というか東京にはないカレー屋ということで、ピカンティというお店に行く。ここは北12条駅のそばにあるお店である。食べログによれば、札幌市内にはカレー店が560件ある。これは、ほぼ同じ規模の福岡市が373件であることを考えると、相当の数字であろう。ちなみに、人口では札幌よりずっと多い名古屋市でも508件で及ばない。仙台市はわずか207件にしか過ぎない。つまり、札幌市はなかなかのカレー都市なのである。ピカンティはそれらの中で食べログの評価では10番目。これは期待できる。
 日曜日の17時前という時間にも関わらず、結構、店は混んでいた。とはいえ、並ぶほど混んでいた訳でもない。さて、ここはスープ、具、辛さを自分で選ぶことができる。スープは4種から選ぶ。私はアーユルヴェーダのスープにした。これは薬膳系であるようだ。具はサクッとピカチキン。これはフライドチキンが中心となる。値段は1130円である。さらに、ブロッコリーと半熟卵の天麩羅をオプションでつける。そして、辛さである。辛さは1〜5まであるが、私は無料の範疇の2にする。これは最近、お腹の調子が悪いからである。さて、出てきたカレーは、野菜が固まりのような感じで出てきた。これは素材の旨さを殺さないためであろう。実際、食べてみたら野菜は別格のように美味しい。チキンも美味しい。そして、カレースープは抜群に美味しい。というよりか、スープカレーという範疇でいえば、人生で最も美味しいスープカレーかもしれない。サフランライスもよく、これは北海道の食材を使っているからなのかもしれないが、何しろ料理の素材の味がよい。それにスープの複雑でいて嵌まる味。札幌市はやはり、スープカレーこそがガストロミー的にはキラーコンテンツなんじゃないか、と思ったりもした。

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レイキャビクの外食で不思議なところは、しっかりとした高級料理店も汚い居酒屋もほとんど値段が同じということである [B級グルメ雑感]

レイキャビクで外食を数回した。さて、その第一印象は「高いな」ということだ。物価が高いので、これは致し方ないかと思ったりしたのだが、昼食も含めて数回、外食をして分かったことは、しっかりとした高級料理店も汚い居酒屋もほとんど値段が同じということである。今回の外食で入った最も高級っぽいレストランはLækjarbrekkaというところであったが、ここは店内のインテリア、サービス、ウェイターの上品さ、料理、ワインとどれもが大変質の高いものであった。しかし、トータルではワイン・ボトルを二本空けても、一人当たり6000クローネであった。私はチャー(イワナ)料理を注文したが、これは4100クローネであった。高いといえば、高いがこのクオリティと美味しさであれば、まったく理解できる値段である。この店だけに入っていたのであれば、外食が高いとは思わなかったであろう。
 しかし、その前日に入った居酒屋のようなレストラン・バーもほぼ似たような値段であった。この居酒屋のような店では、シュリンプ・サラダを私は注文したのだが3500クローネした。しかし、その内容は普通のサラダにシュリンプの串揚げが2本ほど乗っけられているという代物であった。店内はまったく清潔感はなく、ウェイターの女性は皆、タトゥーをしており、前述したお店のウェイターとは、まったくもって異質な感じの人達であった。美人であると思えるようなウェイターは一人もおらず、サービスも素人臭かった。
 最終日の遅いランチを取ろうとして入った店は、お金をあまり使いたくないこともあって、ランドロマット・カフェという、洗濯屋とカフェが合体したといういい加減なコンセプト丸出しの店であった。ただ、それにも関わらず、Lækjarbrekkaと料理がほぼ同じ値段であった。これはしまったと後悔したが、捻挫をしていたのでホテルからあまり歩けないので、しょうがないかと諦めて注文しようとする。しかし、ウェイターがあまりにも酷い態度なので、これはたまらんと思って注文をせずに店を出た。足を引きずりながら、ホテルのそばの界隈では高級感を出しているParis Café というお店に入る。ここではモンク・フィッシュ(鮟鱇)の料理を注文したら、2600クローネというその前に入ったランドロマット・カフェに比べてずっと安かったにもかかわらず、料理は美味しかった。いやはや、この外食店の質によって料理の値段が変わらないというのは、非常に興味深い状態である。市場経済がしっかりと機能してない(外食サービス業に価格規制をしている?)のかなどと考えてしまう。
 これはホテルの朝食でもいえて、知人が泊まっていたアダムス・ホテルの朝食は1900クローネで、私も一度だけ食べたが、スープはぬるく、料理は質素で質も大変悪かった。そもそもフルーツもないなど、選択する余地さえなかった。それなのに、私が最終日に泊まったホテルの朝食は1500クローネで、卵料理やベーコン、ソーセージ、ヨーグルトなどもあり、チーズはカマンベールやゴルゴンゾーラなども出ており、大変充実したものであった。
 つまり、全般的に「高かろう、悪かろう」という価格がまだ通用している状況であり、市場が劣悪なサービスをまだ駆逐できていない状況なのかもしれない。とりあえず、レイキャビクに訪れる人は、質が悪ければ安い、という先入観を捨てて、結構、高そうでサービスがよさそうなお店に入りになることをお勧めする。また、グーグル等のレストランの評価はとてもいい加減なので(例えば、Lækjarbrekkaが4.4でサブウェイが3.9)、それはあまり参考にはならないかと思う。

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(Lækjarbrekkaのアイスランド・プレート。鱈、羊の生肉、スモーク・サーモン、サメなど)

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(Lækjarbrekkaのチャー料理)

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(Lækjarbrekkaのラム肉料理)

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(Lækjarbrekkaのメニュー。他の普通の凡庸な店とほとんど値段が同じ、というショッキングな価格設定。ここが安いというよりかは、他が高い)

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(ランドロマット・カフェ。ここは値段が高いのにあまりにもサービスが悪いので、注文せずに出ました)

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(パリス・カフェ。ここは、ぬるい珈琲を出したりしたのですが、食事は美味しかったです)

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(鮟鱇料理)




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リベイラ市場で特別に美味しいロブスターを食べた [B級グルメ雑感]

リスボン最後の日、ちょっと時間があるのでリベイラ市場にまで行く。リベイラ市場は最近、ちょっとグルメのニーズにも対応して市場に隣接してレストラン街を設けたそうだ。これは、マドリッドやバルセロナ、デンマークなどでも観られているトレンドであるが、都市の鍼治療としても効果が高い。ということで、いそいそとホテルに荷物を預けて出かけた。
 リベイラ市場は思ったより大きくはなかった。建物の構造も大きく3つの棟に分けられておりシンプルであり、迷子になることはない。一国の首都の市場として捉えると、ちょっと拍子抜けする。カーディフの市場とかぐらいの大きさであろうか。
 3つのうち、一つの棟は従来からの市場で魚やら肉、野菜などの生鮮食品が売られている。魚が多いのと蛸やイカなどが置かれているのが印象的である。というのも、蛸やイカなどを食べる国は多くないからだ。ただ、イカの目が死んでいる。これは日本の市場や魚屋とは違う点でちょっと残念だ。
 真ん中の棟は小さく、小売りをする店が集まっている。そして一番西側にある棟がフード・コートのようになっており、空間も洗練されたデザインがされており、お洒落でいい感じである。店はマクドナルドやスターバックスのようなファストフードと思しき店はなく、どの店も皆、黒と白のシックな看板に統一されている。コンフェクショナリー、揚げ物系、ステーキ、魚介類の店など、どれもなかなか魅力的であるが、店の前に大きな水槽が置かれており、ロブスターやら蟹やらが入れられている魚介系のレストランにてリスボン最後の食事を取ることにした。名前はアズールという。
 飛行機の時間は15時50分。ホテルに荷物を置いているので、13時にはホテルに戻っていたい。ホテルまでは地下鉄で30分弱。時計を見ると12時ちょっと前。おそらく大丈夫であろう、というところでカウンターに座ると店は12時からだから、と言われる。まあ、他に客もいないし10分ぐらいなら待てばいいか、と思いそのまま座る。さて飲み物は?と聞かれるので水を注文し、そのままボーッとしていると12時を回る。それでもすぐに注文は取りに来ず、いろいろと開店の準備をしている。ちょっと私が、いらいらし始めた12時10分頃になって、ようやく若い女性の店員が注文を聞いてくれる。ここは、やはりロブスターでしょう。しかし、あまりにも大きい。値段も1キロ90ユーロとなかなかの値段だ。これは海老かな、と躊躇したが、「水槽の中から一番小さいのを選べば」と言ってくれる。そこで水槽を見に行くが、どれも巨大だ。というか、水槽の中なので実際よりも巨大に見えているのは分かるのだが、まるで猫ぐらいの大きさに見える。これは無理かな、と諦めかけると、店の人が「この小さいのはベイビーだから、食べられるでしょう」と言う。流石にベイビーだったら食べられるな、と思い切って注文する。注文すると、女性店員は水槽からそのロブスターを取って、まな板の上に置くと、いきなり包丁で脳髄に振り下ろした。ロブスターはばたばたしているが、頭を押さえられているのでどうにもできない。ばたばたの力が弱まったのを確認して、店員は一挙に身体を真っ二つに包丁で分けた。この若い女性店員は、華奢な身体をしていて、なかなかの美人であるので、ロブスターを切り捌く姿は絵になるが、逆に美人であるからか、その姿はちょっと怖い気もする。ついでにポテトとパンも注文してしまったのだが、これはどちらかでよかった。というのは食事が来てから気づいたのだが、圧倒的な量だからだ。
 さて、問題はこの捌いた後からなかなか料理ができないことである。メニューをみると、ファストフード?そんなに早くはないですよ、などのコピーが書かれている。どうも、ここに出店できる店は、料理の審査を通ったところのみのそうだ。普通の状態であれば、これは大変有り難いのだが、飛行機の時間が迫っている私にとっては、これは若干、由々しき問題である。12時30分を回ったぐらいの時間になってようやく料理が出てきた。オーブンで焼かれたものだが、ニンニクとオイルだけの味付けのようだ。さて、しかし食べてみたらこれが絶品のように美味しい。私は日本以外では、ほとんど魚介料理を美味しいと思ったことがないので、これは嬉しい驚きであるし、予想外であった。まあ、さっきまで生きていたので素材は相当、いいのかもしれないが、どんなにいい素材でも駄目にしてしまうのがヨーロッパ人というか日本人以外だから。例外的に私が魚介料理を美味しく海外で食べられたのは、釜山の魚市場ぐらいである。そういう意味で、アズレのロブスターには驚いた。あとポテトフライもしっかりと、ここで切って揚げられたもので、これも美味であったが何しろ量が多すぎる。飛行機の時間もあるので、これは袋に入れてもらった。そして、量り売りなのでどきどきさせられた値段であるが、57ユーロ、チップを入れても65ユーロで済んだ。600グラムぐらいかな、と店員は言っていたのだが、ポテトやパン、水を二本注文したことを考えると、500グラムぐらいであったのではないか。最後にポルトガルの評価が大きく上がった。この市場で昼ご飯を食べられてよかった。

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(店にある巨大な水槽)

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(ディスプレイの食材が食欲をそそる)

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(テーブルクロスにスローフード宣言がされていた)

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(生きたロブスターを捌く女性店員)

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(なかなか格好がよい)

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(ロブスターの半身。出されたのは一匹)

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立石の飲み屋街を訪れる [B級グルメ雑感]

 マイク・モラスキーの『呑めば、都』を読んでから、無性にその本に書かれていた飲み屋を訪れたくなり、立石に赴く。立石には数回、訪れたことがある。ただ、ここ5年間ぐらいは行っていない。そのイメージは大阪の通天閣下のようなディープな雰囲気で、地元の飲兵衛を対象とした、肩を寄せ合って座りながらモツ煮を肴として安酒を飲む、小さなお店がいくつも集まっている、といったものである。さて、5年ぶりに訪れた立石であるが、以前のイメージとほとんど変わっていなかった。というか、昭和のレトロな闇市的な飲み屋街というのがアイデンティティであるから、この5年で変わってしまうようでは駄目である。
 さて、今日はゼミの飲兵衛の卒業生を数名、誘って飲みに行くことにしたのだが、皆、仕事があるので「宇ち多“」にて各自、19時30分までは勝手に飲む、というように待ち合わせをした。仕事がない私が一番はじめに到着して、一人でテーブルに着き、勝手に宝焼酎の梅割と煮込み、レバーを注文して飲み始める。
 この店では、見えない掟があるかのように、皆、しっかりと飲んで食べることに集中をしている。もちろん、グループで来ている人やカップルの間では多少の会話があったりするが、基本、ここは安酒を飲む場所であるということは、相当、空気を読めない客でも分かるような、そういう緊張感が空間には充満している。また、カップルでと書いたが、基本、カップルは相当、割合的には少ない。私もこの店では何しろ存在感を消し、うまく、店に馴染むように努力をしている。
 20分ぐらい経って、社会人3年目の男子ゼミ卒業生がやってきた。すると、「連れがいる」と店員に言っている。中年の店員は「そういうなら、店に入る前に待ち合わせをしないと駄目だろう」と怒っている。私は手振りで「一人で飲め」と伝えようとしたのだが、その行為で、中年の店員さんに気づかれ「あの人か」と卒業生に確認を取り、本当しょうがねえなあ、という顔をしつつ、たまたま空いている卓があったので、そこに移らせてもらった。移った後も、「連れがいるなら店に入る前に待ち合わせをしないと困るんだよね」と言われて、私は卒業生に「そういうことだから一人で飲んで全員が揃うまで待つと言ったのだ」と小言を言ったら、学生も申し訳なさそうにしていた。とはいえ、まあ、彼の空気の読めなさ故に一緒に飲めることになったので、ある意味ではついている。私ではとても言えない。
 さて、この店は19時30分に閉店で、そこでもう一人の女子ゼミ卒業生がやってきたので店を移る。おでんの「二毛作」に入ろうとしたが、予約で満席の状態で、「みつわ」に行ったらこれも長蛇の列。しょうがないので北口の「鳥房」へ行ったら閉まっており、「江戸っ子」はもう食べ物が切れたので、今日は店じまい。ということで、仕方なく、「江戸安」といういかにも町のお寿司屋さんというところに入る。まあ、特別なお寿司屋さんという感じではないが、気っぷのいいおじさんと若い青年の二人の板前が元気よく握っている様子は、二人漫才とか卓球のダブルスのコンビのようで、みていて気持ちよく、思わずいろいろと注文をしてしまう。なぜか、アワビの刺身が1000円という破格の安さだったのでおそるおそる注文したら、しっかりとアワビでしかも美味しかった。そして、そのアワビより値段が高い赤貝の刺身(1200円)があり、アワビでこれだけしっかりしていたら、赤貝はとてつもなく美味しいのでは、と注文したら、これは美味しかったが普通の赤貝であった。日本酒を中心に飲んで、3人で結構、たくさん飲み食いをすると、4人目の女子卒業生がやってきたので、店を出て、モラスキーがどんなに満腹でも不思議に食べられてしまうと『呑めば、都』で書いていた中華料理店の「蘭州」に行くが、ここはもう店仕舞いの時間であった。我々はお腹いっぱいだが、今来たばかりの卒業生は何も食べていないということなので、隣の「オオクボ」という居酒屋に入る。他は客でたくさんなのに、なぜか客が誰もいなかったのがえらく不安だったが、入るとごく普通の居酒屋であった。他の町だったら、それなりにお客さんも入るのではないかと思われるが、これだけ飲み屋だらけの立石であると、もしかしたら商売が厳しいのかもしれない。
 人と酒を飲むのは会話を弾ませるためである。当然、私とゼミの卒業生ということなので、本人の話はもちろん、今日来られなかった卒業生達の近況なども聞くことになる。数名、転職をしたそうだ。まあ、本当に仕事は大変だ、と卒業生達はぼやくが、このことは本当に学生の間に上手く伝えられたらと思うのだが、なかなか学生はそれを聞いてくれないのが残念だ。結局、あまり向いてなさそうだな、という仕事に就いて、早い時期に辞めてしまう。などという話をしていたら、あっという間に23時30分過ぎで終電の時間になったので、岐路についた。なかなか楽しい立石のはしご酒であった。

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(北口の飲兵衛横丁)

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(南口はディープな飲み屋がぽつぽつと凄まじいオーラを発揮しつつ散在している)


呑めば、都: 居酒屋の東京 (ちくま文庫)

呑めば、都: 居酒屋の東京 (ちくま文庫)

  • 作者: マイク モラスキー
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2016/08/08
  • メディア: 文庫



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西荻窪の飲み屋街を訪れる [B級グルメ雑感]

 マイク・モラスキーの「呑めば、都」を読んだら、どうしょうもなく西荻窪の飲み屋街に行きたくなったので、34歳になった卒業生を誘って訪れる。どうも「戎」は外せないようなので、早めに入ろうと考えて17時に西荻窪の駅の改札口で待ち合わせをする。「戎」は13時に開店する居酒屋で、まあ昼から酔っ払えるという機会を提供しているなかなか画期的なお店であると思う。以前、港区の麻布街づくりのパネル・ディスカッションのコーディネーターの仕事をしたことがあったが、パネリストのお一人が「あべちゃん」は15時から飲めるので素晴らしい!と述べられたが、西荻窪だと13時だ(ちなみに赤羽のまるます屋であれば朝から飲める)。それはともかく、17時に改札を出て直行したら、既にほぼ満席。これは入れないかと思われたが、二人という人数が幸いして、奥のテーブルに座ることができた。
 焼酎とグレープフルーツ・サワーを注文。あとはキャベツ、焼き鳥など。焼き鳥系は焦げていて、決して味がいい訳ではない。ただ、この雰囲気は相当、味があるというか個性的だ。モラスキーの本からだと、もっと赤提灯的な店内のイメージを抱いていたのだが、むしろ山小屋的な雰囲気のお店で、お洒落とも捉えることができるような印象だ。実際、お客さんも30代前後の女性が多くいた。ちょっと本の内容と違うな、と思って家に帰って読み直したら、モラスキーが語っていたのは本店といって、私が行った(支店)隣にある店であることが分かった。モラスキーも本店と支店では偉く客層が違う、と書いていたので、次回は本店に訪れようかと思う。とはいえ、食事を楽しむというよりかは雰囲気を楽しむお店のような気がする。というのも、食事は今ひとつであり、また肝心の日本酒の揃えはまったくよくないからだ。チューハイ、ハイボールを飲む店かなと思うし、それらのお酒が似合うような雰囲気であるとも思う。
 さて、「戎」だけ訪れて帰るのはあまりにも勿体ない。ということで、「戎」はそれほど食べずに、次の店を探す。第一希望は「しんぽ」であったが、流石に予約なしでは入れなかった。ということで、立ち食い寿司屋「一」に入る。というか、「一」に入れたのもちょっとラッキーだったかもしれない。「一」も「戎」と同じ通りに立地しており、「戎」と同じように通りに立ち飲み客用のテーブルを二卓置いていて、テーブル狭しと客は肩を寄せ合って、そこで呑んで食べている。ただ、食べているのがおでんとか焼き鳥とかではなくて寿司の握りというところが、ちょっと西荻窪というイメージである。この界隈の店はトイレがなく、共同便所を共有している。この共同便所は男女共有であり、男性はともかく女性にとってはちょっと厳しいかと思う。トイレはどこ、というと店の人はここを指示するが、駅にもトイレがあり女性客はそちらを利用した方がいいかと思う。このお寿司屋で驚くのは、美味しいしっかりとした日本酒を揃えていることで、無濾過生酒だけを注文していても酔っ払うことができる。我々は雁木を中心に飲んだ。さらに、美味しい日本酒と合うのは刺身と寿司、と考える私にとっては、ここは相当有り難い店だ。塩水ウニ、ツブ貝、平貝、赤貝、ヒラマサやサンマの焼き物などを注文したが、すべて満足。それで会計は二人で8000円台であった。
 以前、やはりマイク・モラスキーの文章を読んで「溝口」に飲みに行ったが、今回の西荻窪の方が個人的には好みであった。まあ、どちらも、人類が誇る文化遺産のような素晴らしい飲み空間であると思う。翌日、ヒカリエの小洒落たレストランに入ったが、そちらは清潔であるし、ちょっと洗練された感はあるが、西荻窪南口の飲み屋街に比べると何かが根源的に違っている。それは、後者には店と客のコミュニケーションがないが、前者にはおそらく強烈にあるということではないか。「戎」では、隣の客が「ノンアルコール」のビールを注文したら、「そんなものねえよ」(実際はある)と店員に罵られた。その客はどうも常連だったようなのだが、常連だからこそ甘えるな、というのがあったのかとも思う。言われた客もなんかばつが悪そうにしていたが申し訳なさそうにそれでもノンアルコール・ビールを飲んでいた。「消費者は神様」というのはサービス産業のマーケティングにおいては鉄則に近いが、その鉄則によって店は疲弊するし、それをあまりにも優先すると店がつぶれかねない。「戎」という店を支えているのはおそらく常連客であろう。その常連客であるからこそ、しっかりして欲しい、というのがその罵りにあったかと思う。そして、そういう店で、客は立派な客、消費者然とした客からちゃんとした客へとレベルアップできるのである。
 というようなことを考えさせてくれた「西荻窪」の飲み歩きであった。


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ドイツの肉屋 [B級グルメ雑感]

 エアフルト大学の先生が、自分は留守にしているのでアパートを使っていいよ、と言われたので遠慮せずに使わせてもらっている。単身世帯向けで1Kの部屋であるが寝室や浴室が広いので空間的には贅沢な印象を受ける。このアパートはエアフルトの北、ドーム・プラッツから歩いて10分ぐらいのところにある。さて、朝起きて朝食を取りに町中に出る。エアフルトはチューリンゲン州の州都であり、チューリンゲンといえばソーセージである。そこで、チューリンゲン・ヴルストと看板を掲げていた店に入ったら、そこはレストランではなく肉屋であった。ドイツの肉屋は、しかし、そこで簡単な料理も提供する。ということで、そのままそこで食べることにした。注文したのはグーラッシュで、これはジャガイモとグレイビー・ソースに肉が煮込まれたものという感じで、いかにも一般庶民が食べるような料理であったが、まあ悪くはなかった。これで5ユーロ50セントである。
 ドイツは肉屋が儲かる。赤いフェラーリはドイツでは肉屋の車とも言われるのだ、と誰かに教えてもらったこともあり、本当かよ、とそのときは半信半疑というか信じてもいなかったが、実際、ドイツに住んだら、本当に肉屋が赤いフェラーリに乗っていた。これは、肉屋が儲かるからだ。ドイツで販売する肉は保存料をほとんど使えないので、すぐ腐る。したがって、頻繁に買わなくてはならず、結果、スーパーとかで買う人は多くなく、肉屋で買うのだ。私が住んでいたデュッセルドルフでもそうだったが、エアフルトの肉屋も繁盛していた。ちょっとしたカフェ的なコミュニティのハブになっている気もする。日本は生鮮三品の店が商店街からほとんど消えかけているが、このような店が商店街にあると、それらを核として、商店街がコミュニティのハブになれるのだ。昔は、日本の商店街はその人口密度の高さや自動車の依存度の低さなどから、ドイツの商店街よりさらに活力を有していたにも関わらず、現在はドイツのように元気な商店街は本当、東京や大阪などの大都市だけになってしまっている。ドイツは人口20万程度の都市でも商店街が元気である。そして、商店街が豊かな都市の方が、遙かに人々の生活も豊かであると思われる。

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ボローニャでようやく美味しい食事にありつけた [B級グルメ雑感]

 イタリアで4泊目。ミラノ、オリヴィエート、ボローニャ。これまで、何回か食事をしたがイタリアらしい美味しいワインや食事にはありつけなかった。これは、スローシティの拠点であるオリヴィエートにわざわざ行ったことを考えると、大変外していると言っていいであろう。さて、しかしボローニャでは、夕食そして昼食ともに大当たりであった。イタリア最後の日に、イタリアならではのクオリティの高い食事を取ることができ、ホッと胸をなで下ろすと同時にボローニャの底力を知らされた気分である。
 ボローニャでは遅い夕食を取った。マジョーレ広場そばのTamburiniという店である。ボローニャの金曜日の夜、マジョーレ広場そばはとてつもなく混んでいる。狭い路地などは、立錐の余地もないほど人に溢れていて、そこを通り抜けることを難儀するような状況だ。何かパーティーとかイベントがある訳でもないらしい。そのように混んでいる状況で、どうにか座ることができる店を探して、そこに入ったのである、
 ボローニャはパルマが近い。ということで、パルマの生ハム、パルメジャン・チーズ、そしてタコとジャガイモを煮たもの、そしてサラダを注文する。ワインはピエモンテ州の赤ワインで、グラス7ユーロのものであったが、これは美味しかった。私は赤ワインが苦手なのだが、これは流石に私でも美味しさが分かるようなふくよかで奥深い味であった。もちろん、生ハム、チーズは文句なしの美味しさである。これはイタリア4日目でほとんど初めてと言っていい、美味しい食事であった。
 さて、翌日は午後にボローニャを発たなくてはならないのだが、昼ご飯は是非ともボローニャでと考えて食べに行く。ボローニャはどうもトルテリーニが名物らしい、ということでホテルの人にどこが美味しいかと尋ねて教えてもらった店に行く。この店も昨日と同じようにマジョーレ広場のそばにあった。ホテルの人に13時には長蛇の列で大変混み合う、と言われたので11時30分頃に行く。ちなみに店を出たのは12時15分頃であったが、そのとき既に30人ぐらいの長蛇の列ができていた。ということで、相当な有名店であると思われる。トルテリーニは3つのメニューがあったが、私は普通のチーズをからめたものにした。もう一つはワンタンのようにトルテリーニがスープに入ったもの、そしてベジタリアンのものであった。東京で言えば美味しい餃子屋みたいな感じなのだろうが、これはちょっとそうそう日本でも食べられないレベルであると思う。本場の凄さ、というかイタリアの底力を知らされた。
 スローシティでは、まったく食文化という点からは期待外れであったので、イタリアのスローシティ、スローフードも看板倒れなのかと疑っていたのだが、ボローニャでそのような歪んだ偏見は吹っ飛んだ。ボローニャ素晴らしい!

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(素晴らしき赤ワイン)

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(生ハムとパルメジャン・チーズ。鉄板ですね)

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(たことジャガイモのサラダのような料理)

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(ボローニャ名物のトルテリーニ。これは素晴らしい!)

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コーラを飲んで食事をしながら、グルメ談義をするのは滑稽な気がする [B級グルメ雑感]

自由が丘のある中華料理店で、一人で夜飯を食べていた。結構、味に拘る評判のよい店である。客は私と30代半ばをおぼしき女性の二人だけ。この女性客はどうも常連らしく、客も少ないこともありシェフと会話をしている。私は一人なので、なんとなく会話に耳を傾けていた。
 どうも、この女性客はシェフの考案中の料理を食べて、いろいろと感想を述べているようだ。そして、その後、ラーメン談義に会話は展開していく。
「札幌ラーメンのケヤキ・ラーメンは観光客しかいかない。地元民はいかない。地元民が行くのは○○ラーメンだ」。
 ちょっとメモをしたいようなことを話している。
「長浜ラーメン、あんな不味いものはない。私は、とても喰えない。なんで、あんなものを有り難がる人がいるのかなあ。安いかもしれないけど、あんな不味いのじゃ金を一円でも払う価値はないと思う。味がわかんないじゃない」
 私は、実は長浜ラーメンが結構、好きだ。そうなんだ、私は味音痴なのか。確かに、そんなに美味しいかと言われたら怪しいけど、私は吉野屋の牛丼とかも別に美味しく食べられるからな。まあ、料理の味にとやかく言う資格とかないのかなあ、と謙虚に思いながら聞いていた。というのも、私はその自信をもった話しっぷりから、彼女を料理研究家であろうと勝手に勘ぐっていたからである。
 さて、そこで精算をしようと彼女の座っている卓の前のレジに歩いて行くと、なんと彼女はコーラを飲んでいたのである。コーラを飲んで、中華料理の味を評価するのは不可能だろう。というか、コーラを食事中に飲まないでしょ。あんたは甘やかされた子供か。コーラだろうがファンタだろうが、そんな強烈に砂糖が入っている飲み物を飲んだら、味、分からなくなるでしょう。別に飲むなとは言わないけど、料理の味をとやかく言う資格はないだろう。と、心の中で、その女性を勝手に料理研究家であったと思ってしまった自分に滅茶苦茶突っ込んでいた自分がいた。

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土曜日なのでフェイジョアーダを食べる [B級グルメ雑感]

ブラジルの代表的な料理としてフェイジョアーダがある。これは、豆と豚肉、牛肉を煮込んだ料理であるが、いつも食べられる訳ではなく、クリチバだと水曜日と土曜日に食べられる。ということで、今日、土曜日の昼ご飯はフェイジョアーダにした。クリチバ市内のイグアス通り沿いのBimy’s レストランチに訪れる。ここは日系人が経営している。土曜日の昼ご飯は、ほぼほとんどの客がフェイジョアーダを注文する。最近はインゲン豆が高騰していて、フェイジョアーダの内容も若干、貧弱になっているそうだ。とはいえ、ビールを片手に食べるフェイジョアーダは美味しい。豚の脂身、生ソーセージ、豚の耳や鼻、足、尾、皮などが入っている。これを繊切りにして炒めたケール(コーヴェ。キャベツのような野菜)とベーコン、オレンジのスライス、ライス、そしてキャッサバの粉と一緒に食べる。私的にはシュラスコよりも好みかもしれない。ここでは、ビールなども含んで一人あたり45レアルぐらい。日本円で1400円ぐらいか。お得感が素場らしい。

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ちもとの有名なかき氷を食す [B級グルメ雑感]

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都立大学駅のそばに住んでいる。ここには、全国的に有名なかき氷を提供する「ちもと」という和菓子屋さんがある。私は、都立大学に6年前に越してきたのだが、その時からずっと、このかき氷を食する機会を探っていたのだが、なかなか実現できずにいた。これは、このかき氷を提供するのが7月中旬から9月初旬までの短い期間であるということと、私は東京の夏が嫌いなので8月や9月初旬はほとんど東京にいない、ということが最大の理由、さらに付け加えると、ちもとは喫茶スペースが小さいので、もうこのかき氷を食すには、開店前に並ばなくてはいけなく、それがなかなか億劫だったということがある。
 しかし、いつまで都立大学に住んでいるかも分からない。このままだと下手したら一生、ちもとのかき氷が食べられないかもしれないと焦った私は、今年の夏こそは絶対食べてやる、という強い意志を抱いたのである。さて、そして、その決行日を8月3日の水曜日に設定した。前日は早く寝ようとしたのだが、なかなか寝付けなかったのだが、バシッと8時前には起き、開店の10分前の9時50分にちもとに到着した。天気は曇りがちで気温もそれほど高くない。これは、あまりかき氷を食べたくなるような日じゃないよな、という私の予想に反して、店の前には既に50人以上の行列が出来ていた。驚きである。さて、しかし行列の最後尾に並ぶと既に店の人が待ち構えていて人数を確認してくれる。私はどうも36組目らしい。しばらく待つと、他の店員に待ち時間を教えてもらった。なんと15時30分!ということは、もうほとんどぎりぎりだったということである。あと15分ぐらい遅れたら、すなわち開店以降に来たらその日はありつけなかったのかもしれない、ということを知る。平日でもこの人気である。週末だったら何時に来ればいいのだろうか。ちもとの人気恐るべし!である。
 さて、ということで家に戻り、少し仕事をして15時30分に戻る。注文はおまかせ(1000円)である。さて、まず目につくのは、その大きさである。それはETでも有名になったワイオミング州のデビルズ・タワーのように重力に逆らって隆起したかのような形状をしているのだ。なんで、崩れずにこんな形状が維持できているのだろうか。それは、おそらく凍っているからだろう、と推測する。冷温なので、原子が結合しているのであろう、と化学がさっぱりな私は当てずっぽうな推測をする。
 この巨大な岩塊のようなかき氷は、ミルクと抹茶が半々に、まるでマジンガーZのあしゅら男爵のように綺麗に二つに分かれてかけられている。このかき氷は最初のスプーン入れで崩壊するのでは、というこちらの心配をよそに、しっかりとその形状はスプーンを入れても維持している。その氷は、まるで原子を発見するために何回も割ったかのように一つ一つが小さく、それらが綿飴のように柔らかになっている。そのせいだろうか、氷だけでも、とてつもなく美味しい。それは、おそらく一般的に人々が抱いている氷とはまったくの別物である。氷の硬さのようなものが一切なく、それは口に入れるとしゅんと溶けていく。ただ、溶けていく瞬間に身体から熱を猛烈に奪っていくので、空調が効いている店内では身体が冷えすぎる。これは特別なかき氷である。さて、しかし、このちもとのかき氷を他店のそれと決定的に違わせるのはこの氷ではなく、この巨大なる興隆するかき氷の麓に、まるで金塊の金のように眠る和菓子群である。巨大なるかき氷を食べたものだけが、それを褒美として口にすることができる。噂には聞いていたが、その和菓子群は寒天、小豆、白玉といったオーソドックスのものの中に、最近、富に有名になった八雲餅や水ようかんが入っている。食べ終わって、身体は冷え切ったが大変満足をした。これからも一年に一度は、食べてみたい。並ぶ価値は十分にある。 
 


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駅弁砂漠の新宿駅で美味しい駅弁を食べる処方箋 [B級グルメ雑感]

新宿駅は駅弁が今ひとつである。その昔は、代々木の田中屋が新宿駅での構内営業権を得て、1951年には名物駅弁となる「鳥めし」を販売し始めている。私も中学生の頃、新宿駅からあずさで旅行に行く時などは「鳥めし」を買って食べていた。結構、それが中央本線の鉄道旅行の楽しみの1つであったぐらいだ。しかし、その後、国鉄がJRとなり、田中屋と日本食堂が合弁会社をつくった辺りから、新宿駅から美味い駅弁が消えていく。2001年に復刻鳥めしが販売されるが、昔の「鳥めし」とは全然、違うものであった。まあ、田中屋ではなく日本レストランエンタプライズがつくっているからな。私は、日本レストランエンタプライズがつくっている駅弁で美味しい駅弁を一度も食べたことがない。さて、しかし、どうも2015年3月に日本レストランエンタプライズがつくった弁当以外の駅弁を購入できる店が新宿駅構内にできたそうではないか。ということで、新宿駅発のあずさに久し振りに乗る私は、そちらへ向かった、南口のコンコースにこの目当ての駅弁屋「頂」はあった。ここは、どうも新宿駅オリジナルというよりかは、京王百貨店がやっている全国駅弁祭りを常時、やっているようなコンセプトのようなお店であった。駅弁の嬉しいところは地産地消であり、そこだけで食べられる感、だと思うのだが、まあ、しょうがないので、小田原に本店のある全国駅弁の殿堂入りクラスの「鯛飯」で有名な東華軒の「駅弁130周年記念金目鯛めで鯛めし」(1300円)を注文する。車内で食べたが、当然のごとき美味しかった。ただ、車窓が相模湾や駿河湾ではないのにはちょっと違和感はあるが、まあ、不味い駅弁を食べるよりはよいかな、と思ったりもする。とはいえ、本当は新宿駅でしか買えない美味しい駅弁があると嬉しいのだが。昔の「鳥めし」のように。とはいえ、田中屋は2012年に日本レストランエンタプライズに完全、合併されたから、どこかのベンチャーが参入するしかないのかもしれないが・・・
タグ:新宿駅 駅弁
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駒沢公園の東京ラーメン・ショーを訪れ、がっかりする [B級グルメ雑感]

 駒沢公園で開催されている東京ラーメン・ショーを訪れる。これは、6年前から開始されているイベントで、私は前からちょっと興味を抱いていたが、なかなか行く機会がない。ちょうど、次女と外食する機会があったので訪れることにした。
 既に過去6回の開催で累計200万人が来場しているらしい。これは、日本最大級のラーメン・イベントらしい。主催は一般社団法人ラーメン協会。こんな協会があるんだ。
 東京ラーメン・ショーは、2015年は12日間の開催である。私が訪れたのは10月31日で、全部で20店舗が出店していた。ラーメンを食べるのには、前売り制のチケットをまず購入する。値段は一杯850円であり、どのラーメン屋で食べても同じ値段らしい。
 ずらっと横に並んでいるラーメン屋のどれに入っていいかもよく分からなかったので、とりあえず最も行列が並んでいるところに並ぶことにすることにした。しかし、一番行列が並んでいる店は市ヶ谷のラーメン屋であった。そうであれば、市ヶ谷で食べた方がいいだろうと考え、もう一つのラーメン屋にて並ぶことにした。これは北海道の味噌ラーメンと書いてある。「麺風來堂」というお店である。せっかくなので、東京で食べられないラーメン屋に入りたいと考えたからである。しかし、列を整理したお姉さんと話をしたら、東京にも支店として進出していることが分かった。何なんだ、これなら、わざわざ食べることないじゃないか、と大変、残念な気分になる。
 15分ぐらい並んで、ラーメンを食べることができた。料金は850円ではあるのだが、オプションをつけると追加料金を払わされ、我々は全乗せで300円ほど余計に払った。全乗せは、海苔5枚、ねぎ大盛り、チャーシュー、煮卵、そしてメンマがつく。さて、しかし、ねぎ大盛りという割には、おそろしくしょぼしょぼした葱しか入っていなかった。これは詐欺だな。
 ただし、味噌ラーメンは腹が立つほどは不味くはなく、まあそこそこの味であった。とはいえ、これで1150円は明らかに高すぎだろう。このフェスティバル感だと、安く食べられるのではと期待していたが、実際はむしろ逆であった。

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(この葱の量でなぜ、葱大盛りになるのだろうか?)

 私の場合は、駒沢公園には歩いて行けるので、まあ散歩ついでということもあったが、公共交通や自家用車でこれに来たとしたら、結構、後悔するだろうなとも思ったりした。ただ、どうもデートで来ているような人が多くいたので、まあデートの口実にするのであれば、悪くないイベントかもしれない。ラーメンを食べに来るイベントでは決してない。
 このラーメン・イベントは相当、集客をしているので、集客イベントとしては間違いなく成功である。さて、しかし、それが地域の活性化などに繋がるかというと極めて疑わしく、おそらくほとんど関係ないと思う。それは例えば、下北沢のカレーフェスや阿佐ヶ谷のジャズフェス、墨田区のジャズフェスなどとは大きな違いであると思われる。
 要するに街の知名度の向上にも貢献しなければ、商店街にある他の店でちょっと買い物をするといったトリクル・ダウン的な効果もまったく期待できない。駒沢公園というオープン・スペースをうまく使うといった観点からは、やらないよりはましかもしれないが、何か仕掛けがなくて面白くない。消費者の観点からしても、安いわけでもなく、特別なラーメンを食べられる訳でもなく、おそらく作っている人もほとんどアルバイトのようなものなので、店に比べて美味しい訳でもなく、それほど有り難くない。
 ということで、相当、これは無駄なイベントである。こういうイベントをやるのであれば、商店街とか街中でやれればいいのに、と思う。例えば、目黒駅周辺はラーメン激戦区であるのだが、目黒駅周辺とかでラーメン祭りとかをするのは意味があると思う。
 駒沢公園のように街との関係性が低いところで、東京にあるラーメン屋にしか行列が出来ないようなラーメン・フェスティバルをする必然性は相当、低いであろう。これではラーメンのプロモーションにもなっていない。単なるイベント屋だけが儲かるような虚しいフェスティバルである。
 まあ、それでも経済が回るというのであれば、それはそれで否定はしないが、その分、美味しい街中のラーメンを食べる機会費用を失ったかと考えると、消費者のためにもならない。私は、本当そばに住んでいるが、二度と行かないと思う。

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(ラーメン店の出店の様子。並んでいる店とそうでない店との差が大きい)

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(コラボがコンセプトらしいが、そもそもラーメンというのは、それ自体が完成された小宇宙である。異物を入れてさらに美味しくなるという発想は、真剣にラーメンと向き合っていたら出てこない発想ではないだろうか?)
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新大阪駅の駅弁の悲惨な状況をみて、これはもはや大阪病ではないかと思ったりする [B級グルメ雑感]

 新大阪から朝8時台の新幹線に乗って東京へ向かう。早く起きられたら、新大阪駅で私の評価が高い「エスタシオン・カフェ」でモーニングを考えていたのだが、寝坊したので駅弁にすることにした。さて、しかし、新大阪駅の駅弁はほとんどJR東海パッセンジャースの商品が占有していた。新大阪駅は、むかしは水了軒の八角弁当など、結構、美味しい駅弁があったのだが、今は、もう駅弁が「不味い」駅へと堕落してしまっている。グルメ都市大阪のブランド戦略にも大きくマイナスになるような、この状況。まさに大阪がこれまで失墜してきた状況を象徴させるような現象である。それは、いいものを持っているのに、そのよさを手前味噌でしか理解しないで、そのよさを伝える努力もしないのに、よさが分からないと消費者を小馬鹿にして、結局は消費者からしっぺ返しを食らう、というような現象である。大阪シンドロームとでも名付けたいような現象だ。これは、大阪がオリンピックに立候補したとき、私が大阪市役所に「オリンピックを実現させるための戦略」といった内容の企画書を持って行き、その時に市役所の人との会話から痛切に感じたことだが、この新大阪の悲惨ともいえる駅弁の状況でも、この大阪病とでもいうべき悲しい事態を察することができる。ちなみに、この企画書は没にされています。
 さて、しかし、大阪のことより、気にしなくてはいけないのは目の前の朝食だ。「JR東海パッセンジャース」以外の駅弁はないか、新幹線出発の時間を気にしながら尋ね歩いて、みつけたのが柿千の『多幸の宝箱』という弁当であった。これは、ペットボトルのお茶と合わせて1040円。値段的には極めて妥当。さて、中身であるが「たこむす」が二つ、梅干しが二つ、蛸フライがたくさん、それにたこの姿煮ご飯などである。食べてみたらそんなには悪くはない。絶品という訳ではないが、そんなに悪くないなと比較的満足する。しかし、あとで、この駅弁をチェックするとJTBグループの子会社のJTBフーズというところがつくっているものであった。まあ、大企業による弁当で、JR東海パッセンジャースと大同小異のようなもので、地元の弁当会社がつくっているものではなかった。この事実を知って、ちょっとがっかりするが、それでも味覚面では、JR東海パッセンジャースのものよりは上であった。とはいえ、グルメ都市大阪の駅弁が、どうにか食べられるかな、というレベルのものにしかありつけなく、それも大企業がつくっているのは本当に残念なことだと思う。大阪がしっかりしないと東京も駄目になるし、日本も駄目になっていく。しっかりしてもらいたいな、と勝手ながら思いつつ、東京に戻る。

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崎陽軒のシウマイ弁当へのオマージュ [B級グルメ雑感]

 世の中には数多くの駅弁がある。それら駅弁の中でも、最も過小評価されていると私が思うのは横浜駅中心に売られている「崎陽軒のシウマイ弁当」である。この弁当より美味しい駅弁はそうはないと思われる。現在はなくなったが大阪駅の水了軒の八角弁当とは甲乙つけがたいところがあったかもしれないが、そのクオリティは駅弁というジャンルの中では相当高いと思われる。
 しかし、ほとんど評価されていない。「孤独のグルメ」のエピソードで出てきたりはしたが、一般的にもこのシウマイ弁当が美味しいという話を聞いたことはない。
 その理由は、おそらく、このシウマイ弁当に希少価値がまったくないからであろう。例えば、森駅のイカめしはもう伝説的な駅弁になっているが、これは森駅でしか売られていないからであろう(まあ、デパートが主催する全国駅弁大会とかのイベントではメイン・コンテンツとなっているが)。私もわざわざ森駅までイカめしを買いに行ったことがある。それほど美味しいとは思わないが、その馬鹿げた苦労が、絶妙なスパイスになって、美味しく思わせるような効果があるのだ。
 そのような希少性の高い駅弁に比べると、このシウマイ弁当、もうどこでも買えてしまう。最初にこのシウマイ弁当が販売されたのは1954年。横浜駅であった。新幹線が開業してから新横浜駅でも販売。そして、現在では川崎駅、新橋駅、桜木町駅、鶴見駅、関内駅、保土ヶ谷駅、武蔵小杉駅、洋光台駅、港南台駅などでも買える。JRだけでなく、相鉄の大和駅、海老名駅などでも購入できるし、京急の品川駅、上大岡駅、金沢文庫駅などでも買える。新宿駅でも小田急側のキヨスクで売っていた。東京駅の大丸でも売っている。さらには、羽田空港でも売っている。また、京葉道の幕張パーキングエリア(下り線)、関越自動車道の三芳パーキングエリア(上り線)でも販売されている。これだと、もう駅弁というよりかは、スターバックスのカフェラテのような有り難みの無さである。
 さて、しかし、スターバックスのカフェラテとの大きな違いは、これだけどこにでもある大量生産品の駅弁であるにも関わらず、そこらへんの駅弁よりもずっと美味しいということである。例えば、現在は東京駅のエキナカが出来たことで、そのポジショニングは怪しいが、エキナカが出来る前までは、東京駅構内で購入できるどんな駅弁よりも「シウマイ弁当」は美味しかった。少なくとも帝国ホテルの駅弁が東京駅ホームで販売されなくなってからは、「シウマイ弁当」はダントツに他の駅弁よりはましであった。これは、横浜駅においてもいえるし、さらには羽田空港でも言える。結構、すごいことだと思う。
 とはいえ、ここまでどこでも買えて、駅弁かという議論があることは分かる。確かに駅弁の魅力というのは圧倒的に、その地域性、その場所でしか購入できない、という点に魅力があるからだ。そういう点からは、ちょっとルール違反という気もしないではない。まあ、美人ではあるが誰とでもデートに行くので有り難みがなくなってしまった女性のようなものか。
 ただ、ローカルではある新横浜駅はともかく、東京駅や羽田空港でも、時間がない時は、私はやはりシウマイ弁当を買ってしまう。それは、味が他より優れているからであるのと同時に、750円という料金の安さによる。
 ところで、なぜ、こんなにシウマイ弁当が美味しいのか。崎陽軒のホームページをみると、いろいろとこだわりがあることが分かった。まず、入れ物が違う。シウマイ弁当には、経木の折が使われているのだが、これはご飯からでる水分を上手に吸収するそうだ。また、ごはんは蒸気炊飯方式で炊きあげている。この方法だと、「ご飯の粒が立ち、冷めても美味しく召し上がっていただけます」ということだそうだ。さらにご飯は、俵型である。これが何か、取りやすくていいんだよね。そして黒胡麻と小梅。この小梅もまた着色料がついていない感じのオリーブ色みたいで好感度アップである。そして、この弁当の主人公は当然、崎陽軒の5個のシウマイであるのだが、その周りを固める脇役陣が素晴らしい。まず、こんがり焼かれたマグロの照り焼き、ジューシーな鶏唐揚げ、そして味が染みこんだご飯がどんどん進む筍煮、さらにかまぼこ、卵焼き、切り昆布、千切り生姜。これだけでも十分なのにデザートにもなる酸味が効いた干し杏。
 どこにでもあり希少性のなさが駅弁の魅力を減じさせているが、味の良さでやはり、いざという時には頼りになる有り難い弁当なのではないかと思う。これからも頑張って、美味しい弁当を提供し続けてもらえるように応援したい。

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(完全無欠な駅弁に近い崎陽軒の「シウマイ弁当」)
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深川のアサリ飯 [B級グルメ雑感]

深川のアサリ飯、別名、深川飯はアサリを長ネギ、油揚げなどとともに醤油を掛けたものを煮て、その煮汁を加えて飯を炊き、炊きあがったものに具を戻してかきまぜたものである。炊き込みご飯であるが、具は一緒に炊くわけではない。東京駅のJR系の駅弁の代表格でもあるので、結構、知名度も高いかと思われる。

さて、この深川飯を提供するご主人さんとちょっとお話をすることができたのだが、結構、興味深い話を聞くことができた。まず、このお店は基本的には国産のアサリを使っているのだが、深川飯だけは韓国ものを使うそうだ。これは、韓国のアサリの方が大きくて、しかもあまり磯臭くないからだそうだ。他の料理はともかく、大量のアサリを用いる深川飯は、国産でない方がむしろ味はよくなるそうだ。また、東京湾のアサリというものもあるが、大変、高級であるので、とても手が出ないそうだ。

深川飯というかアサリ飯は、そもそもは漁師が舟の上で食べるための料理。手っ取り早く、アサリのすまし汁を米に掛けてかっ込むような料理であったそうだ。今で言うところのファストフードである。これは昼食の時間が15分くらいしか取れなかったことも要因であったそうだ。ということで、れっきとした江戸時代からの料理で、昔からこの門前仲町でつくられていたそうだ。これは、この門前仲町は漁場であり、おもにアサリ漁が中心であったからだ。漁師はおもに佃に住んでいた。現在は漁業権はほとんど放棄したので、門前仲町周辺では漁業はできなくなり、もっとも近場でも千葉県であるそうだ。

こういう話を聞くと、深川飯を食べるうえで、より有り難みが増す。それは、私がアサリ飯だけでなく、それに付随するストーリーも消費しているからだ。こういうストーリー性消費は、今後、需要が伸びていくのではないだろうか、と思いつつ、私は深川飯を食べていた。

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日経新聞系の記者の中には、相当の味音痴がいるのだろうか? [B級グルメ雑感]

自由が丘に日曜の昼にとことことランチをしに行った。最初に行こうとした中華レストランは、その日は予約でランチは満席とのこと。そうか、日曜の自由が丘は、ランチは厳しいのだな。と、家に戻ろうとしたら、女房が完全に外食モードになっていた。ということで、だめもとでキッチンプラスに向かったが、やはり10人以上の行列。さて、それじゃあどうしようと歩いていると、マルゲリータ350円のピザ屋をみつけた。店内を伺うと竈のようなものもある。さらには、日経トレンディ、日経新聞、日経レストラン、東京ウォーカーのこのレストランの紹介記事が貼られている。もしかしたら面白いかも、とりあえず350円のピザ・マルゲリータがどんなものか試してみようと思い、入る。さて、メニューをみると、ドルシェのチョコレート・ケーキが400円、カフェラテが400円。そうか、マルゲリータ350円で釣って、ここらへんで利益を出すビジネス・モデルなのだなと推察する。飲み物はコーラとかしかないので、昼だし水でいいやと注文しなかった。あとで、「水をくれますか」と言ったら、「そんなものはありません」と言われる。水を出さないレストランって、ファストフード店でも珍しいなと思う。とはいえ、甘いソーダを飲むのも嫌だし、400円のカフェラテをここで注文して飲むのは、流石に自由が丘的に辛いなと思い、飲み物なしでピザを食べる。さて、350円のマルゲリータ。サイズは結構いい。ただ、よく考えるとヨーロッパではイタリアはもちろん、ドイツでもピザは大体マルゲリータだと4ユーロしない。だから、まあヨーロッパ的な価格設定かなと思えばそれほどは安くはないのだが、日本はピザが全般的に高いので、そういう点ではこの価格は画期的だ。ということで、食べてみる。まあ、ピザとカレーはそうそう、不味くすることが難しいので、味もそんなに悪くはない。350円であれば、これもなかなか悪くないかもしれないな、と思ったところで生地が?であることに気づく。なんと生地から洗剤のような臭いがするのである。これは、おそらくこのピザを焼いているオーブンの洗剤がピザの生地に臭いとして染みこんだのか、それとも生地を練っている時によく手を洗っていなくて、洗剤が入り込んだかであろう。生地を練っているヤンキー系の若い女性は、偏見かもしれないが、ちょっと衛生観念に欠けているようにも見えた。
 この店に来るまでは、それまで不味いピザをつくるのは難しいな、と思っていた。これは食文化が日本なんかより遙かに劣っているドイツだけでなく、ドイツよりさらに下のアメリカでも、とりあえずピザは食べられるからだ。私はドミノ・ピザとかでもそれなりに美味しいと思うような輩である。私がこれまでで一番、不味いかなと思ったピザは、ブラジルの食べ放題ピザ屋のチョコレート・ピザであった。とはいえ、それでも食べられた。しかし、まさか食文化においては世界的にも極めて優れている日本の、しかもお洒落なレストランが集積している自由が丘で、人生で最も不味いピザを食べることになるとは、人生、まさに一寸先は闇である。そして、そうか、こうすれば不味いピザがつくれるのだな、ということにも気づかされた。このようなピザであれば、どんなにコスト・パフォーマンスがよく見えても、実質的にはまったく悪いというか、ゼロの価値には一円でもコスト・パフォーマンスは悪くなる。あと、何しろ驚いたのは、このようなピザ屋を激賞するような記事を書くほど日系の記者は味が分からないかほどの味音痴であるか、よほど提灯記事を書くギャラがいいのか、のどちらかであるということだ。後者だとマスコミとしては問題だが、前者だと人間として問題である。まあ、どちらにしろ問題であり、ちょっと日経新聞のブランドが私の中では大失墜した。あとこの店だが、名前はちょっと書くのは控えるが、その前までは『佐世保バーガー』をやっていた場所に開店した店である。自由が丘でピザ屋に入る時は、どこに入ってもピザだから大丈夫だろう、と思うと痛い目に遭わせられるかもしれない。

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(日本的には画期的に安い350円のマルゲリータ・ピザ。しかし、コスパは悪い)

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(店には賞賛する雑誌、新聞の記事が展示されていた。なぜか、ほとんどが日経新聞系)

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名古屋駅の駅弁「松坂牛めし」は美味い [B級グルメ雑感]

以前、名古屋駅の駅弁を食べるのであれば松浦商店がお勧めであるというのをこのブログで書いたことがある。1年前の7月である(http://urban-diary.blog.so-net.ne.jp/2011-07-24)。

そこでは、松浦商店の「特製とりご飯」はなかなか美味しい、ということを書かせてもらった。そして、今日、また名古屋駅で駅弁を食べる必要性が生じたので、迷わず松浦商店のお弁当、しかも「松阪牛めし」というのを注文した。これは1100円と値は張るが「半熟卵」がついているという気合いの入れようである。実際、たれがしっかりと効いた牛肉と炒めた玉葱、たけのこ、椎茸、ごぼうに半熟卵を潰して食べるこの松阪牛めし、なかなか美味しくて感心した。名古屋の駅弁は不味い、というイメージは本当に撤回しなくてはならないと再び感じた次第である。

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ダンジェネス蟹は毛ガニや越前ガニとは比較できないほど不味いと思う [B級グルメ雑感]

 シアトルに来て、目の前に海があるので、魚介類が食べたくなって蟹と牡蛎を食べることにする。パイクス・プレース・マーケットでレストランを探していたら、2008年のザガットでシアトルのトップ5とのポスターを貼っている店があったので、そこに入る。シアトルに来てから野菜を全然、取っていないのでグリーン・サラダ、そしてダンジェネス・クラブ、さらには牡蛎のクリーム・スープを注文する。
 ダンジェネス・クラブは、私が知るかぎりでは、全く美味しくない蟹で、日本の毛ガニや越前ガニの足下にも及ばない。上海ガニはもちろんだが、ブラジルのマングローブ蟹や、同じアメリカの東海岸のストーンクラブに比べても美味しくない。私的には、蟹ランキングでは、もう1Aレベルである最下層の蟹である。サンフランシスコに住んでいた時は、これはきっと調理が下手だからだろうと自分で買って、自分で調理をしても不味かったので、私は、もうこれは蟹が今ひとつであると確信している。まあ、そういう訳で、まったく期待もしなかったのだが、それでも蟹は蟹。しかも、このレストランはなかなかしっかりと調理はしそうなので久しぶりに注文したのである。
 さて、茹でられた蟹の半身が出てきた。バターを溶かしたものや、ペストがついてくる。試しにこれらをつけて食べてみたが、蟹の美味しさが分からなくなってしまう。味をごまかすほどは不味くはないので、レモンだけで食べる。毛ガニの美味しさを知っていると今ひとつだが、毛ガニとは違う種類の魚介類だと思って食べたら、まあまあ悪くない。半身で18ドルという値段も日本と比べても安いと思われる。
 さて、しかし、ここのレストランはなかなかだと思わせられたのは、むしろ牡蛎のクリーム・スープであった。大きめの牡蛎が二つ入ったスープは、濃厚な味がして私は大いに気に入った。アメリカで美味しいと思うレストランには滅多にお目にかかれないので、なかなか幸運であるなと感じると思うのと同時に、シアトルという都市の好感度が大幅にアップした。

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(ダンジェネス・クラブの半身。これで18ドル)

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(牡蛎のスープ。これはお勧めです)

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