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ジェネシスの『フォックストロット』 [ロック音楽]

ポール・ホワイトヘッドのデザインによるジェネシスのアルバムは3枚出されているが、その怪奇的なアルバム・カバーと同様に、この3枚の作品においてジェネシスが創り出す音楽もどこかおどろおどろしい。というか、アルバム・カバーがあまりにも気味が悪いので、音楽もその影響を受けて猟奇的というか怪奇的に聞こえてしまうのかもしれない。歌詞も人間ベーコンとか、人と地球の共生の終焉とか、人食い雑草、とかが出てくるから、まあ確かに薄気味悪い。『フォックストロット』は、このポール・ホワイトヘッドがデザインを手がけた3枚のアルバムのうち最後に発表された3枚目になる訳だが、前作『怪奇骨董音楽箱』から格段に楽曲といい演奏技術といい飛躍した作品となっている。前作も大した傑作であり、その前の作品である『侵入』に比べて遙かに進歩していたことを考えると、この時期のジェネシスのメンバーの上達ぶりは目を見張るようなものがある。若い才能がどんどんと花開いていく過程が、今、聞き比べても分かる。そして、この『フォックストロット』は、『ナイフ』、『怪奇骨董音楽箱』と追求してきた「おどろおどろしい世界を表現する音楽」の頂点であると考えられる。『ウォッチャー・オブ・ザ・スカイ』というジェネシスの歴史を通じても名曲中の名曲を含み、また、『サパーズ・レディ』という20分間を越える超大曲をも見事に構成させることに成功している。その他の作品もどれも素晴らしく、怪奇風ドラマチック・プログレ・ロックというジャンルがあれば、まさに歴史上の傑作として位置づけられる。ジェネシス自身も、この方向性では頂点を究めたと思ったのかどうかは知らないが、以降は曲の世界観というよりかはメロディーと演奏でより人々を魅了させる曲づくりへとシフトしていく(眩惑のブロードウェイだけは、再び壮大なる世界観をつくりあげるが、これはバンドというよりかはピーター・ガブリエルの志向であったと考えられる)。ということで初期のジェネシスの代表作であると同時にプログレ・ロック史上の傑作でもあると考えられる。

フォックストロット

フォックストロット

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1995/11/29
  • メディア: CD



フォックストロット(DVD付)(紙ジャケット仕様)

フォックストロット(DVD付)(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
  • 発売日: 2009/01/28
  • メディア: CD



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