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ピンク・フロイドの『アニマルズ』 [ロック音楽]

ピンク・フロイドの10枚目のアルバムで1977年にリリースされた。バッターシイ火力発電所の上を豚が飛んでいるという、ピンク・フロイドのアルバムのデザインでもピカイチの作品はイギリスのデザイン集団ヒプノシスの手によるが、そのアイデアはロジャー・ウォーターズのものであった。

犬、豚、羊というタイトルの10分以上の曲が3曲、そして、イントロとエンディングに羽のある豚、という短い曲がアルバムを締める。

非常に分かりやすいコンセプト・アルバムで、ジョージ・オーウェルの「アニマル・ファーム」にヒントを得ていると思われるが、オーウェルがスターリン主義を批判していたのに対して、このアルバムは資本主義への批判であり、また本アルバムではシープが最終的に権力の手先であるドッグに打ち克つ。シープの最後で犬を撃ち殺した後の歓喜を表現するリフは、ピンク・フロイドがいかにロック・バンド的な編成での音づくりに長けているかを理解させられる。また、犬における「油断をさせておけば、背中を刺すチャンスが得られる」など、相変わらずロジャー・ウォーターズの歌詞は聴いていてゾッとさせられる。その歌詞の後に、ギルモアの美しいディストーションがかかったギター、ライトの緊張感高めるギーボードのバッキングは、極めてピンク・フロイド的な音楽世界であると思われる。この曲のギルモアのギター・プレイは特筆すべきものかと個人的には思う。

このように私はこのアルバムは70年代というピンク・フロイドの黄金期においても、傑作であると思うのであるが、なんせ、この10年間に「狂気」と「壁」というロック史上における大傑作アルバムを製作したために、どうも評価が今ひとつであるが、それはこのアルバムにとって公平ではないような印象を受ける。私は、ザ・ウォールが発表される前にほぼ発売当時に聴いたので、それは大いなる感動を覚えたのを覚えている。偉大なバンドの相対的にいま一つのアルバムという評価は間違っていないだろうが、アルバム単体で評価すれば、傑作であると思われる。


アニマルズ

アニマルズ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2000/06/28
  • メディア: CD



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