SSブログ

崎陽軒のシウマイ弁当へのオマージュ [B級グルメ雑感]

 世の中には数多くの駅弁がある。それら駅弁の中でも、最も過小評価されていると私が思うのは横浜駅中心に売られている「崎陽軒のシウマイ弁当」である。この弁当より美味しい駅弁はそうはないと思われる。現在はなくなったが大阪駅の水了軒の八角弁当とは甲乙つけがたいところがあったかもしれないが、そのクオリティは駅弁というジャンルの中では相当高いと思われる。
 しかし、ほとんど評価されていない。「孤独のグルメ」のエピソードで出てきたりはしたが、一般的にもこのシウマイ弁当が美味しいという話を聞いたことはない。
 その理由は、おそらく、このシウマイ弁当に希少価値がまったくないからであろう。例えば、森駅のイカめしはもう伝説的な駅弁になっているが、これは森駅でしか売られていないからであろう(まあ、デパートが主催する全国駅弁大会とかのイベントではメイン・コンテンツとなっているが)。私もわざわざ森駅までイカめしを買いに行ったことがある。それほど美味しいとは思わないが、その馬鹿げた苦労が、絶妙なスパイスになって、美味しく思わせるような効果があるのだ。
 そのような希少性の高い駅弁に比べると、このシウマイ弁当、もうどこでも買えてしまう。最初にこのシウマイ弁当が販売されたのは1954年。横浜駅であった。新幹線が開業してから新横浜駅でも販売。そして、現在では川崎駅、新橋駅、桜木町駅、鶴見駅、関内駅、保土ヶ谷駅、武蔵小杉駅、洋光台駅、港南台駅などでも買える。JRだけでなく、相鉄の大和駅、海老名駅などでも購入できるし、京急の品川駅、上大岡駅、金沢文庫駅などでも買える。新宿駅でも小田急側のキヨスクで売っていた。東京駅の大丸でも売っている。さらには、羽田空港でも売っている。また、京葉道の幕張パーキングエリア(下り線)、関越自動車道の三芳パーキングエリア(上り線)でも販売されている。これだと、もう駅弁というよりかは、スターバックスのカフェラテのような有り難みの無さである。
 さて、しかし、スターバックスのカフェラテとの大きな違いは、これだけどこにでもある大量生産品の駅弁であるにも関わらず、そこらへんの駅弁よりもずっと美味しいということである。例えば、現在は東京駅のエキナカが出来たことで、そのポジショニングは怪しいが、エキナカが出来る前までは、東京駅構内で購入できるどんな駅弁よりも「シウマイ弁当」は美味しかった。少なくとも帝国ホテルの駅弁が東京駅ホームで販売されなくなってからは、「シウマイ弁当」はダントツに他の駅弁よりはましであった。これは、横浜駅においてもいえるし、さらには羽田空港でも言える。結構、すごいことだと思う。
 とはいえ、ここまでどこでも買えて、駅弁かという議論があることは分かる。確かに駅弁の魅力というのは圧倒的に、その地域性、その場所でしか購入できない、という点に魅力があるからだ。そういう点からは、ちょっとルール違反という気もしないではない。まあ、美人ではあるが誰とでもデートに行くので有り難みがなくなってしまった女性のようなものか。
 ただ、ローカルではある新横浜駅はともかく、東京駅や羽田空港でも、時間がない時は、私はやはりシウマイ弁当を買ってしまう。それは、味が他より優れているからであるのと同時に、750円という料金の安さによる。
 ところで、なぜ、こんなにシウマイ弁当が美味しいのか。崎陽軒のホームページをみると、いろいろとこだわりがあることが分かった。まず、入れ物が違う。シウマイ弁当には、経木の折が使われているのだが、これはご飯からでる水分を上手に吸収するそうだ。また、ごはんは蒸気炊飯方式で炊きあげている。この方法だと、「ご飯の粒が立ち、冷めても美味しく召し上がっていただけます」ということだそうだ。さらにご飯は、俵型である。これが何か、取りやすくていいんだよね。そして黒胡麻と小梅。この小梅もまた着色料がついていない感じのオリーブ色みたいで好感度アップである。そして、この弁当の主人公は当然、崎陽軒の5個のシウマイであるのだが、その周りを固める脇役陣が素晴らしい。まず、こんがり焼かれたマグロの照り焼き、ジューシーな鶏唐揚げ、そして味が染みこんだご飯がどんどん進む筍煮、さらにかまぼこ、卵焼き、切り昆布、千切り生姜。これだけでも十分なのにデザートにもなる酸味が効いた干し杏。
 どこにでもあり希少性のなさが駅弁の魅力を減じさせているが、味の良さでやはり、いざという時には頼りになる有り難い弁当なのではないかと思う。これからも頑張って、美味しい弁当を提供し続けてもらえるように応援したい。

IMG_1116.jpg
(完全無欠な駅弁に近い崎陽軒の「シウマイ弁当」)
nice!(1) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1