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南陽市のいもせ食堂 [B級グルメ雑感]

南陽市には4つの高評価のラーメン屋がある。龍上海と葵、いもせ食堂とまるひろである。南陽市を訪れ、そのうち葵といもせ食堂を訪れ、またいもせ食堂では店長にお話まで聞かせていただいた。
 さて、南陽市のラーメンの特徴とは何か。それは、ラーメンの特徴がないということだ。例えば、長浜ラーメンであれば豚骨細麺、京都の一乗寺であればどろどろ鳥豚骨、尾道ラーメンは醤油スープに平打ち麺などの特徴がある。南陽市は、そのようなラベリングができないそうだ。これが、おそらく南陽市がご当地ラーメンとしてこれまで知られてこなかった理由であろう。もう一つの特徴は、ほとんどの南陽市のラーメンは20年以上経営しており、老舗が多いということだ。
 お話をしてもらったいもせ食堂もそのような老舗ラーメン店の一つである。2019年に開業してから57年目になるそうだ。現在の店長は二代目である。一代目が使っていた粉に二代目がつくった太麺。赤湯に限っての話になるが11軒中10軒が自家製麺をつくっており、麺にはうるさいお店が多いそうだ。そして、それらの多くがちぢり麺で、隣接している米沢ラーメンと全然、違う。いもせ食堂も麺に凝っている。平打ち麺であるが、手で揉んでいる。
 ここの味噌ラーメンを食べたが、麺は確かに相当、美味しい。スープは一代目からは違っているそうだ。なぜなら、ガラをつくっていた業者が潰れたりしたからだ。しかし、できる限り、先代からのスープをずらさないように留意しているそうだ。
 南陽市というか赤湯に限った話かもしれないが、ラーメンは歴史が浅い。赤湯にはそば屋とうどん屋があったのだが、一代目が始めた時は龍上海と3〜4軒ぐらいしかなかった。赤湯は温泉街。旅館の中に食べるところがない。締めのラーメンを食べるために、旅館の外のラーメン屋に温泉客が訪れるというようなパターンもあった。赤湯の観光の主流は、熊野大社に参拝して赤湯温泉に泊まるというものであったが、このような観光客はだいぶ少なくなっている。
 一方で、これは赤湯だけに限った話でなく、山形全体でいえると思うが「出前の文化」である。そして、お客さんのもてなしとして、ラーメンを食べさせて喜んでもらうというものがある。子供達もお客さんが来るとラーメンが食べられると喜んだ。これは、他に外食するものがなかったことの裏返しともいえる。
 15〜16年前、イオンが出来、またベニマルが出来たのだが、その結果、極端に夜の客が減ったり、出前が減ったりした。いもせ食堂において、セットものとかを提供し始めたのはその頃からだ。
 ラーメンの魅力としては、自分の個性を出したい人がラーメンをつくる。お互いに教えない。結果、拘りを持つ人が多い。そうでないと同じような生そばのようになっている。ラーメン屋はサムライ。まとめようとしても、まとまらない。結局、自分の主張が強い。それが魅力だけど。「個性」がある。一つ一つの顔が見える。レシピが分からないというのも魅力。
 いもせ食堂は元旦でもやっている。これは、帰省したお客さんが訪れるからだ。赤湯では、おせち料理が逆に提供されない。
 ラーメンの外食消費量が一番高い山形県で、その中でも一番消費量が高いのが南陽市。その統計的な背景が垣間見れた気がする。
 
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(いもせ食堂の辛味噌ラーメン。美味)
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