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『ブリュッセル 1080 コメルス河畔通り 23番地 ジャンヌ・ディエルマン』 [映画批評]

英国映画協会が10年ごとに発表している「史上最高の映画」ランキングの2022年版において第一位に選ばれた映画。ということで観た。まず、201分という相当の長尺の映画である。そして、難しい。なぜなら、この映画は、BGMもほとんどなく、効果音的な演出も一切なく、また会話も少なく、カメラのクローズアップなどもなく、ひたすら固定された構図での撮影がされているだけであり、女優の演技によってストーリーを理解することが求められるからだ。しかし、悲劇へと導く、彼女のルーティンの変化のきっかけは分かりにくい。ネタバレで、そのきっかけを知ると、最後のエンディングへの展開も分かるのだが、201分の期間、よほど集中してみないと、この悲劇へと導く分岐点は分からないのではないだろうか。私の想像力が欠如しているだけかもしれないが。
 私は男性ではあるが単身赴任をしているので家事をする。家事はルーティン化する。ルーティン化させた家事をこなすのは苦痛ではないし、それが生きていくことかと思ったりもする。ただ、そのルーティンのリズムを壊されることは嬉しくない。思春期の子育てをし、日々、売春をしている主人公にとっては、それはさらに大きな苦痛になったのであろう。息子の心ない言葉、茹ですぎたジャガイモ、さらには泣き叫ぶ赤ん坊なども最後の悲劇への加速を促すのだが、最大のきっかけとなる事件を私は映画を観ても読み取ることができなかった。ここは、もう少し、分かりやすく演出してもらえれば有り難かったが、多くの人は分かったのだろうか?
 この映画は観る価値はある、とは思うが、個人的にはベスト5に入ることはないと思う。ただ、これは私が映画をしっかりと鑑賞する能力に劣っているからだろう。観る人の鑑賞力を要求する映画であると思う。


ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地 [DVD]

ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2023/03/03
  • メディア: DVD



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セレステ「Not Your Muse」 [ロック音楽]

1994年生まれのセレステ・エピファニー・ウェイトの2021年のデビュー・アルバム。UKアルバム・チャートでは1位にまで上昇するが、それも納得の素晴らしいアルバム。というか、2021年になって、こういう音楽がまだ創られるのか、と驚くようなクオリティの高さである。楽曲もいいが、何しろボーカルがいい。
 セレステはなかなかエキゾニックな外観をしているが、これはイギリス人の母親とジャマイカ人の父親とを持つからであろう。そして三歳からイギリスで育つ。日本でいえば平成生まれであるが、アレサ・フランクリン、ビリー・ホリディ、エラ・フィッツジェラルドを聴いて育ったようだ。この才能がどうやって見出されたかというと、16歳の時につくった曲をユーチューブにアップしたことがきっかけだそうだ。そして、楽曲はマックのガレージ・バンドを使ったそうである。ううむ、まさに平成生まれのミュージシャンということだ。
 さて、このデビュー・アルバムであるが、どうも通常版は12曲しか入っていないようだが、私の購入した日本版は22曲と大出血サービスである。全般的にはスロー・バラード的な曲が多いが、「Tell me something I don’t know」などグルーブ感の素晴らしい曲もあって、なかなか楽しめる。コリーヌ・ベイリー・レイを彷彿させるところもあるが、彼女のようなコケティッシュなところはなく、もっと土臭い感じがする。ドシッとしている、という感じだろうか。Strangeはスタンダードになるような迫力を持っている。



ノット・ユア・ミューズ

ノット・ユア・ミューズ

  • アーティスト: セレステ
  • 出版社/メーカー: Universal Music
  • 発売日: 2021/02/26
  • メディア: CD



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『ル・コルビュジエと日本』鹿島出版会 [書評]

本書は1997年に建築会館ホールで開催された国際シンポジウム「世界の中のル・コルビュジエ – ル・コルビュジエと日本」の全発表を収録した報告書である。私はル・コルビュジエの作品群の素晴らしさが分からない。感性的にはまったくダメだ。ラ・トゥーレットの修道院などは、巨大な墓のような不気味さを感じてしまい、子ども時代にガスタンクを観て怯えた記憶を蘇らせるぐらいだ。内部空間は素晴らしいのかもしれないが(内部に入ったことはない)、外部空間は環境破壊のようにさえ感じられる。私がこのそばに住んでいたら、強力にその建築に反対するであろう。ロンシャン教会も訪れたことがあるが、その意匠は醜悪なカタツムリといった感想を抱いている。また、訪問者の半数が日本人であったことも驚きであったが、同じように曲線的な意匠のガウディとは比べものにならないデザインの今ひとつさ。これは、コルビジェの弟子のオスカー・ニーマイヤーと比べても大きく劣る、というのが私の正直な感想である。ベルリンに今、住んでいて、ベルリンにはブルーノ・タウトなどによる多くのモダニズムの建物があるのだが、それと一緒にル・コルビュジエの集合住宅もある。そして、どうしても私はル・コルビュジエの集合住宅よりブルーノ・タウトなどの集合住宅の方が好きなのだ。どちらに住むかといえば、間違いなく後者である。いや、家賃が2割ぐらいだったらル・コルビュジエのユニテ・ダビダシオンに住むことを検討するかもしれないが。日本で唯一の作品である国立西洋美術館も、まったくいいと思わない。これをみて、恰好いい!と思う人がいるとしたら、本当、変わっているな、と思う。しかし、おそらく、実は私の方が変わっていて、私の方が間違っているのである。そのようなコンプレックスのような意識を私は有している。したがって、その感性を修正するために、理性で抑えようと意識しているところがある(それが、多くのコルビジェの作品を見に行かせたり、このような本を読ませたりする理由だ)。
 本書はル・コルビュジエの日本人の師弟である前川国男、坂倉準三、吉坂隆正を中心として、孫弟子ともいえる丹下健三の建築思想などを、槇文彦、磯崎新、藤森照信など大御所建築家、研究家が語るという内容である。本書には関連する建築の写真がいくつか掲載されているのだが、どうみてもル・コルビュジエの作品より丹下健三、前川国男、坂倉準三、吉坂隆正の作品の方が、出来がいいと思えてしまう。そして、前から思っていたのだが、ル・コルビュジエのスケッチは下手だ。というか、ヘタウマという解釈はできるかもしれないが、これをみて、おお!素晴らしいと先入観なしに思う人とかが果たしているのだろうか。私が、このスケッチを見せて、こんなの考えているんだけど、と誰かに見せたら「お前のスケッチ、下手すぎ」とディスられると思う。
 何人かの報告内容を見て、磯崎新のそれを読んで、少しだけ私が共有できるようなものがあるかな、と感じた。もちろん、政治的な磯崎新であるから、私のようにストレートな批判ではないが、遠回しに、批判をしていることが読み取れる。個人的には、ル・コルビュジエが桂離宮をみた後の感想が「日本人は壁をつくることを知らない」と言ったことや、モダニズムの建築を非常に勉強していたことなど(すなわち、それほどオリジナルな考えではないこと)に興味を引かれた。
 ベルリンにいると、ブルーノ・タウトやグロピウスに比べてル・コルビジェの存在感が恐ろしく低い。これは、おそらく日本が欧州の近代建築を輸入する時、前者のモダニズム的なものも含めて、ル・コルビュジエが代表してしまったことがあるのかな、と考えたりもする。    
 まあ、これを読んだ人は、また物を知らない馬鹿が適当なことを述べている、と思われるかもしれないが、そういう人は、家のそばの丘にラ・トゥーレットができたら、素晴らしい建築作品が出来て嬉しいと思うのだろうか。サグラダ・ファミリア、エルプフィルハーモニー、シドニーのオペラハウスなどの建築の名作と、それとはまったく違うと思うのは、私が無知だからであろうか。いちおう、釈明としては無知だという前提のもと、勉強は続けています。


ル・コルビュジエと日本

ル・コルビュジエと日本

  • 出版社/メーカー: 鹿島出版会
  • 発売日: 1999/03/01
  • メディア: 単行本



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パサージュ論 第一巻 [書評]

ドイツ人の思索家、ヴォルター・ベンヤミンによる『パサージュ論』。基本的には、未完のパサージュ論を執筆するうえでの資料、メモから構成されている。しかし、それらからベンヤミンの透徹した思考を伺え、19世紀のパリ、そしてそれを取り巻く社会状況を知るうえでは極めて貴重な情報・知見を提供してくれる。全部で6つの章からなる。オースマンの章は個人的には極めて興味深かった。オースマンによるパリの大改造に関して、様々な意見・統計的な情報などが満載されているのが、その8割が極めて批判的であるのが興味深い。ただ、賞賛している意見等もしっかりとメモされていて、当然、コルビジェは大絶賛であった。それにしても、素晴らしい19世紀のパリに関しての資料集、そして考察集である。パリという都市の偉大さ・デタラメさ・ユニークさを知ることができる。



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ギター・マガジンの「偉大なギター名盤100」には異議ありまくり [ロック音楽]

ギター・マガジンの今年(2024年)の2月号は「偉大なギター名盤100」であった。私はヘタレ・ギタリストなので、ワクワクしながらページをめくった。しかし、その選考には異議ありまくりである。私は、むしろ、この雑誌の選考から、貴重な情報や知見を学ぼうと思っていたぐらいなのに、このヘタレ・ギタリストの私でも到底、納得できない選考に愕然とする。これは冗談じゃなくて、まじだったとしたら、ギター・マガジンのブランドにさえ疑義を呈しかねない。
 そもそも、ナイル・ロジャース、アラン・ホールズワース、サンタナのアルバムが入ってないのは絶対おかしいだろう。加えていえば、パット・メセニー、マーク・ノプラー、ビリー・ギボンス、プリンス、ゲイリー・ムアー、アルバート・リーが入ってないのはおかしいし、ベスト100であればピート・タウンゼント、ブライアン・メイ、ニール・ヤング、エディー・ヘーゼル、ロベン・フォード、リー・リトナーが入ってもおかしくない。
 代わりに何が入っているかというと、テレビジョンやセックス・ピストルズ、ドクター・フィールグッドといったパンク系のアルバムだ。こういう音楽は、ローリング・ストーンズやロッキンオンといったロック誌が評価するのならまだ分かるが、なんでギター・マガジンが評価するんだ。こいつらが弾いているギターが、サンタナやマーク・ノプラーより遥かに優れているというのであれば、ギター・マガジンは、別にギターを上手く弾きたい読者を想定している訳ではないことを裏付ける。というか、サマンサ・フィッシュやセント・ヴィンセントなどの最近の女性ギタリストのアルバムの方がはるかに「ギター名盤」としてふさわしいだろう。ということを、還暦を過ぎた読者に指摘されてどうする。むしろ、そういう新しい情報が欲しくて、こういう雑誌を私は買っているのだ。ハイ・スタンダードが37位、Xが38位とか、日本の「ギター名盤100」なら分かるが、これらがサンタナのアルバム群、アラン・ホールズワースのアルバム群より上位にくるとはまったく思えない。
 というか、ロック名盤ではなくて「ギター名盤」だからな。というか、Wilcoのアルバムが一枚も選ばれていないのもおかしいだろう。Doobie Brothers、ポール・コゾフのFreeも一枚ぐらい入ってもいいだろう(Fire and Waterですな。All Right Nowのギターはあまりにも素晴らしい)。Robbie RobertsonのThe Bandのアルバムも一枚は入ってもいい。Tom Campbellのトム・ペティのアルバムとかも入っていいだろう。The Carsのデビュー・アルバムも入るべきだろうし、Grand Funk Railroadもギターの名盤としては考慮すべきである。Jim Hallとかも入ってないんだよなあ。Little FeatのLowell George スライド・ギターもギター名盤100に入れるように考えるべきだろうし、Museもその革新的なギターを考えると入れることを考えなくてはいけないんじゃないか。
 ということで、メチャクチャ期待外れの特集であった。というか、ギター・マガジンが自らのブランドの信頼性を担保にこういう特集をしているという覚悟がなさ過ぎるのじゃあないか。この記事をWishbone AshのArgusを聴きながら書いているのだが、このアルバムのトップを飾るTime Wasのギターのイントロの美しさ。このアルバムはロック史的にはそれほど素晴らしくはないかもしれないが、ギター名盤ではあると思うのだ。こういうのを取り上げてくれれば、さすがギター・マガジンと思えるのに、いたずらにJimi HendrixやZeppelin、Smith、John Mayerといった同じアーティストのアルバムを何枚もベスト100に上げるというようなアホなランキングをするぐらいであれば、ギタリストのランキングとかをすればよいのだ。アルバムというと、もっと多くの要素が入ってくるので難しいし、そのランキングをするのは相当の覚悟が必要だ。というか、修正等ができるウェブサイトであるならまだしも、印刷して出すような内容か。私の読後感はギターを舐めるなよ、といったものであって、私のような超絶ヘタレなギタリストにこんなことを言われるギター・マガジンは雑誌をつくる資格もないように思う。猛省してもらいたい。もう読書歴的にいえば45年ぐらいの読者なのだから、本当、落胆させないで欲しい。

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クイックシルヴァー・メッセンジャー・サービス [ロック音楽]

1960年代後半、サンフランシスコで盛り上がったカウンター・カルチャーを彩ったバンド群の代表格の一つ。グレートフル・デッド、ジェファーソン・エアプレインなどとともにベイ・エリアのサイケデリック・ロックの三銃士の一つとも捉えられている。ただし、これら2バンドに比べると商業的には成功しなかった。本作品はデビュー作で1968年の作品である。6曲中、オリジナル曲は3曲である。そして、12分に及ぶ彼らのオリジナル曲「The Fool」はなかなかサイケデリック色が強い名曲である。個人的には、グレートフル・デッドやジェファーソン・エアプレインより、こちらのバンドの方がしっくりきて好みである。ギターもジェリー・ガルシアより上手いと思う。


クイックシルバー・メッセンジャー・サービス

クイックシルバー・メッセンジャー・サービス

  • アーティスト: クイックシルバー・メッセンジャー・サービス
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1993/12/22
  • メディア: CD



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スティーリー・ダンの「Only a Fool Would Say That」はジョン・レノンのイマジンへの強烈な皮肉が込められた曲である。 [ロック音楽]

スティーリー・ダンの1972年の作品『Can’t Buy A Thrill』に入っているボサノバ風の小曲「Only a Fool Would Say That」というのがある。Midnite CruiserとReelin’ In The Yearsという名曲に挟まれていたこともあり、これまで、あまり特に関心を持って聴いたこともなかった。しかし、これが、ジョン・レンンのイマジンへの強烈な皮肉が込められた曲であることを知った。その歌詞は次の通りである。

A world become one of salads and sun
Only a fool would say that
A boy with a plan, a natural man
Wearing a white Stetson hat

ここの「A world become one」はレノンのImagineの最後の歌詞「And the world will live as one」にかけている。「a white Stetson hat」(白いカウボーイ・ハット)を被っているジョン・レノンは記憶になかったのだが、そういう写真は存在した。(
https://www.reddit.com/r/SteelyDan/comments/126sgf4/a_boy_with_a_plan_a_natural_man_wearing_a_white/)

Unhand that gun begone
There's no one to fire upon
If he's holding it high
He's telling a lie

I heard it was you
Talking 'bout a world where all is free
It just couldn't be
And only a fool would say that

ここはImagine no possessions …. No need for greed or hungerに対応しているかと考えられる

The man in the street dragging his feet
Don't wanna hear the bad news
Imagine your face there is his place
Standing inside his brown shoes

You do his nine to five
Drag yourself home half alive
And there on the screen
A man with a dream

I heard it was you
Talking 'bout a world where all is free
It just couldn't be
And only a fool would say that

Anybody on the street
Has murder in his eyes
You feel no pain
And you're younger than you realize
Only a fool would say that
Only a fool

I heard it was you
Talking 'bout a world where all is free
It just couldn't be
And only a fool would say that

Only a fool would say that
Only a fool would say that

ここらへんは、実際、生きていくために働いている人には、イマジンを歌う億万長者のジョン・レノンの理想の世界は何の飯の足しにもならない、と皮肉っている。「Only a Fool Would Say That」の馬鹿はジョン・レノンである。(https://boingboing.net/2023/02/07/the-fool-in-steely-dans-only-a-fool-would-say-that-is-john-lennon.html)。

ジョン・レノンは若い頃は、スティーリー・ダンのドナルド・フェイゲン並みの皮肉屋で、社会批判も鋭かった。ビートルズの初期のジョンの曲の歌詞は、オブラートに包まれた毒舌のようなものが調味料に含まれていて、それがビートルズの魅力に寄与していたことは間違いない。Nowhere Man, Doctor Robert, Get Back, Sexie Sadieなど、後半期においてもひねりが効いた歌が多い。そのジョン・レノンを「Only a fool」とドナルド・フェイゲンに言われてしまうとは、なんたる転落、とも思わなくもないが、確かにドナルド・フェイゲンの指摘に首肯する人は少なくないだろう。私も中学時代、イマジンを聴いてちょっと偽善的というか、恥ずかしいものを感じたのを記憶している。メロディとか悪くないんだけど、世の中、なかなかそんなに上手くいかないだろうな、と当時も思っていたし、今でもそう思っている。

それはともかく、そういう偽善性に対して、まだ若造のドナルド・フェイゲン、攻撃の矛先を向けるとは大したものである。それも当時、ほとんど神に近かったジョン・レノンに対してである。ほぼ99%、ジョン・レノンの味方をするという状況下での、この批判、その姿勢は天晴れである。


Can't Buy A Thrill [12 inch Analog]

Can't Buy A Thrill [12 inch Analog]

  • アーティスト: Steely Dan
  • 出版社/メーカー: Geffen Records
  • 発売日: 2022/11/04
  • メディア: LP Record



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ザ・ビートルズ「Now and Then」 [ロック音楽]

2023年11月に出されたビートルズの新曲を聴く。作詞・作曲はジョン・レノン。4分を越えるというビートルズとしては長い方の曲である。曲は悪くない、どころか素晴らしい。ただ、録音されたのは1978年とビートルズが解散してから8年後。デモ録音されたのはジョン・レノンの自宅のダコタ・ハウス。ということで、これは実質的にはビートルズの曲ではなくジョン・レノンの曲であろう。ドラムは確かにリンゴのドラムである。しかし、総じて、ジョン・レノンの曲をポール・マッカートニーがプロデュースしたという感じであり、いや、ホワイト・アルバム以降、メンバー勝手にやっていたから、それはそれでいいかな、と思ったりもするが、若干、これをビートルズの曲というのは複雑である。とはいえ、このメロディを復活させたポールはちょっとお節介かもしれないが素晴らしい。これをやって、ポールはそれほど賞賛されないと思ったりするが、それでもやってしまう、というところが逆にポールの素晴らしさだと思うし、ポールはやはりジョンを愛しているのだな、ということを改めて確認したりする。



ナウ・アンド・ゼン (生産限定盤)(SHM-CD)

ナウ・アンド・ゼン (生産限定盤)(SHM-CD)

  • アーティスト: ザ・ビートルズ
  • 出版社/メーカー: Universal Music
  • 発売日: 2023/12/01
  • メディア: CD





Now And Then

Now And Then

  • アーティスト: The Beatles
  • 出版社/メーカー: Capitol
  • 発売日: 2023/11/17
  • メディア: CD



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『グレートフル・デッド・ムーヴィー』 [ロック音楽]

1977年に公開された、ジェリー・ガルシア本人によって監督されたデッドのライブ映像。1974年10月のサンフランシスコ・ウィンターランドのライブを編集したものである。これは、デッドがしばらく活動を中止するために、その期間、ファンのデッドへのライブのニーズを代替するという意図のもとに製作された。しかし、編集途中、ジェリー・ガルシアが口出しをしてきたので、オリジナルの監督、レオン・ガストが退いたので、結局、ジェリー・ガルシアが監督をすることになった。その編集作業はめちゃくちゃ時間がかかり、ガルシアにとっては苦痛にしか過ぎなくなってきた。その後、デッドは2年間ほどの活動中止を経て1976年に再びライブ・ツアーを開始する。映画は皮肉にもその後、完成して公開されることになるのだが、当初の目的は逸してしまった。
 さて、しかし2024年にこの映像を目にするものにとっては、このような作品がつくられていたことは非常に有り難い。私はサンフランシスコに3年間、1990年代の前半に住んでいたが、デッドを経験することはなかった。それは、グレートフル・デッド、それほど好きではなかったからだ。グレートフル・デッドの最初の出会いは小石川図書館で高校一年生の時である。そこで、「ライブ・デッド」を借りて聴いたのだが、いきなりインプロヴィゼーションばかりの23分のダーク・スターを聴き、なんじゃこりゃ、よう分からん、ということで、それ以来、ずっと距離を置いていたのである。
 ただ、サンフランシスコに行くと、もうグレートフル・デッドは神懸かっている。もう、その人気といったらローリング・ストーンズなど足下にも及ばない。ということで、じゃあ、観ようとはそれでも思わなかったが、気にはなっていた。多少、デッド・セットやアメリカン・ビューティーなどを購入して聴いたりしたが、それほど嵌まらなかった。今でもジェリー・ガルシアのギターは好きではないし、上手いと思わない。音づくりも下手だと思う。
 そういう不遜な私であるが、この『ザ・グレートフル・デッド・ムーヴィー』はとてもいい映画であると思う。一家に一枚あっていいぐらいだ。というのは、これは通常のライブ・コンサートのDVDではなく、デッドのコンサートがどういうものであったのか、その記録映像として極めて優れているからだ。ファンへの取材、ローディーの紹介、辣腕プロモーターであるビル・グラハムも出てきたりして、ライブのルポルタージュとして非常に良質である。ジェリー・ガルシアの編集能力の高さを伺い知ることができる。まあ、これだけの作品を、映画をつくったことがなくて完成させようとしたら、そりゃあ相当の苦痛は伴うであろう。
 あと、このDVDであるが、95分に及ぶライブ映像、貴重なメーキング・ムーヴィーなども特典としてついてきてとてもお得感がある。私も、これを観て、ザ・グレートフル・デッドのファンになった訳ではないが、このバンドに嵌まる人達の気持ちはちょっと分かるようになった。しかし、ジェリー・ガルシアのギターが下手だという意見はそれでも、まったく覆らない。



 

Grateful Dead Movie [DVD]

Grateful Dead Movie [DVD]

  • 出版社/メーカー: Monterey Video
  • 発売日: 2004/11/09
  • メディア: DVD




Grateful Dead Movie [Blu-ray]

Grateful Dead Movie [Blu-ray]

  • アーティスト: Grateful Dead
  • 出版社/メーカー: Shout Factory
  • 発売日: 2011/11/01
  • メディア: Blu-ray



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『論文の書き方マニュアル』 [書評]

大学で教えている。大学の教員の重要な仕事は論文を学生に書かせることである。学生は論文を書くことは簡単だと思っている。いつも文章は書いているからだ。しかし、論文、すなわち論理的な文章を書くことは簡単ではない。なぜなら、論理的な文章を書くことは技術だからだ。そして、作法も求められる。作法を知らなければ書けない。
 本書はそのような論文を執筆する技術をマニュアル的に整理したもので大変参考になる。論文をこれから書こうと思っている学生には極めて有用な本ではないかと思われる。


論文の書き方マニュアル--ステップ式リサーチ戦略のすすめ 新版 (有斐閣アルマ)

論文の書き方マニュアル--ステップ式リサーチ戦略のすすめ 新版 (有斐閣アルマ)

  • 出版社/メーカー: 有斐閣
  • 発売日: 2014/10/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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『フィンランドを知るための44章』 [書評]

明石書店の「○○を知るための○章」シリーズのフィンランド版。エリア・スタディーズをするうえでの前提知識を効率よく習得するためには極めて適当な図書であり、結構、このシリーズは読むが、フィンランドはそもそもの文献・情報が少ないので、非常に学ぶところが多かった。とはいえ、フィンランドを日本語で書くうえでの筆者も少ない。そういう点では寄せあつめ感がないとはいえないが、それでも無いよりはずっとよいと思うし、読まないよりは読んだ本がずっとよい。フィンランドに関心がある人は、まず手に取るとよい本であるかと思う。


フィンランドを知るための44章 エリア・スタディーズ (エリア・スタディーズ 69)

フィンランドを知るための44章 エリア・スタディーズ (エリア・スタディーズ 69)

  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2008/07/01
  • メディア: 単行本



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松本人志事件についてちょっと考えてみる [その他]

日本の状況に疎いのだが、どうも松本人志が大変なことになっているようだ。私はネットでの情報をもとに考えているので、的外れなことも多く書いてしまいそうだが、要は、昨年12月に松本人志の昔の破廉恥な行動が週刊文春に書かれ、それを事実無根とする松本側が名誉毀損の裁判に注力するために、芸能活動を一時、中止するというような流れである、と理解している。その破廉恥行為とは、松本の後輩芸人達が、松本の機嫌を取るために、松本の性行為の対象となる女性を集めて「献上して」いた、という報道のようだ(いや、文春の記事もしっかりと読んでいないのに書いてしまい申し訳ない)。

私は最近、ジョージ・ハリソンの元妻であり、その後、エリック・クラプトンの妻になったパティ・ボイド(稀代の名曲「レイラ」のモデルですね)に興味を持ち、彼女の自伝も読み始めたりしているのだが(まだ、完読していない)、1960年代のロック・スターの女性遊びというか節操の無さはとんでもないものがある。ジョージの浮気に心痛んだパティがエリックに助けを求めたら、エリックの方が遥かに破廉恥というか無節操だった、という下りは読んでいて心が痛む。

日本のお笑い芸人も1960年代のロックスター的人気稼業だと思う。女性ファンの追っかけもいる。そのように考えれば、松本人志の行動は、社会的な常識からは逸脱しても、まあ、そういうことが趣味なんだろうな、ぐらいで片付けられる話かなとも思ったりする。趣味としては悪いけれど。

ただ、ここで問題となるのは、複数の女性が被害者意識を抱いていることだ。そして、それを週刊文春に告白するぐらい、松本人志を許せないと思っていることだ。このような被害者意識を複数の女性陣が有しているということは問題だ。もちろん、何人かの女性は松本人志とそういう関係になって喜んでいたものがいたであろう。しかし、何人かの女性は問題がなかったとしても、数名の女性は極めて不快な思いをし、傷ついているのである。ある告発女性は「これまでどれだけの女性が同じ思いをしてきたかを想像するだけで吐き気がします」と述べていたが、その芸能界での圧倒的な権力の威をもって、そして断りにくい環境づくりをして、本人の嫌がる行為を犯し、そして、そのことを訴えられたら、それを「事実無根」と居座るのは間違っている。そして、何より、居座る行動は松本人志らしくない。そもそも変態的な性癖で笑いを取っていたようなところもあるので、相手を不快にさせたことで、しっかりと事実確認をした後で謝罪をすればいいのだし、金銭での責任も取ればいいのである。それをすることで、告発者が多く出てきたりしても、それはそれで自業自得である。「素人女性にもてないんで、思わず芸能界の力を使ってしまうような卑劣なことをしてしまい、本当に申し訳ない。しっかりと謝罪したい。しかし、そんなに自分が気持ち悪いと思われていたとはショック」などとフォローをすればまだ、松本人志らしかった。自分以外が似たような状況になったら、松本人志は結構、秀逸なコメントをすると思うのである。もてないことのコンプレックスが今回の事件の背景にあったのではと私は考察するが、まあ、こういうことをしちゃうからもてないんだよね。それは、まるで「真面目で美しく、自分を相手にしなかった」女性への復讐行為のようにも私には映る。

少なくともホテルで飲み会をしたのは、ラインで「とうとう出たね」と得意に発言した時点で、自分でも認めてしまったのだし、そういうのが趣味であるというのは、私のようなお笑いファンでなくても分かっているような常識かと思う。したがって、そういう不愉快な思いをした女性達には、文春とかマスコミに告発しないで、別途、個人的に訴えるのであれば誠実に対応する、みたいなアナウンスをすればいいと思う。本来的にはプライベートな事項であるのに、ここまで公になってしまったのは可哀想ではあるが、まあ、そういう対応をせざるを得ない状況に持っていってしまったのは本人の責任であろう。身から出た錆、ということで白旗あげればいいのに、「事実無根」と主張すると、社会から抹殺されるような事態になる可能性が高い。それは、そのような破廉恥なことをしてしまった松本ではなく、嘘つきの松本になってしまうからだ。嘘つきの松本というイメージがつくられたら、そのダメージは拭いがたくなるであろう。松本人志には本当にその覚悟があるのか。

タグ:松本人志
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映画『世界中がアイ・ラブ・ユー』 [映画批評]

ウディ・アレンの1996年に公開された映画。出演するキャストが何しろ豪華。ゴールディホーン、ジュリア・ロバーツ、ドリュー・バリモア、エドワード・ノートン、ナタリー・ポートマンなどである。ナタリー・ポートマンはほとんど端役であるが。ミュージカル映画であり、ドリュー・バリモアを除く出演者が吹き替えなしで歌と踊りを披露しているそのため素人感が満載ではあるのだが(特にエドワード・ノートン)なかなか微笑ましく楽しく、鑑賞することができる。その中でもラストシーンのゴールディホーンの歌は感動的である。この映画に出た時のゴールディ・ホーンは既に50歳を越えていたのだが、映画では30代に見える。本当、前から思っていたが化け物のような女優である。
ウディ・アレンの映画の中でもとびきり楽観的でハッピーで肯定的である。恋人と2人で見る映画としては相当良質ではないだろうか。


世界中がアイ・ラヴ・ユー ―デジタル・レストア・バージョン― [Blu-ray]

世界中がアイ・ラヴ・ユー ―デジタル・レストア・バージョン― [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2012/05/11
  • メディア: Blu-ray




世界中がアイ・ラヴ・ユー ―デジタル・レストア・バージョン― [DVD]

世界中がアイ・ラヴ・ユー ―デジタル・レストア・バージョン― [DVD]

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2011/06/24
  • メディア: DVD



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『ジェーン・エア』(1996) [映画批評]

19世紀半ばにイギリス人のシャーロット・ブロンテによって書かれた小説をもとに作られた映画。ジェーン・エアの映画はこれまでいくつも作られているが、ここでレビューをするのは1996年イギリスで制作されたフランコ・ゼフィレッリ監督のものである。ジェーン・エアを演じるのはシャルロット・ゲンズブール。ほかの『ジェーン・エア』の映画と比較するとそれほど評価は高くない本作品であるが、個人的にこれしか観ていないので個人的な評価は高い。というのも小説のスチーリーが本当に素晴らしいからである。非間的な社会常識、男女差別、階級社会などに反抗して自分の魂の導く道を進んで生きて行ったジェーン・エアの生き様は素晴らしい。是非とも多くの若い女性に見てもらいたい作品である。あと小大きな長所だと思われる。


ジェイン・エア [DVD]

ジェイン・エア [DVD]

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • 発売日: 2015/07/02
  • メディア: DVD



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映画『恋愛小説家』 [映画批評]

アカデミー賞の主演男優賞と主演男女優賞をW受賞した1997年のハリウッド映画。皮肉屋で病的な潔癖症の中年男を演じるジャック・ニコルソン、はちきんのようで心優しくもあるシングル・マザーを演じるヘレン・ハントの演技が何しろ素晴らしい。ストーリーはコメディ・タッチの恋愛物であり、シナリオはそれほど魅力的ではないが、この2人の演技によって最後まで飽きずに見ることができる。必見の映画ではないが、見て損するような映画でもない。


恋愛小説家 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2013/04/24
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恋愛小説家 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2011/01/26
  • メディア: DVD



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ゴールデンステート・ウォーリアーズの巻き返しはあるか [スポーツ]

今シーズンのゴールデンステート・ウォーリアーズは、まるでローラーコースターに乗っているかのように勝ったり負けたりしている。強いのか、弱いのかが全く分からない。ただ、この10試合は7勝3敗である。特に2月10日のフィニックス戦はカリーのブザービーターでの大逆転勝ちだ。負けた試合も一点差が二試合、延長線での敗戦が一試合と惜敗したもので、力負けしたわけではない。
 とは言え、ようやく勝率5割に達したような状況であるので今シーズンの展望が明るくなったわけではないない。それは、今までがあまりにもひどかったからだ。状況が好転した大きな理由の一つは、ドレイモンド・グリーンの復活である。そして、三年目のジョナサン・カミンガの台頭が挙げられる。加えて、前半、絶不調だったアンドリュー・ウィギンスがオフェンスはともかく、ディフェンスではしっかりと仕事をするようになったことが勝ちにつながっている。クレイ・トンプソンは相変わらず絶不調のままだが、彼を試合終盤に出さないことで勝てる試合を落とさなくなっている。まだまだ、油断はできないがオールスターの試合の後、巻き返しができるのではないかとちょっと期待しているところがある。

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第58回スーパーボールはまれにみる好試合であった [スポーツ]

フットボールは最近全く見なくなっている。これは、あまりにもそのスポーツが乱暴であるからだ。しかし、昔贔屓にしていたサンフランシスコ・フォーティーナイナーズが出ること、そして相手のカンザスシティ・チーフスのタイトエンドのスター選手の恋人がテイラー・スイフトであることから、全米が多いに注目していることもあり、久しぶりにスーパーボールの試合を見た。
 試合は両チームが素晴らしいディフェンスを見せ、延長戦にまでもつれ、試合終了直前、時間ギリギリにカンザスシティがタッチダウンを決めてカンザスシティが勝利した。なかなか手に汗握る好試合であった。一般的にスーパーボールの試合は接戦でない場合が多いので、今年の試合は珍しかったのではないだろうか。フットボールに関心のないテイラー・スイフトのファンがスーパーボールを見るだろうと、アメリカのマスコミは予測をしていたが、そうであれば、この試合でそれまでフットボールにあまり関心がなかった人たちをファンとして取り込むこともできたかもしれない。そう思わせるほど、フットボールのスリルと楽しさが伝えられるような試合であった。
 右翼メディアが、バイデン大統領を支持しているテイラー・スイフトの若い世代への政治的影響力を高めるために八百長でチーフスが優勝するだろうといった報道をしていたが、どんなに優れたシナリオライターでも今日の試合は書けないだろう。それぐらいドラマチックな試合であった。もし、右翼メディアのいうようにシナリオライターがいたとしたら大天才であろう。というか、わざとらしいのでそのシナリオは却下されていると思われる。
 まあ、そうは言ってもフォーティーナイナーズの選手2人が大怪我をして、そのうちの一人は担架で運ばれた。やはり、ちょっとあまりにもこのスポーツは乱暴なのではないかと改めて思わせられた。

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映画『インセプション』 [映画批評]

死ぬまでに見るべき映画のランキングのウェブサイトを閲覧し、これまで観たことがないということで観たのだが、そのプロットは個人的には感心できず、映画にもあまりのめり込むことが出来なかった。ちょっと話には無理があるかな、と思う。ただ、どうやってこのとっちらかった状況を収めるのだろうと思っていたのだが、エンディングは悪くなかった。ということで、個人的には死ぬまでに見るべき映画のランキング候補にも挙がらないが、ハリウッド俳優渡辺謙の渋さには見入った。デカプリオより全然、格好良い。渡辺謙のファンには必聴の映画ではある。


インセプション <4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(3枚組) [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2017/12/20
  • メディア: Blu-ray




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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2011/07/20
  • メディア: DVD



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『これがビートルズだ』を読みながら、ビートルズ・マラソンをする [ロック音楽]

中山康樹の『これがビートルズだ』を読みながら、ビートルズの213曲を聴いた。いわゆるビートルズ・マラソンである。『これがビートルズだ』は、発表順に全曲の解説がされている。ビートルズ・マラソンの伴走にはもってこいである。『これがビートルズだ』の内容は独善的であり、納得できない指摘も多い。例えば、ポールがジョージの代わりにギターを弾いたのは、ポールの方がジョージよりギターが下手なのでぎこちなさを演出できるからだとか、can’t buy me love のcan’tのポールの発音はキャンだとか(意味が真逆になるからあり得ない。ただ、著者の耳が致命的に悪いだけだ)、ジョージの佳作「I Want to Tell You」を「曲も宙ぶらりんならレコーディングも適当だ」、ジョンの大傑作「I am the Walrus」を「曲として音楽としての説得力に欠けている」など、手前味噌なことも多く書かれているが、それでも有益な客観的な情報も含まれているので、読みながら聴くことで、より曲にしっかりと対峙させて聴くことを補助してくれる。
 全曲を聴き、改めてロック・シンガーとしてのジョンがいかに優れていたか、下積みの長さからつくられる初期のグルーブ感の凄味を知る。そして、時系列で聴くことで、大きな音楽的な転換期が『Help』であることにも気づく。いや、その進化は常に起きてはいたが、あたかも白黒テレビがカラー・テレビに変わったような進化がここでは見られる。そして、それから『Rubber Soul』でハイビジョン・テレビ、次の『Revolver』でデジタル・テレビに進化していったような印象を受けた。
 そしてビートルズは、前半はジョン・レノンの天才によって導かれ、その後、ポール・マッカートニーの天才によって高みに到達し、後半の過程ではジョージ・ハリソンが新しい個性を加えて、その魅力の多様性に寄与した、という歩みであろうか。
 ちなみにビートルズ・マラソンであるが10時間ぐらいで終了した。それなりに長かったが、ビートルズの楽曲が素晴らしいので、そんなに大変ではなかった。



これがビートルズだ (講談社現代新書)

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  • 作者: 中山 康樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2003/03/18
  • メディア: 新書



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東京電力のレトリックに騙されるな [原発問題]

日本経済新聞の記事によると、福島第一原子力発電所で2月7日に、放射性物質を含む水が漏れ出した。およそ水は5.5トン、放射性物質は220億ベクレルが漏れ出したそうだ。ちなみに飲料水だが、1キログラムあたりの規制基準値は10ベクレルなので、基準値に比べ400万倍という恐ろしい値が放出されたわけだ。もちろん、こんな水は飲む訳ないということだろうが、土壌にしみこんだ可能性があるとの指摘もあるので、今後の地下水とかは相当、汚染される可能性もある。井戸水とかは破滅的に危ないだろう。なんといっても400万倍だから!

さて、こんな危ない事故が起きたにもかかわらず、東京電力は「現時点で原発の外部への影響は確認されていない」と言っている。悪いけど、事故直後に影響は確認されていない、のではなく確認をできていない、というのが正しい言い方であろう。「現在、影響を確認中」と答えなくては不誠実である。また、クレームをした福島県に対して、東京電力の田南所長は「今回の事象を重く受け止めています。原因の分析や再発防止を徹底し、今回のようなことが二度と起こらないよう全力で取り組んでまいります」と述べたが、この「二度と起こらない」と何回も言い過ぎだ。もう、ほとんどオオカミ少年のレベルになっている。

こういうレトリックは本当に止めて欲しい。聞くたびに、そうでなくても低い東京電力の信頼がなくなる。というか、もう原発を安全に東京電力は管理運営できないことが明らかなので早いところ放棄してもらいたい。既にそうなりつつあるが、これはしっかりと対応しないと国際問題に本当になるぞ。中国や韓国は無視していいといい気になって考えていたりしているうちに、アメリカを怒らせることになることに早く気づいた方がいい。アメリカが怒ったら相当、厄介なことになる。

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ビートルズの曲ベスト50 [ロック音楽]

2018年と前のデータであるが、タイムアウトがビートルズの曲のベスト50を発表した。結構、面白い結果であるので私のコメントとともに共有したい。

1. A Day in the Life : まあ、そう来るか。という感じではあるが妥当な選曲か。
2. Tomorrow Never Knows : 個人的には一位であるので納得だが、世間とはずれがあるかも。
3. Strawberry Fields Forever: ふむふむ。確かに超名曲ではあるので納得。
4. All You Need is Love: これはちょっと評価が高過ぎるのではないか。
5. Helter Skelter: これもベスト10に入るかな。名曲ではあるが。
6. Taxman: これもちょっと個人的には違和感あり。ベスト30には入るとは思うが。
7. She Loves You: 1960年代のイギリスで最も売れたシングル。
8. Eleanor Rigby: これは評価高すぎるだろ。ベスト50には入るとは思うが。
9. I Am the Walrus: これはその後のポップ音楽に与えた影響を考えると妥当。私はもう少し上に評価する。
10. She’s Leaving Home: これも評価高すぎではないか。
11. Ticket to Ride: 名曲ですが、この順位が妥当かは難しい。
12. I am Only Sleeping: Tomorrow Never Knowsを発表しなければこの曲の評価は高い。ただ、どうしてもTomorrow Never Knowsと比べると劣る。12位でも評価は高すぎる。
13. Sexy Sadie: おお、鋭いな、と思いつつベスト50に入るかな、という感じ。Savoy Truffleの方が上。
14. You’ve Got to Hide Your Love Away: 確かに名曲ですな。
15. While My Guitar Gently Weeps: 名曲だがSomething の上に来ることは絶対、あり得ない。
16. Don’t Let Me Down: ビートルズが最後にレコーディングした曲。いや、Hey JudeやLet It Beの上に来ることはないでしょう。
17. I Saw Her Standing There: 確かに名曲ですな。
18. Help: 名曲ですね
19. I Want You: Abbey Roadで最初に選ばれる曲では絶対ない。この選曲はまったく理解できない。
20. She Said She Said: この選者はRevolverが好きなんだろうな。これで、5曲目。明らかに偏りすぎだろう。
21. Everybody’s Got Something to Hide Except Me and My Monkey: 渋い選曲とは思うが、私の50には入らない。
22. Love Me Do: まあベスト50には入るかな。あと、なんせデビュー曲だから。
23. Get Back: 名曲ですな。
24. Revolution: これも納得。
25. Money: いや、これビートルズのオリジナルじゃないから。
26. In My Life: 名曲です。
27. Back in the USSR: 名曲です。
28. Hey Bulldog: 名曲ではあるが、蒼々たる曲群の中でベスト30には入らないと思う。ベスト50には入るかと思うが。
29. Norwegian Wood: 驚くような名曲です。
30. Day Tripper: ロック史上、驚くほど素晴らしいベース・リフ
31. It’s All Too Much: これは評価高すぎ。
32. The End: Abbey Roadのメドレーをどうカウントするか、というところが難しいがThe Endで代表させているのであれば異論なし。というか、もっと上の評価でもよい。
33. The Word: これも評価高すぎる。
34. The Fool on The Hill: これは個人的には余裕でベスト10。そういう意味では評価低すぎ。
35. She’s A Woman: 興味深い選考。ベスト50には入れたい曲ではある。
36. Rain: 名曲ではある。
37. Got to Get You Into My Life : この順位ぐらいになると評価も難しい。ベスト50には入れたい曲ではある。
38. I Feel Fine: これはベスト50には入れなくてはいけない曲であろう。
39. Two of Us: いい曲だとは思うがベスト100に入るかどうか。
40. You Never Give Me Your Money: この曲が含まれるということは、Abbey Road Medleyは個別に選ばれているということか。
41. And I Love Her: 名曲ですな。
42. Yer Blues: これは個人的にはベスト50には入らないな。
43. Come Together: これは個人的にはベスト10に入る。
44. The Night Before: この曲は個人的には好きだがベスト50に入るほど優れているかは疑問。
45. Things We Said Today: いや、この曲もベスト50には入らない
46. Across the Universe: 名曲ですね。
47. This Boy: 確かにいい曲ではある、これより入れるべき曲は20ぐらいはあると思う
48. Hey Jude: この曲がこのランクというのは、ちょっと受けを狙いすぎだろう。間違いなくベスト10。200年後に人類がまだ歌っているビートルズの曲として本曲を上回るものは上位に一つもない。
49. Within You Without You: この曲よりも選ばれる曲はまだ数多もある。
50. Let It Be: 人類が200年後に歌っているビートルズの曲でこの曲より上位のものであるとしたらHey Judeのみだと断言できる。舐めるなよ、ヒット曲を!という感じである。

さて、いかがだろうか。レット・イット・ビーのところでも書いたが、ちょっと凝り過ぎである。いや、当たり前のことを書いたら、受けないのである程度、ヒネるのはしょうがないのかもしれない。ただ、なんとなく腹が立ったので自分のビートルズのベスト50をつくってみた。ただ、これはやるたびに順位が変わるので、2024年2月時点の私のベスト50ぐらいに考えてもらえればと思う。参考までに上記の順位を( )で入れておいた

1. Tomorrow Never Knows (2)
2. Something (欄外)
3. Fool on the Hill (34)
4. Hey Jude (47)
5. Penny Lane (欄外)
6. A Day In the Life (1)
7. I am the Walrus (9)
8. You Never Give Me Your Money (40)
9. The End (32)
10. Come Together (43)
11. Oh! Darling (欄外)
12. Day Tripper (20)
13. Nowhere Man (欄外)
14. Paperback Writer (欄外)
15. In My Life (26)
16. Blackbird (欄外)
17. Back In the U.S.S.R (27)
18. Magical Mystery Tour (欄外)
19. Norwegian Wood (29)
20. Help (18)
21. We Can Work It Out (欄外)
22. She Loves You (7)
23. Let It Be (50)
24. I Will (欄外)
25. Yesterday (欄外)
26. Lady Madonna (欄外)
27. Strawberry Fields Forever (3)
28. While My Guitar Gently Weeps (15)
29. Get Back (23)
30. Can’t Buy Me Love (欄外)
31. And I Lover Her (41)
32. Ticket to Ride (11)
33. You’ve Got to Hide Your Love Away (14)
34. Because (欄外)
35. The Long and Winding Road (欄外)
36. Hello, Goodbye (欄外)
37. I Saw Her Standing There (17)
38. Here, There and Everywhere (欄外)
39. All My Loving (14)
40. A Hard Day’s Night (欄外)
41. Martha My Dear (欄外)
42. Michelle (欄外)
43. Revolution (24)
44. I Feel Fine (38)
45. Sergeant Pepper’s Lonely Heart Club Band (欄外)
46. Girl (欄外)
47. Rain (36)
48. I’ve Just Seen A Face (欄外)
49. Across the Universe (46)
50. Your Mother Should Know (欄外)

細かい順番はちょっと適当ではあるが、ほぼこんな感じとなる。22曲がTimeoutのベスト50に入っていない曲である。結構、難しい。ちなみに入り損ねた10曲は次の通りである。これらの10曲はその時の気分でベスト50に入る気もする。しかし、ベスト20は常にベスト50には入る。

51. All You Need is Love (4)
52. Eleanor Rigby (8)
53. Helter Skelter (5)
54. Taxman (6)
55. I am Only Sleeping (12)
56. Octopus’s Garden (欄外)
57. She’s A Woman (35)
58. Mother Nature’s Son (欄外)
59. For No One (欄外)
60. Savoy Truffle (欄外)

奇特な読者のベスト50はどんなものであろうか?改めてビートルズは名曲の宝庫であることを確認させてくれた。あと、ポール本人のベスト20というのも見つけたので、それも列記する。ただ、これは順番には入っていない。ただ、タイムアウトに入っていたら*、私のリストに入っていたら#をつけておく。

・ You Know My Name
・ Strawberry Fields Forever *#
・ Hey Jude *#
・ Blackbird #
・ Eleanor Rigby *
・ Across The Universe *#
・ Julia
・ From Me to You
・ This Boy*
・ Here There and Everywhere #
・ Yesterday #
・ And Your Bird Can Sing
・ Rain *#
・ Fixing A Hole
・ A Day in the Life *#
・ Penny Lane #
・ The Inner Light
・ Happiness is a Warm Gun
・ Something #
・ Let It Be *#

私との被りは11曲、タイムアウトとは8曲と私の方との相性がいいことが分かった。とはいえ、The Inner LightやYou Know My Nameを入れるのは通すぎるであろう。

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インディアナ・ジョーンズ『レイダース/失われたアーク』 [映画批評]

インディアナ・ジョーンズの第一作目を観る。若い時に観たことがあるかな、と思っていたのだが、もしかしたら初めてかもしれない。映画史上に残る傑作との誉れが高いが、個人的にはそんなに感心しない。そもそも、インディアナ・ジョーンズでは恐ろしく人が殺しまくるし、人が死にまくる。ジョーンズ博士も007並みに人を殺す。007はスパイであるし、国家公務員であるし、「ライセンス・トゥ・キル」すなわち「殺しの免許証」を持っているが、ジョーンズ博士はそういう類いのものは持ってないであろう。ほとんど死神のレベルでジョーンズ博士が行くところは人が死にまくる。それであるにも関わらず、敵役は殺し方が中途半端なので、ジョーンズ博士だけは逃げられてしまう。いや、死んだら映画にならないのでしょうがないのだが、その間抜けぶりはリアリティがなさ過ぎる。あと潜水艦に飛び乗るのはいいが、どうやってハッチを開けて中に入れたのか、兵隊をやっつけて服装を奪うのはいいがどうして周りはジョーンズ博士が紛れ込んでいることに気づかないのであろう。まあ、そもそも荒唐無稽な話なので、そういうことを突っ込むこと自体が野暮なのだろうが、私が観た映画の中では私史上の傑作には決して上がってこない映画である。

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映画『バービー』 [映画批評]

マーゴット・ロビーが主演のハリウッド映画『バービー』を観る。これは、ひとえに監督がグレタ・ガーウィッグであるからだ。彼女の作品『レディ・バード』、『リトル・ウィマン』に感銘を覚えたので鑑賞した。まず、マーゴット・・ロビーはまさにバービーを演じる女優として素晴らしく適任であり、まさに生きるバービーという感じで好感が持てた。ストーリーはまあメチャクチャであるのだが、そのメチャクチャさの中にも観るものを納得させるようなこじつけが出来るかどうかが、このような映画の成功の分岐点になると思うが、この映画はとりあえず許容範囲ではないか、と思う。SNSの大スターであるウィル・フェラル、ケート・マックキノンを起用しているが、後者は非常にいいかと思ったが、前者はちょっとふざけすぎた嫌いがある。ウィル・フェラルもその空気を本当、支配してしまうので色がついてしまう。ケート・マックキノンもそういうところがない訳ではないが、彼女はそもそも気味悪いバーディ(Weird Barbie)みたいな位置づけなので、その個性はむしろプラスであったが、ウィル・フェラルは一応、大企業の代表取締役だからな。絶対観るべきといったような映画ではまったくないが、ちょっと哲学的に考えさせるところもあるし、観て時間の無駄ではない。私はマーゴット・ロビーのファンではまったくなかったが、この映画の彼女はとても魅力的である。



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タグ:バービー
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映画『ロストケア』 [映画批評]

介護問題の本質を真っ正面に捉え、極めて鋭く描いた佳作。見終わって、その問題を観る者にしっかりと考えさせる。映画では年間で、介護疲れで年間48人の家族による殺人事件が生じている、と言う。おそらく実際のデータであろう。尊い命を冒涜していると第三者が簡単に批判するのは簡単だが、介護する側もぎりぎりの状態で生きていたりする場合も少なくない。私も認知症の母親がいるが、しっかりと老人ホームに入れることができたので、私の日常生活にも問題なく暮らせることができて非常に助かっているが、家族で面倒を見るような事態になったら、私の家族は崩壊したであろう。母親は老人ホームに入っても、あちこちに電話をしていて、一月の電話代は6万円にも及ぶ。私にもよく電話がかかってくるのだが、取ると、身体が痛いから見に来てくれ、というのがほとんどだ。老人ホームの人に見てもらえばいいのだが、かまってもらいたいので電話をするのである。いや、結局、老人ホームの人がしっかりと見てくれるので問題はないのだが、これが一人住まいだったら、本当にいちいち心配して大変なことになったであろう。私もそういう意味では、それほど他人事ではないので、映画が投げかける問いにはいろいろと考えさせられた。殺人は絶対的に悪だ、というのは簡単だが、そういうだけでは介護の問題は解決しない。安易な思考を許さない迫力がこの映画からは伝わってくる。あと、主人公を演じる松山ケンイチ、長澤まさみ等の演技がいい。そして柄本明の鬼気迫る演技は怪優という言葉がふさわしい。全体的に非常によくできた映画であると思う。



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ウッチで工場跡地の商業開発について考察した [都市デザイン]

ポーランドにウッチという都市がある。このウッチを以前、訪れて、ブログにアップしようと思っていたのだが忘れたので、今更ながらであるがアップさせてもらう。
ウッチは繊維工場で成長した都市であるが、その工場跡地を複合都市型レジャー施設に再開発したマニュファクチュラというプロジェクトがある。期待していったのだが、ちょっとがっかりした。建物を保全したところは評価したいが、その使い方は、あまりにも商業、商業していて、これだと都市の歴史はなかなか継承できない。まあ、しっかりと見てないので、あまり安直に判断するのは危険であるが、繊維工場があまりにも表層的に取り扱われている。もう少し、オーセンティシティのようなものを維持させることを意識したらよかったのにという印象を受ける。
対照的だったのは、ペトロカフスカ通りにあるオフ・ペトロカフスカという、やはり工場跡地をリニューアルしたところがあるのだが、ここの方がずっと好印象を受けた。それは、ぼろいところをぼろいままで放置したデザインをしているところであろう。綺麗に漂白させない。もちろん、このようなデザインでそこを訪れない人もいるだろうから、マニュファクチュラのアプローチが悪いという訳ではないし、普通のショッピング・センターよりはずっといいかなとは思うが、個人的にはオフ・ペトロカフスカのような開発をしてもらいたいと思う。
特にショッピング・センター的な開発はどうしても地元のお店ではなく、ナショナル・チェーン、インターナショナル・チェーンが入ってしまう。店舗でローカリティというか地域のアイデンティティを発現させるのが難しいので、その歴史というかオーセンティシティをもう少し、意識してもらえればよかったかなと思う。

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【マニュファクチュラ】

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【オフ・ペトロカフスカ】




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麻生太郎の上川陽子の容姿発言を考える [その他]

麻生太郎が1月28日の講演会で、上川陽子外務大臣に対して「俺たちから見てても、このおばさんやるねえと思った」「そんなに美しい方とは言わんけれども」と語ったことが問題となっている。基本、麻生太郎ご本人は上川大臣を褒めている。しかし、その見方が上から視線である、それも男性が女性を見下す、といった考えを反映させていてけしからん、ということになっている。確かにその通りに捉えられる。ただ、麻生太郎は基本、すべての人間を下に見下している。女性だけでない。そして、人生、ずっとそのような価値観で生きてきた。むしろ、問題なのはこのような品性下劣な人をずっと投票してきた人達ではないのか。森喜朗もそうだ。ずっと、破廉恥な人生を送ってきているのだ。何も昨日、今日に始まったことではない。
 しかし、そのような人達も選挙で当選されなければ、特に責め立てられることもない。どんな失言をしても選挙で当選したり、また政治家を引退してもそれまでの取り巻きが神輿を担いだりしているから、いつまでも問題が火を消さないのである。
 私は麻生太郎の「そんなに美しい方とは言わんけれども」と発言した時に会場は沸いたと思うのである。麻生太郎もサービス精神もあって言ったりしたところもあると思う。いや、個人的には麻生も森も蛇蝎の如く、嫌いではあるが、あのような政治家がいい気になっているのは、周りがいい気にさせてきて、喜んで図に乗せてきたからだ。トランプ大統領ほどは酷くはないが、似たような構図だ。

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能登空港に関する朝日新聞の記事から、能登空港が赤字で昰なら、ローカル線も当然、赤字で是だろうと思う [地域興し]

2月2日の朝日新聞に「森喜朗氏の功罪:能登空港と安倍派5人衆」という記事があった。森喜朗氏に「功」があるのか、と興味深く読んだ。
https://ml.asahi.com/p/000004c215/23515/body/pc.html
 この記者が森喜朗氏の「功」として挙げたのは1998年度から着工した能登空港の予算取りである。能登空港は森氏なしでつくられることはなかった、という指摘は確かにその通りであると思う。能登空港は総事業費約240億円で、年間赤字が約3億円である。そして、これを負担するのは地元ではなく、全国民である。相当の辣腕でないと、こんな公共事業はできない。
 ただ、今回の震災で、能登空港は大活躍である。被災地への物資輸送の拠点としても利用されたそうだ。そして、この記者は「震災で活用される能登空港を見て、採算面だけでは語れないことに今さらながら気づかされた」という。
 さて、同じことは地方の赤字ローカル線にも言える。鉄道全般に採算面を当てはめるのは世界でも日本(とアメリカ:だからアメリカでは鉄道はほとんど走っていない。走らせる時は住民投票で、その運営赤字を、消費税を上げることで対応させるような判断をさせる)だけであるが、そんなことを考えていたら、日本の地方からは鉄道はすべて無くなる。しかし、これらローカル線はその地方の生活を支える基盤である。特に自動車を運転できない高校生以下、自動車を運転するのが困難になる高齢者にとっては、ローカル線がなくなることは著しく生活の質を劣化させる。特に、ローカル線とともに地方では高校も統廃合されているが、ローカル線がなければ、地元高校が廃校になった高校生は学校に通うことも難しくなる。その結果、18歳で地元からいなくなるのではなく、15歳で地元から他に移ってしまう。これじゃあ、人口が減るのは当たり前だ。
 社会基盤を採算面で見るという視点は、その費用対効果からは必要ではあると思うが、道路はそのような発想がほぼ無いに等しいのに、鉄道には他国と比べても遥かに厳しい。ドイツで暮らしているとつくづくそう思う。

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『バックミンスター・フラーの世界』 [書評]

思想家、デザイナー、建築家、詩人として極めてオリジナリティ溢れる製品、思想を創り上げた創造者であるバックミンスター・フラーの人、発明品、思想などがよく理解できる本である。本は分厚いがしっかりとした考えの構成の元、編集されているので読んでいてほとんどストレスを感じない。また、著者はバッキーに直接師事し、一緒に仕事もしていたジェイ・ボールドウェインであり、バッキーという人物をよく分かっており、彼の思想・哲学をも非常によく理解しており、さらに文章力もあるので、バッキー辞典としても優れている。さらに、訳者がバックミンスター・フラー研究所で共同研究に従事していた梶川泰司であるため、語彙や背景などの無理解からの誤訳がほとんどない。これも本書の優れているところである。
 さて、そして内容であるが、改めてバックミンスター・フラーの思想の根底にあるのは「サステイナブル・デザイン」であることを知る。まあ、そもそも「宇宙船地球号」というコンセプトを出した人だから、今のSDGの源流となるような人であるから当然なのだろうが。さて、その割には、SDGsと声高に叫ぶ人達の主張に、全然、バックミンスター・フラー的なコンテクストを感じられないのはなぜか。おそらく二つの理由がある。一つは、勉強不足で知らないだけ、ということ。もう一つは、本気でフラーの考えに従って行動していくと、既得権益などもぶっ飛ぶような大きな変革が必要となるから。でも、これだけ行き詰まってしまい、真っ直ぐ進むことがまったく正解ではないことが明らかになった今、バックミンスター・フラーを再び学ぶ意義はあるのじゃないかな。ということを本書を読み終わって強く思った。


バックミンスター・フラーの世界―21世紀エコロジー・デザインへの先駆

バックミンスター・フラーの世界―21世紀エコロジー・デザインへの先駆

  • 出版社/メーカー: 美術出版社
  • 発売日: 2001/11/15
  • メディア: ペーパーバック



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ぼけないで元気な高齢者の特徴 [サステイナブルな問題]

 90歳になってもぼけないで矍鑠としている高齢者の方々がいる。このような人達にヒアリング調査をしている東京都市大学の古川教授は、「元気な方々に共通するのはポジティブさと感謝の気持ち。そして、見返りを求めない行動。それによってストレスをためないことが若さを保っている理由ではないか」と分析する。ふうむ。私事で恐縮だが、私の母親は「感謝の気持ちがなく」、ひたすら「見返りを求める」人であった。『罪と罰』に出てくるカテリーナ・イワーノヴナに似ていて、陽気で人なつこく、第一印象は良いので相手も母親を受け入れるのだが、勝手に相手をいい人と思い、その期待にそぐわないと悪口を言うという、性根が決してよくない人間である。その母親は84歳であるが80歳ぐらいから認知症になってしまった。この古川教授の分析を知り、なるほどな、と思った次第である。
 などと書いていたらドナルド・トランプはまさに「感謝の気持ち」がほとんどゼロで、「見返りを求めて」ばかりの人生だということに気づいた。トランプは現在77歳であるが、最近のスピーチでもジョー・バイデンとバラック・オバマをずっと間違えて話をしていたし、ニッキー・ヘイリーとナンシー・ペロシとも混合していた。これは認知症なのではないか、という指摘をアメリカのマスコミもしていたが、古川教授の分析が正しければ、そういうことになるのかもしれない。
 いや、認知症になる理由はいろいろあるだろうから、認知症になった人が必ずしも「感謝の気持ちが足りず、見返りを求めている」という訳ではまったくないだろうが、私的にはちょっと母親とトランプという事例から古川教授の指摘は説得力を持ったりもした。ちなみに母親の妹、すなわち私の叔母は母親が認知症になった年を越えたが、まだまだ全然、しっかりとしている。そして、性格もよくて彼女が人の悪口を言ったのは、私の母親以外では聞いたことがない。
 さて、私は母親の血を引いているので、結構、性格的にも似ているところがある。しかし、若くして認知症にならないためにも、「感謝の気持ち」を忘れずに、「見返りを求める」ようなことをせずに残りの日々を生きていこうと、この分析結果を知り、つくづく思った。とはいえ、ドイツで生活していると、なかなか「感謝の気持ち」が持ちにくいのだが。

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