インディアナ・ジョーンズ『レイダース/失われたアーク』 [映画批評]
インディアナ・ジョーンズの第一作目を観る。若い時に観たことがあるかな、と思っていたのだが、もしかしたら初めてかもしれない。映画史上に残る傑作との誉れが高いが、個人的にはそんなに感心しない。そもそも、インディアナ・ジョーンズでは恐ろしく人が殺しまくるし、人が死にまくる。ジョーンズ博士も007並みに人を殺す。007はスパイであるし、国家公務員であるし、「ライセンス・トゥ・キル」すなわち「殺しの免許証」を持っているが、ジョーンズ博士はそういう類いのものは持ってないであろう。ほとんど死神のレベルでジョーンズ博士が行くところは人が死にまくる。それであるにも関わらず、敵役は殺し方が中途半端なので、ジョーンズ博士だけは逃げられてしまう。いや、死んだら映画にならないのでしょうがないのだが、その間抜けぶりはリアリティがなさ過ぎる。あと潜水艦に飛び乗るのはいいが、どうやってハッチを開けて中に入れたのか、兵隊をやっつけて服装を奪うのはいいがどうして周りはジョーンズ博士が紛れ込んでいることに気づかないのであろう。まあ、そもそも荒唐無稽な話なので、そういうことを突っ込むこと自体が野暮なのだろうが、私が観た映画の中では私史上の傑作には決して上がってこない映画である。