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『ブリュッセル 1080 コメルス河畔通り 23番地 ジャンヌ・ディエルマン』 [映画批評]

英国映画協会が10年ごとに発表している「史上最高の映画」ランキングの2022年版において第一位に選ばれた映画。ということで観た。まず、201分という相当の長尺の映画である。そして、難しい。なぜなら、この映画は、BGMもほとんどなく、効果音的な演出も一切なく、また会話も少なく、カメラのクローズアップなどもなく、ひたすら固定された構図での撮影がされているだけであり、女優の演技によってストーリーを理解することが求められるからだ。しかし、悲劇へと導く、彼女のルーティンの変化のきっかけは分かりにくい。ネタバレで、そのきっかけを知ると、最後のエンディングへの展開も分かるのだが、201分の期間、よほど集中してみないと、この悲劇へと導く分岐点は分からないのではないだろうか。私の想像力が欠如しているだけかもしれないが。
 私は男性ではあるが単身赴任をしているので家事をする。家事はルーティン化する。ルーティン化させた家事をこなすのは苦痛ではないし、それが生きていくことかと思ったりもする。ただ、そのルーティンのリズムを壊されることは嬉しくない。思春期の子育てをし、日々、売春をしている主人公にとっては、それはさらに大きな苦痛になったのであろう。息子の心ない言葉、茹ですぎたジャガイモ、さらには泣き叫ぶ赤ん坊なども最後の悲劇への加速を促すのだが、最大のきっかけとなる事件を私は映画を観ても読み取ることができなかった。ここは、もう少し、分かりやすく演出してもらえれば有り難かったが、多くの人は分かったのだろうか?
 この映画は観る価値はある、とは思うが、個人的にはベスト5に入ることはないと思う。ただ、これは私が映画をしっかりと鑑賞する能力に劣っているからだろう。観る人の鑑賞力を要求する映画であると思う。


ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2023/03/03
  • メディア: DVD



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