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エドワード・ホール『The Hidden Dimension(隠れた次元)』 [書評]

エドワード・ホールの『The Hidden Dimension』を読む。古典であり、私のような立場だと読んでおかなくてはいけない本だったのだが、ずっと積ん読してしまっていた。そして、読み終わって、やはり古典は読む価値があるな、ということを改めて認識すると同時に、これまでの自分の怠惰を反省する。

1964年に出された本であるので、いろいろと事例に関しては古いところがある。また、今だったらまずあり得ないNegroという言葉がたくさん出てきたり、日本の描写も多いのだが、1950年代の日本と現在とでは随分と違うので、そういう違和感は感じなくもない。加えて、基本、都市における人口成長が問題となっていた時代に書かれているので、「crowding」(混雑)が問題となっている。都心の衰退が問題であることを指摘しているが、コンパクト・シティが政策となっている現在の日本からすると、まさに隔世の感がする。

まあ、そういった気になる点がない訳ではないが、人が空間をどう認識するか、ということに関しては現在にもまさに通じる点であり、それに対しての人類学、生物学、心理学、社会学などに及ぶ膨大なる研究成果から考察する著者の頭脳の明晰ぶりは、唸らされるものがある。本当、もっと早く読んでおけよな、と自分を叱るような本であった。


The Hidden Dimension (Anchor Books a Doubleday Anchor Book)

The Hidden Dimension (Anchor Books a Doubleday Anchor Book)

  • 作者: Hall, Edward T.
  • 出版社/メーカー: Anchor
  • 発売日: 1990/09/01
  • メディア: ペーパーバック



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