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スティーブ・ハケット『Voyage of the Acolyte』 [ロック音楽]

1975年に発表されたハケットのソロ第一作。ピーター・ガブリエルが離脱した後のジェネシスの最初のアルバムである『トリック・オブ・ザ・テイル』の前に発表されている。凄まじいほどのクオリティであり、ハケットのソロでも個人的には最高傑作である。何しろトップを飾るインストのAce of Wandsが素晴らしい。そのドラマティックな展開、12弦のギター、情感溢れるギター・ソロ、ハケットの代表曲Everydayにも勝るとも劣らない名曲である。そして、ハケットのソロではあるが当時のジェネシス的な音空間を見事に表現している。フィル・コリンズが歌っているStar of Siriusなどは、『Wind and Wuthering (静寂の嵐)』に入っていたとしても極めてしっくりするようなジェネシス的な楽曲である。ドラムはおそらく全てフィル・コリンズが叩いている。ちなみにマイケル・ラザーフォードも参加していて、アルバム最後を飾るShadow of the Hierophantでは作曲者としてハケットとともにクレジットされている。ラザーフォードもStar of Sirius以外のベースはすべて弾いていると推察される。どうりで、ジェネシスっぽい訳だ。

ここのアルバムで入っている曲のいくつかは、『眩惑のブロードウェイ』の過酷なツアーの合間につくられたものだそうだ。ホテルの部屋で正気を維持するためにつくったそうだが、ハケットにとって、曲をつくる機会をツアーとかで奪われるのは、相当のストレスだったようだ。録音はこのツアーが終わって一ヶ月も経ったか経たなかった時だそうだ。

アルバム・カバーの絵が非常に不気味な印象を与えるが、これは、ブラジル人のキム・プアの作品で、その後、彼女はハケットの奥さんになる。そして、数枚、彼女の手による不気味な絵のカバーのアルバムが出される。ハケットはちなみに彼女と2007年に離婚するが、その後、彼女はハケットの印税は彼女にも入るべきだと主張した。ジェネシス時代のものも含めてだ!いやいや、それってちょっと違うでしょ。しかも、彼女はハケットが新しいアルバムを彼女の許可無くつくれないようにするよう裁判所に訴えた。いやはや、フィル・コリンズといいハケットといい、ろくな奥さんをもらわない。

ちょっと話が外れたが、ジェネシスの延長線上にあるような素晴らしいアルバムでジェネシス・ファンは必聴である。私はAbacab以降のジェネシスのアルバムより、このアルバムの方が好きである。

イギリスでは4週間トップ100入りし、最高で26位まで上っている。


Voyage of the Acolyte

Voyage of the Acolyte

  • アーティスト: Hackett, Steve
  • 出版社/メーカー: Astralwerks
  • 発売日: 2005/08/01
  • メディア: CD



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