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50歳の正月にアメリカのハード・ロック・バンド「キッス」について考える [ロック音楽]

ふとしたきっかけで、正月、キッスに関心を持つ。私は中学一年の時ぐらいからのロック少年で、現在50歳になっても、相変わらずのロック親爺である。バンドも持っていて、自分では現役気分である。というか、30代では一切バンド活動をしておらず、45歳くらいから再開したので、まあ下手の横好きというか、年を取って恥をかいてもどうでもよくなっただけなのかもしれない。まあ、それはともかく、ロックを聴いて40年弱のキャリアを有しているのだ。椎名林檎を除けばほとんど邦楽系は聴かない(くるりやバースデイとかは聴く)ので、洋楽ロック一本といっても過言ではない。CDを何枚有しているかは分からないが、所有しているCDはほとんどiTuneで保存しており、それらの曲数は12000を越える。なかなかのコレクションであると自負している。それも珍しいものというよりかは、王道、ベストセラーのようなものを多く押さえているのだ。

さて、その私がまったくCDを持っていないメジャー・バンドとして「キッス」が存在することに、この正月に気づいたのだ。まったく一枚も持っていない。いや、高校時代にレンタル・レコードで「アライブII」をテープに録音していたものがあるので、音源は持っていたりしたのだが、それだけだ。どうでもいい話なのだが、自分でもこの現象はとても不思議である。70年代に活躍した似たようなバンドのチープ・トリックとかヴァン・ヘイレン、エアロスミスは、最近のものはともかく、当時のほとんどのアルバムを持っている(持っていた)ことを考えると、なぜキッスに興味を持たなかったのかが不思議だ。そもそも、このように考えたのは、「デトロイト・ロック・シティ」は凄い名曲だよな、と改めて気づいたからだ。これは、ベースを最近、購入したこととも関係がある。デトロイト・ロック・シティは、その曲自身も素晴らしいが、ベース・ラインがとてつもなく格好いいからだ。他にも「シャウト・イット・ラウド」とか「ラブ・ガン」とかは相当、好きな曲である。いや、似たように70年代に活躍したバンドであるAC/DCやクィーンのCDもそれほど持ってはいない。しかし、数枚は持っている。そのように考えると、なぜキッスを私は結果的にかもしれないが、敢えて避けてきたのだろうか。

そういう疑問を持ったので、いろいろとキッスのことを調べてみた。そうするとなかなか面白いことが分かったので、ここに開陳したい。いや、CDを一枚も持っていないものが何をたわけたことと思うかもしれないが、寛容な気持ちで読んでもらえればと勝手ながら思う。私の備忘録のようなものとして捉えていただければと願う。

キッスは1974年にデビューする。ニューヨークのローカル・バンドだ。ニューヨーク・ドールスに影響を受けたらしく、それがあのメイキャップに繋がっているそうだ。ちなみに、私はニューヨーク・ドールスのCDは持っている。さて、最初の2枚はまったく売れないのだが、3枚目のアルバムは売れる。とはいえ、ビルボードでは32位が最高だ。ちなみにシングル・カットされたのは名曲「ロックン・ロール・オール・ナイト」だが、チャートでは68位までしか上らない。そして、次の「アライブ」がビルボード9位のヒット作品となる。ここからも「ロックン・ロール・オール・ナイト」がシングル・カットされるが、この時は12位まで上昇。これらのヒットによって、キッスのレコード会社であるカサブランカは倒産を免れたそうなので、本当、綱渡りだったのだな、ということが分かる。さて、次のデストロイヤーは前述した「デトロイト・ロック・シティ」、「ベス」、「フレーミング・ユース」、「シャウト・イット・ラウド」などをシングル・カットする。興味深いのは、「デトロイト・ロック・シティ」という個人的にはロック史上に残る名曲が、まったく売れず、ベスト100にも入らなかったのに、「ベス」をA面にして再販売したら7位にまで上昇したということだ。ここらへんの現象は不思議だ。不思議といえば、これまた佳曲の「シャウト・イット・ラウド」は、アメリカでは31位なのにカナダでは1位になったことである。次のロック・アンド・ロール・オーバー、ラブ・ガンは前作のデストロイヤーとともに、キッス黄金時代の3部作と言われているようだが、確かに「ハードラック・ウーマン」、「コーリング・ドクター・ラブ」、「ラブ・ガン」、「クリスティン・シックスティーン」といったキッスの代表作がこの時期につくられている。ちなみに、私的には「デトロイト・ロック・シティ」の次に名曲ではないかと思われる「ラブ・ガン」はシングル・カットでは61位どまりである。とはいえ、アルバムの「ラブ・ガン」はビルボードの4位にまで上昇する。これは、400万枚のセールスで、キッスのアルバムでは一番売れたことになる。

さて、その後、「ダイナスティ(王朝時代)」というアルバムから、皮肉にも人気は下降していく。このアルバムからは、しかし当時のディスコ・ブームを意識したかのような「アイ・ワズ・メイド・フォア・ラビング・ユー」というちゃらい曲をシングル・カットするのだが、どうも、これがこれまででキッスで一番、売れたシングルらしい。ちなみに、人気が下降したとはいえ、このアルバムもトリプル・プラチナム(300万枚)は売れる。

しかし、その後は、アンマスクドが50万枚、ミュージック・フロム・エルダーはなんと37万枚しか売れない。アンマスクドではドラマーのピーター・クリスが脱退する。そして、エース・フレイリーも1982年には脱退する。仮面を剥いで出直した「リック・イット・アップ」と「アニマライズ」こそ復活して200万枚売れたし、「アサイラム」や「クレージー・ナイツ」、「ホット・イン・ザ・シェード」も100万枚は売れたが、90年代になってからは、プラチナム・アルバムは一枚も出していない。

ちなみに、ラスト・FMのホームページ(http://www.lastfm.jp/music/Kiss)では、過去6ヶ月のベスト・トラックのランキングがなされているのだが、これだと、一位は「アイ・ワズ・メイド・フォア・ラビング・ユー」、二位は「ロック・アンド・ロール・アールナイト」、三位が「デトロイト・ロック・シティ」、四位が「ストラッター」、五位が「ラブ・ガン」になっている。結構、興味深い。当時、売れなくても、長く歌い継がれ、聴き継がれる曲は多いということか。

さて、今回、いろいろとキッスに関して調べていて発見したことは、ポール・スタンレーがユダヤ系であるということだった。私はてっきりピーター・クリスのようにイタリア系かと思っていたので発見だ。ジーン・シモンズがユダヤ系であることは有名だったが、まさかポールもそうだとは思わなかった。キッスとユダヤ系というのはちょっとイメージが合わない、というかシモンズは分かるのだが、ポール・スタンレーは意外であった。ニューヨークのユダヤ系の音楽家というと、ポール・サイモンやボブ・ディランがすぐ浮かぶので、フォーク・ロックといったイメージがあったからかもしれない。あと、スタンレーはイケメンだからなあ。イケメンは何となく、勝手にイタリア系とかポルトガル系というイメージを私が持っていたのかもしれない。

あと、ジーン・シモンズは最近でこそ、リアリティ・ショーに出て、なんかオジー・オズボーンと同じようにでたらめ破廉恥親爺を演じているが、キッスの現役の時は、トミー・シュナイダーのテレビ番組の取材に極めて律儀に誠実に対応しており、また映画に関する博識をひけらかすなど、超インテリという感じであった。そして、ふざけるピーターとエースに浴びせる冷たい視線。

http://www.dailymotion.com/video/xdoxn3_kiss-tomorrow-show-with-tom-snyder_fun

いやあ、なんでキッスを避けて生きてきてしまったのだろう。ジーンの舌が気持ち悪かったのかなあ。それともポールの胸毛か。どちらにしても、ちょっともったいないことをしたような気分になっている50歳の正月である。そして、キッスのCDを数枚、アマゾンで注文した50歳の正月でもあった。


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