大西國太郎著『都市美の京都』 [書評]
1992年ともう30年前に出版された本。著者は京都市役所で長い間、働き、京都の景観保全の最先端で仕事をされていた。京都に対してのとてつもない愛情が行間から溢れてきて、読んでいてちょっと心が震える。こういう人達がいたから、今の京都の街並みの美しさが保全されているのだな、と感じると同時に、こういう人がいてもあそこまでしか出来なかったのか、とも思う。最悪のシナリオは歩まなかったけど、最高からはほど遠い。そして、本が出されて30年以上経っても、まだまだ問題は解決できていない。特に京都南部は、この本が出た時よりはるかに悪くなっているような印象を受ける。しかし、こういう本が世に出ていることは本当に有り難い。100年後にも読んでもらいたい本である。