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ウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキーはプーチンをヒットラーであると形容したが、おそらく同じぐらいの悪党だろう [グローバルな問題]

私は58歳であるが、まさか生きている間にアフリカや中東ではない地域において、こんな大規模な戦争が起きるとは思わなかった。人間の業の深さを知る。ウクライナ大統領が、2月24日のウォロディミル・ゼレンスキーはプーチンをヒットラーであると形容したが、おそらく同じぐらいの悪党だろう。ウクライナはウクライナ語を話し、文化的にも歴史的にもロシアとは異なる独立した国家アイデンティティを有している。ロシアであると主張するのは相当、無理がある。韓国が日本である、と主張するぐらいの無理がある。そんなところに侵出するというのは、これは国際法違反というか、21世紀においては人類への挑戦でさえある。
 こんなでたらめが通じるのであれば、日本も千島列島で同じことを画策すべきであろう。ちょっと国後島の奴らを買収して、国後島民にロシアから独立して、日本に帰属したいと主張させて、彼らを守るためにという名目で自衛隊を派遣すればいいのだ。というか、そういうことを一斉にあちらこちらでやればいい。例えば、カリーニングラードは歴史的に圧倒的にドイツである。ウラジオストクだって、160年前までは清国のものだったので、中国に帰属すると主張すればいいのだ。あちこちでロシアがウクライナでやったことを同時に仕返しでやれば、流石のロシアも対応できないだろう。そして、マイノリティである抑圧されてきたロシア人が反プーチン革命を起こせば、プーチンの独裁政権も立ち行かなくてはならないのではないだろうか。
 他国のことではあるが、こんなにムカムカするのも珍しい。このプーチンを正当化するトランプもポンペオも本当、腹立たしい。しかし、ここで腹立たしくなるとやられるんだな。いろいろと冷静にならないと。

タグ:プーチン
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トランプのプーチン大賞賛の背景を考察する [トランプのアメリカ]

ドナルド・トランプがプーチンを「天才(ジーニアス)」とテレビでの取材で大賞賛した。プーチンにとっては、トランプの大賞賛はロシア国民の世論形成には追い風だが、トランプがなぜ、ここでプーチンを大賞賛したかはわかりにくい。大賞賛のポイントは、「平和を維持するために軍を展開したことが天才的」ということだ。そして、アメリカも同じことをすべきだと言っている。え!どこでやるのか?まさか沖縄か?と思わず画面に身を乗り出すと、どうもアメリカの南部で、ということだ。どうも、メキシコからの移民を阻止するためらしいが、他国に侵出することがどういうことか分かってないみたいだ。
 そもそも、侵出をしたい時に、傀儡政権をつくりあげるなんてことは、関東軍だって満州でやったことだし、スペインが中南米に侵出した時にしたことだし、イギリスなんかもうお家芸であるし、三国志を読めば、そんな策略ばかりで、またか、というぐらいの套手段で、プーチンの今回の戦略も全然「天才」的ではなく、ただの定石にしか過ぎない。汚い手ではあるが。
 それを「天才的」とトランプが賞賛するのは、私の推測だが、トランプはおそらくそういう史実を知らないのであろう。このような侵略の定石を、今回の件で初めて知ったのじゃないだろうか。いやあ、本当にトランプが大統領じゃなくてよかった。プーチンの真似をして、沖縄とかに傀儡政権つくって、沖縄の独立を平和に遂行するために「平和維持軍」を派遣されたらたまらないからな。沖縄をグアムのような軍事拠点にするメリットはあるだろうから。トランプはおそらくロシアのやっていることが、国際法的に違法であることさえ分かっていないと思われる。いやあ、これが本当にアフリカの劣等国などではなく、アメリカの元大統領の意見だから、本当、改めて彼が大統領であったという事実を考えると背筋がゾッとする。 
 背筋がゾッとするという点では、マイク・ポンペオ国務長官までがトランプの発言を受けて、プーチンを賞賛したことだ(フォックス・ニュースにて)。トランプと違って、ポンペオはロシアのしていることが国際法的に間違っていることは流石に理解しているだろう。理解していないトランプがアホ丸出しで、馬鹿な発言をしているのはいいが、こういう馬鹿が本当の脅威となるのは、ポンペオのように状況を理解している人間がそれを正当化し始める時だ。トランプの本当の怖さは、トランプ本人ではなく、トランプを立てることで、自分たちが得しようとして動くポンペオのような輩が組織化して動き始めていることである。その事実を知ると、アメリカという国に強烈な嫌悪感を抱く。ロシアの国際法違反を認めるような発言を元大統領や元国務長官がしているという事実は、アメリカという国もロシア並みに国際法を平気で破ってもいいと考えているものが政権を握っていたことを露呈している。
 いやあ、ロシアが北海道を侵略しようとした時、トランプ大統領だったら、アメリカは日本じゃなくてロシアの肩を持つな。安心して乗車していた車のブレーキが壊れたような、大変な事態になってきた。シートベルト締めないと。

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京都サービス悪すぎるだろうシリーズ(1) [京都生活]

京都でサービスが悪いことは、もうあっちこっちで感じられるが、特にタクシーに乗ると嫌な思いをする。小さいトランク(機内に持ち込める奴)を持って入ろうとすると、「なんでトランクに入れてくれないんや」みたいに言われる。「いや、急いでいるんで、ごめん」と言っても納得しない感じだ。しかし、行き先を「龍谷大学」と言うと、急におやっという感じになって、「先生ですか?」と尋ねてくる。無視をしようかと思ったが、そうですよ、と返答すると急に態度が丁寧になる。ここで、私はただのくそ観光客から、地元の大学の先生に格上げされたらしい。こういう、人の値踏みをするところが本当に京都の嫌なところだ。自分だってタクシーの運転手じゃないか、と突っ込みたくなる。

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井上章一『関西人の正体』 [書評]

井上章一氏が1993年から1995年に記したエッセイをまとめた本の文庫本。既に著書の他の本を読んでいたので新しい発見はほとんどない。というか、これが元ネタだったんだ、ということが分かった。結構、他の本でもこの内容に類することが書かれていて、そういう意味ではまず、この本から読むといいのかもしれない。最近はしっかりと読んでいる訳ではないが、演歌歌手が似たようなセトリで歌い続けている、という印象を覚える。いや、少なくとも半分ぐらいの「持ち歌」は、この本に書かれているような気がする。個人的には、それでも著者の文体とか、見方が面白いのでいいが、それらはちょっとアレンジを変えて演奏しているものを新しいCDで出しているというようなものである。まあ、それが悪い訳ではないが、内容はほぼ同じだったのだな、ということが本書を読んで理解できた。


関西人の正体 (朝日文庫)

関西人の正体 (朝日文庫)

  • 作者: 井上章一
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2016/07/07
  • メディア: 文庫



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『発酵野郎』鈴木成宗 [書評]

クラフトビールの雄「伊勢角屋ビール」の社長による著書。伊勢角屋ビールは、日本企業初のAustralian International Beer Awardsの金賞を受賞するなど、世界からも高評価を受け、日本にも多くのファンを持つ人気クラフトビールである。さて、しかし、その成功への道のりはまさに紆余曲折。著者の型破りな性格と、酵母へのただらなぬ愛情、そしてビールへの思いは読者をぐいぐいと引き寄せる。私も、実は一度鈴木社長に知り合いの先生の取材のお付き合いで同行し、お会いさせていただいたことがある。極めて魅力的な人柄であることはそのとき、理解したが、こんないろいろと体験をされていた方だとはこの本を読んで改めて知った。クラフトビールへの著者の愛情がこちらにも伝わり、猛烈にビールを飲みたくなるような本でもある。


発酵野郎!―世界一のビールを野生酵母でつくる―

発酵野郎!―世界一のビールを野生酵母でつくる―

  • 作者: 鈴木成宗
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/08/02
  • メディア: Kindle版



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今年のNBAは目が離せないほど面白い [スポーツ]

今年のNBAは久々にわくわくさせられる。最近、NBAではスーパーチームをつくる動きがみられる。このようなトレンドをつくったのは、レブロン・ジェームスであろう。レブロンはマイアミ・ヒートに2010年に移籍する時、ドラフト同期で4位のクリス・ボッシュ、5位のドゥエイン・ウェイドもマイアミ・ヒートと契約を結んだ(ドゥエイン・ウェイドはヒートに所属していたが、フリーエイジェントであった)。彼らはフリーエージェントで同じチームに行こうと2006年には相談していたそうだが、チーム・オーナーではなく、選手がチームをつくるという動きの始まりは、この2010年のマイアミ・ヒートが初めてであろう。このスーパーチームは4年のうち2回優勝を果たす。
 その後のスーパーチームはゴールデン・ステート・ウォリアーズであろう。決勝ではレブロン・ジェームズ率いるクリーブランド・キャバリアーズには負けたが、西地区で優勝するほどの強豪であったにも関わらず、レブロン・ジェームズと唯一同じレベルにあるケビン・デュラントを獲得して、その後、2連覇を果たす。この場合は、選手たちが相談してこのようなチームをつくったというのではなく、ケビン・デュラントが好んで入っただけとはいえるが、それでも凄まじいスーパーチームが結果つくられる。そして、もう最初からほぼ優勝チームが分かるような出来レース的なシーズンが続く。私はゴールデン・ステート・ウォリアーズのファンではあったが、この4年間で優勝した3回のうち、ケビン・デュラント不在の時の優勝が一番、わくわくした。正直、ケビン・デュラントがいて優勝しても、そこまでして勝ちたくはない、と思ったりもした。ステフェン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモント・グリーン、ハリソン・バーンズ、アンドレ・イグアダラ、アンドリュー・ボーグで下馬評を覆して優勝した時は本当に楽しくわくわくして試合を鑑賞したが、デュラントがいてもあまりにも強すぎて、ちょっと興ざめさせられた。
 さて、しかし、ある意味、ゴールデン・ステート・ウォリアーズが強すぎたこともあり、その後、二つのスーパーチームがつくられる。その一つはデュラントを中心にジェームス・ハーデン、カイリー・アービングのスーパー・トリオのニュージャージー・ネッツと、レブロン・ジェームズを中心にアンソニー・デービス、ラッセル・ウェストブルックのスーパー・トリオのロスアンジェルス・レイカーズである。もう、このスーパーチームがつくられた時は、もう東はネッツ、西はレイカーズで決勝戦は決定だと多くの評論家は断定した。そして、私はつまんねえなあ、と思いつつ、そうなんだろうなあ、と諦観していた。ウォリアーズについては、評論家はプレイオフに進出もできないだろうと言うものさえいた。
 ただ、蓋を開けてみれば、ネッツはデュラントの故障離脱という予期せぬ事態があったにしても、今日(2月6日)時点では7連敗を喫して6位と低迷している。レイカーズはもっとひどい状況である。レブロンが離脱していたとはいえ、現時点で9位である。もちろん、デュラントやレブロンが復帰すれば状況は変わるだろうが、それでも決勝戦までの道のりは厳しいし、遠い。そして、これらのスーパーチームの低迷がNBA自体をとてもエキサイティングなものとしている。西はフィニックス、ゴールデン・ステートだけでなく、若手が大活躍しているメンフィスの台頭、いぶし銀的な強さを持つユタ、ダラス、デンバーといったチームが気の抜けない試合を多く作り出している。東はオールスター選手のベン・シモンズが不在のフィラデルフィア、マイアミ、シカゴ、ミルウォーキーがしのぎを削ったハイレベルの試合を展開している。西は若干、フィニックスとゴールデン・ステートが頭一つ抜きん出ているが、それでもプレイオフではどんでん返しが起きないとはいえない。
 そして、何が素晴らしいかというと、スーパーチームのように駒を揃えても、それで試合に勝てるほどバスケットボールというスポーツは単純でないことが明らかになったことである。それは、バスケットボールはチームスポーツであり、選手間の相乗効果や戦略によって弱いチームが強いチームに勝つことができるからである。レイカーズはドラフト1位のアンソニー・デービスやMVPのラッセル・ウェストブルックを獲得するために、若手の有望な選手をずいぶんと放出したが、彼らがいた方が、現在のレイカーズより強かっただろう、と多くの評論家が指摘する。確かにクズマ、カードウェル・ポープ、ロンゾ・ボール、ブランドン・イングラムとレブロン・ジェームズというチームは、現在のレイカーズよりは強い印象を受ける。
 ともかく、スーパーチームが今シーズンを台無しにしてしまったな、とがっかりしていたのだが、実際は、まれに見るエキサイティングなシーズンを楽しむことができている。もちろん、ウォリアーズがフィニックスと首位争いをしているほどの成績を残していることも、楽しめている大きな理由ではあるが。

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ボストン『ドント・ルック・バック』 [ロック音楽]

最近、ボストンを改めて聴いてみた。ボストンは私が中学〜高校時代、まさに日本を含む世界中を席巻したバンドである。1976年に出されたデビュー・アルバムは、デビュー・アルバムとしてはそれまでの最大の売り上げを誇り、世界中で2000万枚ほど売れた。『ドント・ルック・バック』はそんなバンドの二枚目のアルバムでデビュー・アルバムが発売された2年後の1978年に発表された。
 全部で8曲、Used to Bad Newsがデルプ, Partyがデルプとショルツの共作だが、あとはすべてショルツの作品である。ボストンの曲の特徴は、ハード・ロックの型にバッハにも通じるメロディの明解さである。ロックではあるのだが、ブルースというより、クラシックに近い曲調である。ショルツという名字はいかにもドイツ系であり、幼少の時からピアノを習い、また、パイプオルガンへの憧憬などから、ショルツはバッハの影響を相当受けているのではないかもしれない。そういう点からか、ボストンはプログレッシブ・ロックの範疇に入れられることもあるが、プログレッシブ・ロックのような複雑なコードやリズムとは無縁だ。あくまでも、ハード・ロックという単純なフレームワークに美しいメロディを乗っけた。これが、日本の若いインテリ層(矢沢とかを聴かないような層:私も含まれる)に受けたと思われるのである。まあ、ショルツは泣く子も黙るMITの学部、大学院を出ているからな。
 ただ、一枚目に比して、ショルツはこのアルバムの二枚目(CDでいうと5曲目以降)はそのできに納得していなかったそうだ。実際、別に悪くはないが、アレンジとかが簡単でちょっとひねりは感じられない。ボストンにしては前述したような、クラシック的な要素が少なく、エアロスミスから毒を抜いたような存在感の薄い曲が続く。とはいえ、聞き込むとそれなりに感謝できるようなクオリティではあるのだが。
 とはいえ、一曲目のDon’t Look Backと四曲目のA Man I’ll Never Beはロック史に残るような傑作ではあるだろう。この2曲のために、このアルバムは買っておくべきである、と個人的には考える。


Dont Look Back

Dont Look Back

  • アーティスト: Boston
  • 出版社/メーカー: Sbme Special Mkts.
  • 発売日: 2006/06/13
  • メディア: CD



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『ワイルドライフ』 ポール・マッカートニー・アンド・ウィングス [ロック音楽]

ポール・マッカートニーがビートルズを解散した後、リンダと元ムーディー・ブルースのデニー・レインと組んだウィングスのデビュー・アルバム。1971年に発表。天才ポール・マッカートニーがつくったとは思えない凡庸な楽曲が続く。アレンジ的な工夫もあまり感じられない。唯一、ビートルズのアルバムにも入るかもしれないレベルにある曲はTomorrowぐらいだろう。このアルバムだけを聴くと、もうポールは才能をビートルズで枯渇させたのではないか、とさえ思わせるのだが、その後、バンド・オン・ザ・ラン、スピード・オブ・ザ・サウンドといったロック史上に残る名作をつくるのであるから、人生よく分からない。とはいえ、最低限のクオリティは維持しているので、まあ金をドブに捨てたとは思わない。個人的にはDear FriendやSome People Never Know, I Am Your Singerなどは嫌いではない。ただ、ポール・マッカートニーという天才の輝きをこれらの曲は纏っていないということだけは確かである。ポール・マッカートニーを愛していない人でないと、魅力がないアルバムではあるだろう。





ワイルド・ライフ(紙ジャケット仕様)

ワイルド・ライフ(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: ウイングス
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1999/08/25
  • メディア: CD



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『耳と感性でギターが弾ける本』トモ藤田 [書評]

最近、ユーチューブでギターをはじめとした楽器の演奏の仕方を教える動画が多い。私もこれらは大変、重宝している。その中でも最も参考になり、勉強になっているのが、この著者のトモ藤田氏の動画である。彼は、あの泣く子も黙るバークリー音楽大学のギター科の先生である。あの、泣く子も黙る現代三大ギタリストのジョン・メイヤーの師匠ということでも知られている。そのトモ藤田氏が書いた本が『耳と感性でギターが弾ける本』である。楽譜、タブ譜はまったくなく、ギターをどう練習し、どういう姿勢で臨むといいのか、という心構えが書かれているのだが、これが大変ためになる。ギターの基礎練習の大切さはもちろんのこと、CDの聴き方とかまで教えてくれる。私は、この本を読んでしっかりとした練習の大切さを知り、早速、ギター学校に申し込んだ。そのギター学校を選んだ理由は、トモ藤田の教え子であり、トモ藤田からの推薦がホームページに書かれているからだ。ということで、まさに目から鱗的な内容で、ギターが上手くなりたいと思っている人は是非とも手に取るといいと思う。楽譜が多くある教則本よりギターの上達は早くなるような本であると思われる(それが分かるのは1年後ぐらいはかかるだろうが)。


ギター・マガジン 耳と感性でギターが弾ける本 (CD付き)

ギター・マガジン 耳と感性でギターが弾ける本 (CD付き)

  • 作者: トモ藤田
  • 出版社/メーカー: リットーミュージック
  • 発売日: 2010/02/08
  • メディア: 単行本



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カール・グルーバー『ドイツの都市造形史』 [書評]

カール・グルーバの「ドイツの都市の歴史」の訳本を読む。なぜ「Die Gestalt der deutschen Stadt」がドイツの都市造形史に意訳されたのであろうか。著者の確かに内容はドイツの都市の歴史の中でも都市造形に関わっているかもしれないが、この本の肝は、中世、ルネッサンス、19世紀という大きく3つに分類された時期ごとに、どのようにしてドイツの都市がつくられ変容していったのかを教会、大聖堂、塔といったランドマークや建築要素(例えば窓)ごとに記述していることである。あえて、意訳をする意味があるのだろうか。

著者の恐ろしいほどの造詣の深さには、おったまげさせられる。そして、都市のスケッチが多いのだが、これが大変興味深く、面白い。ただ、私のようにドイツに生活し、旅行しまくって都市を知っている読者はある程度、フォローはできるが、そのような前知識がないと、相当、分かりづらい本であるような印象を受ける(もちろん、ドイツ人が読者対象なので、分かりづらいのは日本人であるからだけなのだが)。あと、翻訳はひどい。読むのが辛くなるような日本語である。しかし、それでも最後まで読めたのは、本の内容が濃いからである。私はこれを読み終わった後、原著を注文した。


図説 ドイツの都市造形史

図説 ドイツの都市造形史

  • 出版社/メーカー: 西村書店
  • 発売日: 2022/02/02
  • メディア: 単行本



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Get Back (第三話) [都市デザイン]

ゲット・バックのドキュメンタリーの第三話。第一話ではビートルズのメンバーの不和を描き、すわジョージ・ハリソン脱退か!とハラハラさせて終わり、第二話ではジョージが戻ってきて、なんかいい感じにセッション進んでいるな、と安心させ、第三話ではアップル・スタジオの屋根でのライブ・レコーディングという大団円へ向けて事態が加速するという流れで、ビートルズの名曲が原型から徐々に形になっていくのが見ていてとても楽しく、引き込まれる。特にジョージのオールド・ブラウン・シューや、サムシングの原型を提示すると、皆がそれに反応してアイデアを付け足していくところは、ビートルズのメンバーのアレンジ力のすさまじさを改めて思い知らされる。あと、リンゴがオクトパス・ガーデンのアイデアを披露した時の、皆のポジティブな反応がいい。特にジョージの真摯なアドバイスは見ていて感動的だ。本当、創造集団としてとても優れていたんだな、ということが分かる。ジョンもゲット・バックのギター・ソロとか本当、秀逸だ。ギターは相当、下手だけど。ギターが下手というとジョージもそうで、アイ・ガット・ア・フィーリングのギター・ソロとか、メロディは素晴らしいのだけどビブラートにそんなに力、入れんなよ、とアドバイスをしたくなる。いや、本当、余計なお世話だけど。最近、セッションで一緒になったギタリストが、本当に左手に力が入っていて、これじゃあ上手く弾けないよ、と思ったが、ジョージもそんな感じである。

とはいえ、この映画で一番、見直したのはジョージである。サムシングを作曲するぐらいだからメロディ・センスは飛び抜けていいのは分かっていたが、ギターのバッキングやソロはいい。そして、オールド・ブラウン・シューとかも弾けないピアノであんな名曲をつくってしまうから、ポールとジョンの影に隠れていたが、ビートルズにとって不可欠な功労者であったのだろう。ただ、ジョージが「僕は曲が今、どんどん浮かんでくるんだけど発表する機会がないからソロ・アルバムを出したいんだ」と発言したのは、非常に予言的ではあったが、そういう気持ちにジョージがなるのは分かる。それまでも、ずいぶんと曲はつくってきただろうが、ポールとジョンにずいぶんと駄目だしをされていて我慢をしていたのだろう。サムシングやヒア・カムズ・ア・サン、アイ・ミー・マインとかの曲が頭にどんどんと浮かび始めたら、もう自分の思う通りにやらせて欲しい、と思う気持ちはよく分かる。まあ、この点でもビートルズを機能させていたバランスが崩れ始めていたんだろう。ハリソンはビートルズを辞めた後、「All Things Must Pass」を発表するがなんと三枚組であった。どんだけ、在庫にためていたんだ!という感じである。

第三話は、もちろん屋上でのライブがクライマックスであることは間違いないのだが、前半はリンダの連れ子のヘザーがアップル・スタジオでふざけ回るのだが、そのお茶目な姿は何とも心を揺さぶる。これはほとんど仏頂面(みんながレコーディングしたものを聞いている時も一人、ほとんど表情を変えない)のオノ・ヨーコとはめちゃくちゃ好対照だ。

あと、ジョンも本当、コメディアンのように茶化しまくっていて、少しは真面目に取り組めよ!と言いたくもなるが、それでもあんな曲をつくったりできるということは天才ということか。とはいえ、ポール、本当孤軍奮闘で、ポールがいなければゲット・バックというアルバムが出てこなかったことはよく理解できた。ポール、偉いよ、あんたは。これまでも尊敬していたけど、さらに尊敬の気持ちが強くなった。
 

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