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カール・グルーバー『ドイツの都市造形史』 [書評]

カール・グルーバの「ドイツの都市の歴史」の訳本を読む。なぜ「Die Gestalt der deutschen Stadt」がドイツの都市造形史に意訳されたのであろうか。著者の確かに内容はドイツの都市の歴史の中でも都市造形に関わっているかもしれないが、この本の肝は、中世、ルネッサンス、19世紀という大きく3つに分類された時期ごとに、どのようにしてドイツの都市がつくられ変容していったのかを教会、大聖堂、塔といったランドマークや建築要素(例えば窓)ごとに記述していることである。あえて、意訳をする意味があるのだろうか。

著者の恐ろしいほどの造詣の深さには、おったまげさせられる。そして、都市のスケッチが多いのだが、これが大変興味深く、面白い。ただ、私のようにドイツに生活し、旅行しまくって都市を知っている読者はある程度、フォローはできるが、そのような前知識がないと、相当、分かりづらい本であるような印象を受ける(もちろん、ドイツ人が読者対象なので、分かりづらいのは日本人であるからだけなのだが)。あと、翻訳はひどい。読むのが辛くなるような日本語である。しかし、それでも最後まで読めたのは、本の内容が濃いからである。私はこれを読み終わった後、原著を注文した。


図説 ドイツの都市造形史

図説 ドイツの都市造形史

  • 出版社/メーカー: 西村書店
  • 発売日: 2022/02/02
  • メディア: 単行本



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