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中村攻著『子どもはどこで犯罪にあっているか? 犯罪空間の実情・要因・対策』 [書評]

子どもが犯罪に出会った場所をアンケート・ヒアリングで調査し、それらを丹念に実地検証した労作。そして、それらの事例の分析を通じて、どのような場所において子どもたちが犯罪に合いやすいのかを検証し、その結果から、望ましい都市空間づくりを提言している。都市や建築を研究しているものは、本来的には現在に都市で生活する人々に資するものであるべきだが、実際は個人の趣味に走っていたり、現実社会で暮らしている人から遊離しているという問題意識を有する著者が、まさに空間研究者として、子どもが犯罪に合わない都市空間をつくるための社会的にも意義があり、貴重な資料をとりまとめた。本書は、広く、都市・建築・土木といった理工系の専門家だけでなく、社会学などを研究する人にお勧めする本である。また、多くの子どもを持つ親達にも是非とも読んでもらいたい。それだけの価値のある本である。また、このような本をとりまとめたのが晶文社であるというのも驚き。昔は本当にいい本を出していたのに、今では学術参考書中心という情けなさ。出版不況以後、このような社会的に意義はあっても多少、出版するうえでリスクがある本が出なくなってしまったことを考えると、より本書が世に出たことの価値は高いと思われる。

子どもはどこで犯罪にあっているか?犯罪空間の実情・要因・対策

子どもはどこで犯罪にあっているか?犯罪空間の実情・要因・対策

  • 作者: 中村 攻
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2000/03/01
  • メディア: 単行本



タグ:中村攻
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