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ストックホルムの高校を訪問する [グローバルな問題]

 ストックホルムの南の校外にあるシェルトル高校を訪れる。生徒数は1200、職員が120(そのうち教員は80)。ストックホルムには24の高校があるが、同校は規模的にはトップクラスであるそうだ。公立高校も私立高校も学生数に応じて、補助金が市から出る。学生数当たり年間5万クローネが学校に入ってくる。したがって、市立でも公立でも授業料はない。ちなみに、教科書代も昼食代も無料だそうだ。とはいえ、これは私が読んだ本『スウェーデン・パラドックス』とは異なっている。校長先生が間違いを言うことはないだろうが、ストックホルム以外では昼食代などを取っているところもあるかもしれない。また、この校長先生は遠足などのバス代を学生から徴収できないので、それが問題だと嘆いていたが、『スウェーデン・パラドックス』では出来ると書かれていた。ストックホルムでは何か、そういう出来ない特殊な事情があるのかもしれない。
 スウェーデンでは高校も大学も入学試験はないが、なんかその代わりにポイント制というのがあるらしい。学生達はこのポイントを確保していき、それで高校や大学の選抜を受ける。ポイントが足りないとまた学校に通って、ポイント稼ぎをしたり、そのポイントでいける学校に行ったりするようだ。また、通信簿は中学二年生まではない。
 このようにスウェーデンでは実力主義のところがない訳ではないが、実力不足を努力でカバーできるようなシステムになっている。そして、感銘を受けたのは、教育機会が均等に提供されているところで、これは大きく評価できると思われる。大学だとさすがに給食代と本代は本人負担だそうだが、授業料は無料。まあ、国は人だからねえ。こういう制度を取っていることは、その国民の潜在能力を発揮させることに繋がり、日本より人材活用という点では遙かに優れていると思われる。
 実際、授業風景も見させてもらった。化学の講義であったが、実験とかではなくて板書で化学式の説明をしていた。実学志向であるとの話を聞いていたが、少なくともこの講義ではそのような印象を受けなかった。日本の方が、意外と実験とかをしっかりやっているのではないだろうか。私は高校時代、蚕とか結んだり、カエルの解剖をして、その後、揚げて食べたりしたが、そういうことはアメリカはもちろん、ドイツなどでも高校ではしなさそうだ。
 私は高校時代が嫌いで、あまりろくな思い出がないのだが、それでもどちらがいいかと言われると悩ましい。ちなみに、私は、中学はアメリカと日本の両方に通ったが、アメリカの中学の方が日本より遙かに楽しかった。しかし、そんなに勉強はしなかったので、教育という観点からは日本の方がよかったような気がする。とはいえ、高校時代から大学時代にかけておそろしく勉強しなかったので、アメリカの大学院に行って、その分取り戻さなくてはならなくなった。
 まあ制度も重要ではあるが、一番重要なのは本人のやる気か。本人に動機付けを与えるシステムがよいと考えると、まあスウェーデンのシステムもそれほどは悪くはないが、ハードルを設けて飛び越させようとする日本のシステムもそんなには悪くはないかもしれない。ただ、経済的な理由で、そのような機会を奪われる人がいるような事態は解決することが望ましいであろう。
 


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