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青森県知事選からみる原発の先行き [原発問題]

青森県知事選では、3人の候補者が三者三様の考えを主張している。下北半島の最北端にある大間町での演説会では、自民党衆議院らが「着実な原発建設を訴えた」(朝日新聞5月29日)。ここでは、新たなる東通原発が建設予定であるが、震災以降、工事は止まっている。そこで地元の商工会は工事の再開を要望している。
 不安があるが、町内の漁師(63歳)は「マグロが汚染されないかが怖いが、俺らは海を売る判断をしたんだ」と言い切る。立地の見返りに町内の2漁協が受け取った補償金は計150億円。
 しかし、この漁師が売ったのは海だけではない。ひとたび事故が起きれば、大間町だけでなく、周囲一帯を人が住めるような場所ではなくす。それは海ではなく、その町、そして周辺部の将来をも売るような行為なのである。たんに海の話ではない。問題の捉え方があまりにもミクロであることに驚く。
 コンビニの女性店長(62歳)は、3月11日以降、1日500人の客が100人に減ったことで「放射能は怖いが、仕事を失う方がもっと怖い」と朝日新聞の記者に答えたそうである。あまりの問題意識の浅さに愕然とする一方で、日本の地方はいつから、放射能という悪魔に魂を売らなければ生きていけないほど疲弊してしまったのかとショックを受ける。
 この同じ朝日新聞の一面では、海外から原発事故関連で賠償金を請求されたら青天井になるとの記事が載せられていた。これは、私も原発事故以降気になっていた点であるが、このままでは本当に国が破産されるような状況に追い込まれる可能性が大である。チェルノブイリの事故を起こしたソ連は、被害を及ぼしたドイツやスウェーデンと基本的には国交がなかった。この点が、福島とチェルノブイリとの大きな相違点である。特に、距離が離れているがアメリカの賠償額は相当のものになる可能性が高い。あの国の弁護士は、金になる裁判のネタをいつでも探している。これは格好のネタとなる。
 私でさえ、事故が東通で起きれば、この大間町の漁師やコンビニ店長の浅はかさを訴えたいと思うくらいだ。ましてや、日本の将来など知ったこともないアメリカ人がどのくらいの額を請求してくるのか。
 日本という国は、本当にここでしっかりとしないと、第二次世界大戦の敗戦以来の危機、いやある意味で、それ以上に国家の危機に晒されているのではないかと思う。石原都知事は相変わらず、原発推進派らしいが、中国で原発事故が起きたら、相当攻撃するであろうと思うのである。日本はまさに、石原都知事のような反日の政治家や人々に、相当、格好の攻撃のネタを提供していることに気づくべきである。もはや、この事故は日本の国内問題ではないのである。大間町の人が自分の海を売った、というようなレベルで捉えられるものではないのである。日本人はフクシマの事故で、人類が共有する地球環境に相当のダメージを与えたのである。そして、そこから責任逃れをすることは残念ながらできない。そして、その罪は、国が傾くほどのものになるかもしれない、と私は危惧している。

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