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小佐古敏荘東大教授の辞任を考える [都市デザイン]

東日本大震災発生後の3月16日に内閣官房参与に任命された小佐古敏荘・東京大教授(放射線安全学)が29日、菅直人首相あての辞表を首相官邸に出した。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011043090065846.html

さて、その理由は幾つかあるが、特に小中学校などの屋外活動を制限する限界放射線量を年間20ミリシーベルトに決めたことに「容認すれば学者生命は終わり。自分の子どもをそういう目に遭わせたくない」と異論を唱えた。

もう一点、政府の原子力防災指針で「緊急事態の発生直後から速やかに開始されるべきもの」とされた「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」による影響予測がすぐに実施・公表されなかったことなども指摘した。

小佐古氏はまた、学校の放射線基準を、年間1ミリシーベルトとするよう主張したのに採用されなかったことを明かし、「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を小学生らに求めることは、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と述べたそうだ。

武田邦彦教授が指摘していたことと同じだ。ということは、福島の中通りの子供達は、年間1ミリシーベルトは余裕で越える被曝量であるから、そこから退去すべきということになる。実態としてはそれくらい危険なのかもしれない。

さて、これだけだと、本当に菅内閣はろくでもないなあ、と思われるところだ。小佐古教授も「何を提言しても無意味だ」と首相をなじったそうだ。一方で、この小佐古教授もちょっと怪しいところもある。沢田昭二名古屋大名誉教授は、彼を御用学者だと詰ったことがあるようだ。

「彼は原爆症認定訴訟の大阪地裁の国側の証人を務めましたが、電力会社の宣伝マンとして原発は安全だという講演をして廻るだけで、毎年何百万円も厚労省から原爆放射線の研究の代表者として科学研究費補助金を受け取りながら、そのテーマに関する研究は一切していないこと、研究費を配分した共同研究者からは研究成果の報告を一切受取っていないことが弁護団の追及であきらか」となったようだ。

http://d.hatena.ne.jp/samakita/20110321/1300697799

この裁判のことに関しては、次のウェブサイトでも記されている。
http://www.tokuoka-miyatake.com/still_crazy/03.html

これまで原発推進でやってきたが、流石に良心の呵責に苛まれたのであろうか?

小佐古教授が辞任したことの背景を考えると、
1)どうやら年間20ミリシーベルトというのは、相当無理があるらしい。おそらく原発推進の御用学者でさえフォローできないような無理があるということ
2)原発推進という御用学者で喰っていくうえで、ちょっと白を黒というだけでは、もう割が合わないほど状況は深刻化しているということ

であろうか。

まあ、どちらにしても宗主替えするには、今が絶好のタイミングであるし、これまでの御用学者という批判も吹っ切れるナイスな判断であるとは思われる。そして、我々はやはり放射能の危険性を相当、深刻に捉えるべきであるということをも示唆している。
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