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「考えよ!」イビチャ・オシム [書評]

いきなり私事であるが、私はオシムが大好きである。崇拝しているといってもよいかもしれない。私は大学で教員をしているが、その教授法はオシムの考えを積極的に導入しているつもりだ。なぜ、そこまでオシムに心酔しているのか。それは、オシムが有している課題を分析する力、状況を的確に把握し、未来を予知する能力に極めて長けているからであると思われる。オシムという目でサッカーを捉えると、素人では到底、見えてこないそのゲームの面白さ、勝負を決定づける背景にある要因等が浮かび上がってくる。オシムが捉えると、サッカーというスポーツがみるみる平坦なものから様々な要因等が複雑に絡み合った立体的で興味深い事象へと昇華していく。そして、そのようなことを可能ならしめているのは、オシムのサッカーへの深い造詣と論理的な思考力である。この本の凄いところは、ワールドカップが始まる前に書かれているにも関わらず、ほとんどオシムの指摘したような展開となったことである。イタリアとイギリスの予選落ちは、さすがのオシムでも読み切れなかったが、他は本書で指摘されたような展開となった。特に日本が含まれたグループEの予測結果は、ほとんど指摘通りとなった。この稀代のサッカー脳が日本サッカーそして日本人と縁があったことは、本当に幸せなことだったことが理解できる良質な本である。

考えよ! ――なぜ日本人はリスクを冒さないのか? (角川oneテーマ21 A 114)

考えよ! ――なぜ日本人はリスクを冒さないのか? (角川oneテーマ21 A 114)

  • 作者: イビチャ・オシム
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/04/10
  • メディア: 新書



タグ:オシム
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