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アメリカ人は勝ち気? [グローバルな問題]

語学学校でアメリカ人のクラスメートがいた。米軍で勤めていたので50歳代半ばくらいでもう退職している。第二の人生でドイツ語を勉強しているようなのだが、ドイツ生活は楽しみながらも戸惑うところも多いようだ。さて、彼は何かとアメリカとヨーロッパを比較する。彼が驚いたのは、ドイツ人の若者の多くが英語を流暢にしゃべれることである。それの彼の自分自身への説明は、語学に時間を割いているので数学などに力を入れていないだろうということ。これはまったくの間違いで、アメリカの高校では数学などのレベルも日本はもちろんドイツ、そしておそらくヨーロッパのどこよりも低い。そもそも、アメリカの大学院を受けるうえでGREというテストがあるが、その数学のレベルは昔の共通一次と都立高校の入試問題の中間のような低いレベルであった。日本人が受けるうえで気をつけなくてはならないのは英語で平行四辺形とか垂直二等分線とかを覚えなくてはならないということだけで、数学的に難しいことはまったくなかった。800点満点を取って当たり前という感覚であった(逆に、英語すなわち国語では大いに苦労する)。要するにアメリカは第二外国語も一生懸命していないにも関わらず、数学にも力を入れていないということである。私がアメリカの大学院に通っている時、今は著名な大学の教員になっている同級生が三角形の面積の計算の仕方を聞いてきて驚いたことがある。彼は同級生ではトップクラスに優秀であったが、それでもこの程度の知識しか有していないのである(もちろん、数学の教員ではない)。まあ、そういう経験があるので、私の日本の大学の同僚とかが、日本の大学生に比べてアメリカの大学生の方が優秀だ、と言っているのを聞くと、何を戯言をと心の中では思っている。

それはともかく、興味深いのはこの語学学校のクラスメートの彼が、なかなかアメリカのそういう他国に劣っているところを認められないという点だ。まあ、軍人だからというのもあるが、勝ち気なんだなあと思う。アメリカは何しろ競争社会で、勝てば官軍がまかり通っている社会だから、負けを認めると駄目だというメンタリティを有しているのかなとも思う。昔、アメリカのどこかの空港で手荷物検査をする時、前の女性が私と同じマッキントッシュのラップトップを持っていて、間違えて私がそれを取ろうとしたら、「あんた、こんなかには何百万ドルの価値が入っているのよ」といきなり切れられたことがある。何を背負ってるんだか知らないが、何が彼女をそこまで追い込んでいるのかとも思う。まあ、自分は正しい、自分は勝っているという価値観を共有できているからこそ、まったく合理性のないインチやフィート、ポンドといった度量単位を未だに用いているのであろう。

とはいえ、このクラスメートの彼はそれでもドイツに来て、ドイツ語を学ぼうとしているなど、他の世界にも目を向けている。こういうことをするアメリカ人も決して多くないことを考えると、偏狭なる視野のアメリカという国の将来に危惧を抱いてしまう。
タグ:GRE
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