宮本毅『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』 [中学受験]
中学受験は大変だ。私は中学一年まで海外にいたので、中学受験をせず、高校受験をしたので、中学受験を知らない。しかし、子供が中学受験をしたいというので急いで幾つかの本を読み漁っているのだが、本書は、類似本の中ではダントツにベストである。というのは、著者は、中学受験を単に、中学合格という視点で捉えておらず、人生の通過点として冷静に客観的に捉えているからである。とても現役塾講師が書いている本とは思えないほど、本音ベースで大手塾などの受験ビジネスが流布している中学受験の「常識」、例えば「いかに早くから塾に通わせるかが合否を決める」、「合格のためには、学習量をふやすしかない」、「社会は、とにかく暗記!」といったことが間違いであるということを、自らの実体験から論証する。子供を自立させることが受験の成功の秘訣、といった提案は、何しろ合格という結果を求めている親には不評かもしれないが、私は、むしろこの著者が指摘する勉強法を実践した方が、急がば回れではないが、合格する近道なのではないかと思う。「時々立ち止まって、「本当に我が子には中学受験が向いているのか」と冷静に分析することも、とても大切なことなのです」などの文章を、現役塾講師が本として書いているという事実だけで、教育者としての著者の器の大きさが推察できる。中学受験を子供の人生の「糧」にしたい親は必読であると思う。中学受験に対して、とてもポジティブな気持ちにさせてくれる。
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2013-10-23 12:24
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