西沢渓谷を訪れ、東京のそばにこんな美しい自然があることに感心する

　西沢渓谷を訪れる。ここは高校の時から行こうと思っていたのに、今まで行けなかった。しかし、それから３０年近く経ち、ようやく来ることができた。車で３時間もかからない。あっという間の距離であったにも関わらず、今まで来ることができなかったのだ。そう考えると人生、短いものだ。
　さて、ようやく念願がかなって来た西沢渓谷だが、その期待を裏切ることはなかった。美しく濃い緑の中を、青くトルコ色のように光る渓流。渓谷の美しさは、奥入瀬に負けるかもしれないが、水の美しさは決して負けることのない。ちょっと魔力があるかのような美しさである。渓谷に沿って、このハイライトである七つ釜五段の滝にまで向かう。途中、なかなか険しい岩場が続く。気楽な気分でハイキングに来ると、ちょっと辛いかもしれない。少なくともしっかりとした山靴を履いて来るべきであろう。七つ釜五段の滝は、滝の五重奏といった趣であり、その優美さは相当のものだ。東京からこんなちょっとで、このような美しい自然が織りなす美を鑑賞できるとはなかなか素晴らしいことであると感心する。


（七つ釜五段の滝）


（七つ釜五段の滝）


（竜神の滝）

　このように車で３時間ほどでこれだけの大自然の懐に入れるというのは、世界的にみると東京という大都市のユニークさであろう。パリ、ロンドン、ニューヨーク、ベルリンと大きく違う点だ。ミシュランが高尾山を三ツ星にしたのは、東京からの近さ、という要素が大きかったようだが、そういう観点、すなわち「観光地の価値＝その観光地の魅力÷アクセス距離の長さ」で捉えると、この西沢渓谷は高尾山を大きく上回ると思われる。