岡崎京子「PINK」 [書評]
発表当時、某評論家は「マンガは文学になった」と本作品を評価したが、まさに傑作の文学作品しか与えられないような強烈な読後感を与える作品である。OLでありながら、ワニと暮らし、かつホテトル嬢である主人公の置かれた普通のようで異常な状況を、作者は登場人物の心理描写を通じて多面的に捉えることで、リアリティを持たせることに成功している。資本主義と愛という嵐の中を、翻弄されながらもマイペースで泳いでいく主人公の生き様は、作者があとがきで指摘しているように「壊れてしまっている」のかもしれないが、逞しく、読者に勇気させ与えてくれる。