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アルハンブラ宮殿とグラナダを訪れ、大いに感動する [地球探訪記]

私には、「見ないで死ねるか」リストがある。そのうちの一つであるトレドを訪れた翌日、リストに載っているもう一つの場所を訪れることにした。グラナダのアルハンブラ宮殿である。マドリードでアポが翌週の月曜日に入っているので、訪れるといってもマドリードから1泊で行くだけである。しかも鉄道は片道5時間弱かかるので、グラナダでの滞在時間は長くはない。

さて、トレドがちょっと期待外れだったこともあり、グラナダそしてアルハンブラ宮殿もあまり期待が大きいとショックも大きいかもしれないという後ろ向きな気持ちをもって訪れたのだが、アルハンブラ宮殿はいい意味で期待を裏切った。

私は今でこそ経済学部で教鞭を執っていたりするが、勉強したのはランドスケープ・デザインなので、アルハンブラ宮殿のことは教科書を通じて勉強していた。それらの知識を体感させてくれた、ということでより感動が大きくなったのかもしれないが、その細かな人間業とは思えない意匠、水や植物をいかに空間的にドラマティックに演出させるか、というそれらと建物をはじめとする人工物との調和への工夫。何より、意匠は細かく女性的であるが、全体的なフレームはシンプルで男性的であり、ヴァーナキュラーであることが、私のツボにはまる魅力を発散させていたのである。そのあまりの美しさに、ああ死ぬ前に見てよかった、と思わせられた。

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(アラヤネスのパティオ)

そして、何より周辺とのランドスケープとの調和が素晴らしい。雪をいただくシエラネバダ山脈の秀峰を背景とするアルハンブラ宮殿は、この世のものとは思えない美しさである。蜃気楼か幻想を見ているようだ。さらに、隣接する丘に発展したアルバイシン地区の白い壁と、アルハンブラ宮殿の茶色がかったベージュ色とのコントラストが見事だ。こんなに美しい景観を有している30万人クラスの規模の都市は滅多にないのではないか。人口規模は小さいがベルン、フィレンツェ、ジュネーブ、ボルダー・・・。いや、どれもグラナダには及ばない気がする。有機的に開発された都市的街区の美しさ、歴史的建造物の美しさ、そして、雄大なる自然の美しさ。それらのいくつかの要素が絡み合うことで、このグラナダという都市を極めてユニークなものにしていると考えられる。

またトレドと違うのはファサードの美しさである。トレドは城砦都市として、壁にほとんど窓がない。ファサードはまさに城壁という感じて、街中を歩いていても壁に囲まれている圧迫感を覚える。それに比して、グラナダのアルバイシン地区も同じように城砦としての機能を有しているのだが、なぜか窓が多く、また白色なので、華やかさを感じるのだ。さらに、トレドからの展望はそれほどドラマティックでないのに比して、アルバイシン地区からはアルハンブラ宮殿とシエラネバダ山脈という美しすぎて、もはや幻想的としか形容できないような光景が広がる。グラナダは確かにスペインを代表する観光地だけの凄みがあると感じた。

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(アルバイシンから望むアルハンブラ宮殿)

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(アルバイシン地区を市街から望む)

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(アルバイシン地区とシエラネバダ山脈)

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(アルバイシン地区をアルハンブラ宮殿から望む)
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