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狭山茶の製造・販売会社倒産の記事を読み、原発と風評被害に関して考察する [原発問題]

狭山茶を製造・販売する「橋本園」が倒産した。橋本園は1950年に操業、県内製茶業者では最大規模だったそうだ。狭山茶では9月に国の暫定規制値(1キロあたり500ベクレル)を上回る放射性セシウムが検出され、埼玉県では検査を終えていない銘柄の出荷・販売を自粛した。同県知事の上田氏はその経営破綻の原因を原発事故であると述べている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111003-00000082-mai-soci

さて、興味深いのはその報道の仕方が新聞によって違うところで、毎日新聞には一言も出てこない「風評被害」という言葉が、読売新聞には出てくるところだ。

「東京電力福島第一原子力発電所事故による茶葉への放射能汚染の風評被害が追い打ちをかけた」との帝国データバンク大宮支店の分析を紹介している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111003-00000775-yom-soci

なんか、「風評被害」と言われると、いろいろと選りすぐる消費者に責任があるかのような印象を受ける。消費者が放射能を怖がるからいけない、と言われているような気分だ。しかし、1キロあたり500ベクレルというのは相当の放射能である。例えば、チェルノブイリでの基準値は水だと10ベクレル(1キロあたり)、牛乳100ベクレル、果物40ベクレル、じゃがいも80ベクレルと日本に比べると随分と低い。一番高いのはセシウムを多く堆積してしまうきのこであるが、それでも370ベクレルである。つまり、この500ベクレルというのは食料に関しては、チェルノブイリより遙かに高い暫定基準値であるのだ。ちなみに、ベラルーシでは子供がそのまま摂取する食品の基準値の上限は37ベクレルと相当、低く設定されている。

これらの数字をみると、日本政府はベラルーシ政府(ここで紹介した数字は、ウクライナ政府のものではなくベラルーシ政府のもの)に比べて、はるかに暫定基準値が高く、国民を守る意志がそもそもあるのかと思われるようなものだ。それでも、この数字をオーバーしているお茶を買い控えることが「風評被害」なのか。

今回の日本茶の製造・販売会社の倒産は、原発事故が原因である。風評被害と責任を消費者になすりつけるのは本質的ではない。そもそも風評被害ではないし、仮に風評被害であるとしても、それは原発事故が原因で、その結果、生じたものであるからだ。原発を支持する人達は、原発が抱えるリスクを認識し、事故が起きた時にその被害を受ける覚悟をするべきであろう。そして、その被害とは農業・漁業、そして林業といった土地に依存する産業が、ひとたび事故が生じたら壊滅するということである。

ここで挙げた数字等に関しては、下記のホームページを参考にさせてもらっています。
http://hanakaikou.blog68.fc2.com/blog-entry-156.html

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