「菊とポケモン」 [書評]
アメリカの文化人類学者によるアメリカ論。ポケモン、パワーレンジャー、セーラー・ムーン、たまごっちという日本発のサブカルチャーでアメリカをまさに席巻したテーマを切り口に、これらのメイド・イン・ジャパンのコンテンツがなぜアメリカ人をここまで魅了できたのかを分析する。それ以前のゴジラ、ウルトラマンなどが極めてマニアックなファン層しか魅了できなかったのと、これらの違いをも分析する。膨大な文献調査、そして取材から得られた情報をもとに考察される著者の明晰なる思考は、ぐいぐいと読者を引き込む迫力に富んでいる。特に「ポスト・フォーディズム」という観点からの分析は、説得力があり、この本を読むと、なんか世の中がちょっと理解できたかのようにさえ思える素晴らしい名著。こういう本に出会えるから、読書は止められない。
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