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公共空間への一考察 [都市デザイン]

 公共空間のことを最近、よく考えている。下北沢の道路整備問題とか、小平での雑木林を踏み倒す道路整備問題などに多少ではあるが、首をつっこんでいるからであろう。何が「公共」なのか。人々を置き去りにした公共事業の何をもってして「公共」というのか。我が国が経済的に豊かではあるのに、なんかいつも貧乏たらしいのは、この「公共」の豊かさという指標において、他の先進国に比して、大きく劣っているからだと思われる。最近では、韓国や台湾にも劣っているのではないかと思ったりもする。
 さて、公共の豊かさを測る一つの有効な指標は公共空間の豊かさであろう。これに関しては、本当に日本の都市は貧しいと思う。これは、公共空間が人々の社会的豊かさを醸成させるという認識が行政どころか市民にもないからだと思われる。また、ここで重要なのは、公共空間の豊かさとは単なる都市デザイン、物理的な空間だけの話に限らないことである。
 公共空間の物理的な特徴はもちろん重要ではあるが、公共空間においてもっとも重要なことは、そこで展開される人々の体験、そして都市生活と公共空間との関係性である。どんなに図面や建築雑誌上では美しい公共空間であっても、そこで人々が営む活動がなければ意味はない。逆に、建築的にはなんの特徴もないつまらない空間であっても、そこで素晴らしい都市体験が営まれていれば、それはそれなりに尊重すべき価値がある。
 とはいえ、しっかりとした都市活動が行われるべき場所において、素晴らしいデザインの公共空間が整備されれば、人々がそこを利用することはまず間違いないとは思われる。

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