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東京事変の『スポーツ』 [ロック音楽]

本作は東京事変の最高傑作であるだけでなく、日本ロック史上の金字塔というか金メダル。前作『娯楽』が椎名林檎楽曲の作品が一つもなく、せっかく椎名林檎というメッセのような最強兵器を有しながら、それを前半戦途中で引っ込めるような起用しかしなかったのに比べて、本作は椎名林檎が中心にどんと鎮座しつつも、周りとのコラボレーションも非常にうまくいっている奇跡のような名作である。東京事変の最高傑作であり、それはすなわち日本ロック史上の金字塔であるということだ。椎名林檎の4枚目のソロアルバムを経てつくられたということで、椎名林檎もいい意味で気が張っていなく、敢えて自分を引っ込める必要性も感じなくなっているのだろう。ソロアルバムでも見られた気負いの無さが、この稀代の天才ロック・アーティストの才能を存分に発揮させている。椎名林檎ファンである私は、常に東京事変に幾ばくかの不満を抱いていたのだが、本作は他のメンバーが椎名林檎という異能と波長を合わせつつある。もちろん、亀田師匠は昔から波長が合っているのだが、他のメンバーも共振し初めて、緊張感溢れる素晴らしい音宇宙を創造することに成功している。『娯楽』において、敢えて椎名林檎が後ろに引くことで、他のメンバーの才能が前面に出てきたことで、本作において花開いたと考えれば、ネガティブに捉えていた『娯楽』の位置づけもポジティブに捉えることができる。そう考えられるほど本作は大傑作である。とはいえ、完全無欠という訳ではなく、浮雲作詞・作曲による『FOUL』、『極まる』などは改善の余地がある。彼の才能がこれからさらに進化することで、東京事変はもう一つ上の高見に上ることができるのではないかと期待する。椎名林檎ファンでも納得させることができる素晴らしいアルバムであり、今後の東京事変に今までにないほどの将来性を感じる。

スポーツ

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  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン
  • 発売日: 2010/02/24
  • メディア: CD



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