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ミュンヘンのオクトーバー・フェストは大したバカ祭りである [地球探訪記]

ミュンヘンのオクトーバー・フェストに行った。この期間、ミュンヘンのホテルは宿泊代が跳ね上がり、しかも取れない。ということで、金曜日にデュッセルドルフから夜行列車に乗り、土曜日の朝にミュンヘンに着き、土曜日の夜にまた夜行列車でデュッセルドルフに戻るという計画をたてる。もちろん、予約を事前にしておいたが、他の人も同じようなことを考えるようで当日には往復とも満席であった。

今年のオクトーバー・フェストは9月19日から10月4日まで開催される。オクトーバー・フェストは1810年10月12日のルードヴィヒ王子(後のルードヴィヒ一世)がテレサ王女と結婚式を挙げた際、市民をミュンヘンの広場に招待したことが始まりである。その際、式の最後に競馬を行った。翌年の10月も競馬をしようということになり、加えて農業展示会も行われることになった。そして、会場にはメリー・ゴーランドなども置かれるようになる。そして、1896年には最初のビール・テントが設置される。また、移動遊園地としても大規模なものに徐々になってきた。

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(会場には仮設の遊園地が設けられていた)

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(右手にみえるビール・テントに入る)

現在では競馬はやられなくなり、農業展示会も3年に1度は行われ続けているが、今ではオクトーバー・フェストはなんといってもビール・テントがあちらこちらに並ぶ、まさにビール祭りの赴きを呈している。3週間という期間に600万人。大阪のユニバーサル・スタジオの年間入場者数は850万人くらい(2007年度)だから、大した集客数である。東京ディズニーランドとディズニーシーの3ヶ月分の集客数を3週間で稼いでしまうという計算にもなる。

さて、このオクトーバー・フェストであるが、会場は昔からある街外れにある広場。この広場はオクトーバー・フェスト以外では移動遊園地(キルメス)やイベントなどで使われたりするそうだ。会場は移動遊園地の遊戯施設も多く設置されている。なぜ、ビールと遊園地かというのはまったく不明だが、家族でも来てもらうという戦略があるのかもしれない。また、ティーネイジャーにとってはこの遊園地は魅力であるようだ。しかし、ビールをしこたま飲んで、これらジェット・コースターなどの加速系のアトラクションに乗ると、当然吐く。ドイツ人はアルコールが強いといっても所詮、人間である。ということで大量にビールを飲めば酔っぱらうし、それでジェット・コースターなどに乗れば吐く訳であるが、知人はゲロが宙を飛ぶのも目撃したことがあるそうだ。なんか、非常に汚い話だ。ちなみに、このオクトーバー・フェスト開催中は、歌舞伎町の朝のように路上に汚物が散乱している。美しい都市景観を誇るミュンヘンにあまり合わない光景である。

また、ケンカはしょっちゅう起こり、それによって怪我をする人も多いようだ。当然、アル中で病院に運ばれる人も多い。このような状況を危惧している人たちは少なくないようで、ある店舗前では、オクトーバー・フェストの浮かれ具合を揶揄するような展示がされていた。結構、野蛮な祭りなのだなというのを知る。

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(ビールを飲んでアトラクションに乗ると吐くという因果関係を表している)

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(ビールを飲んでけんかすると怪我をするという因果関係を表している)

さて、最終日前の祝日ということで恐ろしく混むことが想定された。したがって、9時30分には会場に赴く。目当てのビール・テントは15ほどある。そのうちの一つ、オースガティナ・ブラウの醸造所のテントに入る。ビール・テントの前では手荷物チェックがされる。これはアルカーイダから爆破予告を受けたからだそうだ。まあ、アルコールを飲んでバカ騒ぎをするという図式は、イスラム教的にはいらつかせるイベントなのかもしれない。私はカメラだけを持って入場する。さて、9時30分ではあるが既にもう結構、混んでいる。幾つか空いているテーブルは皆、予約席のようだ。とはいえ、3人分座れる場所を見つけてそこに陣取る。ビールは1リットルのジョッキ。巨大である。そして、値段は8ユーロ90セント。皆で乾杯して飲むと、美味い!さすがビールの本場ミュンヘンである。私はデュッセルドルフのアルト・ビールが相当好きだが、そこよりも美味いことを認める。これだと相当、飲んでしまいそうだ。しかし、ミュンヘンのビールはアルコール度が6〜7%と普通のビールよりは強い。気をつけなくては、と思いつつ、朝の9時半から4時半まで7時間、ここの場所にてビールを飲み続ける。ニジマスとソーセージ、そしてプリッツエルの巨大なものをつまみに結局3杯飲んだ。3リットルである。7時間、ただビールを飲み続けているだけである。途中で楽団が出てきて、牧歌的な音楽を奏でる。たまに、ジョッキを持った歌手が「ビールを飲もう」みたいなかけ声をかけると、多くの客は椅子に立ってウォーっと叫ぶ。それに合わせて、周囲の客同士が乾杯する。また、この楽団がたまに牧歌的ではあるが、ダンス・ミュージックのようなものを演奏すると、客の多くは椅子に立って踊り始める。たまに椅子からこけて怪我をする人もいるようだが、まあ素面ではバカにしか見えないようなことをしている。とはいえ、見ている我々も酔っぱらっているのでなんか楽しい気分になる。酒の持つ効用を知る。バカが許され、そしてバカを楽しめるという効用だ。まあ、ケンカをしたり病院に行くほど飲んだりしたらまずいが、適度に飲んでいれば楽しい。そして、多くの人と飲めば楽しいということが理解できる。酒と祭りの相性の良さを改めて知る。

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(一リットルジョッキ。8ユーロ90セント。携帯電話と比べるとその大きさが分かる)

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(楽しむ若者たち)

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(昼頃からバンドが出てくる)

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(つまみの巨大なプリッツェルのようなもの)

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(土産も売りに来る)

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(盛り上がる若者)

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(盛り上がる人々)

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(恐ろしい量のビールが消費される。一昨年のデータだが、670万リットルのビールが消費された。今年はどのくらい飲まれるのであろうか)

我々の隣には入れ替わり立ち替わり、人が変わったがクロアチア、ルクセンブルク、カナダと外国人も多かった。ということで必ずしも、このバカ騒ぎを演出しているのはドイツ人だけではない訳だが、こういう馬鹿なことを企画して、実行できてしまうドイツの馬鹿パワーの凄さには感心した。これだけ馬鹿ができるのは、相当の創造性がないと難しいし、このバカさ加減を共有できるというのは素晴らしいことだ。ミュンヘンのオクトーバー・フェストは、そのバカさ加減によって他の祭りに比べても一線を画しているのだなというのを知ると同時に、ミュンヘンの経済力の強さの一要因を垣間見たような気もする。イスラム教の人たちは、けしからんと思うのかもしれないが、予言者モハメッドもアルコールを飲むといいこともある、と言っている。ただし、悪いこともあると指摘し、どちらかというといいことより悪いことが多いので、飲まない方がいいというのが彼の考えであるということをイスラム教の知り合いから教えてもらったことがある。まあ、ミュンヘンのオクトーバー・フェストは、アルコールを飲むことの良さの一つであるというバカになる、そしてバカは楽しいということを確認させてくれるという点でいい祭りだと思う。

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(経済効果も100億円を越えるという。バカをやりながら儲ける。なかなか賢い)
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