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シンポジウムに参加して、日本から学ぼうとするドイツ人が多いことを知る [グローバルな問題]

ケルンで開催された日独の研究交流のシンポジウムに参加する。「都市・地域計画の視点からの高齢化問題」といったテーマで発表した。私の前に発表した方は、ドイツの元文部相大臣で、論文数も800を数える80歳のスーパー・レディであった。発表内容もしゃべりも大変面白く、私との器の差の違いを痛切に感じ、彼女の後に発表するのは大変気が引けたが、順番を変えてもらう訳にもいかず、発表をした。日本の高齢化が地域に偏って進展していることや、高齢化先進地域である南牧村と上勝町の事例などを紹介した。ドイツ語では到底無理なので、残念ながら英語で発表をした。途中、英単語が出てこなくて困ったが、これは日本語で講演しても起きることなので、まあ致し方ない。それにしても物忘れがひどくなっている。

さて、昼休みを介して、その後パネル・ディスカッションがあった。このパネル・ディスカッションは聴衆からも積極的に質問が出てきて大変面白かった。このように質疑応答が矢継ぎ早に出てくると、パネル・ディスカッションをする意味があるというか、刺激的なものになる。ところで、この過程で気づいたのは、どうも聴衆の多くは日本はドイツより賢くて、日本から積極的に学ぶべきであるという意見を共有しているということであった。日本にいると、日本は駄目なのでドイツから学べ、といった意見が本や雑誌などで多く出されているので、そうなのかな、と思っていたのだが、ドイツ人は逆に捉えていて大変興味深い。さすがにちょっと現実離れしているな、と思われた点には、せっかく日本を過大評価してくれている人達を落胆させるようで悪かったのだが、現実と違うと指摘しておいた。例えば、日本では家族の結びつきがしっかりしていて高齢になった親をしっかりと面倒みるとか、児童はしつけがしっかりされているので小学校でもお行儀がよいとか、健康を意識した食事を取る習慣ができているのでドイツ人より長生きできているとか、そういった過大評価されている先入観については尽く反例を出して、必ずしもそうではないと指摘してしまった。これらが正しくないのは自分の家族のことを例に挙げれば十分である。まあ、隣の芝は青いということか。

とはいえ、お互いの国のことを学ぶことによって自国がみえてくるといった点もあるし、これからもこのような情報交流をすることは大変意義深いと思われるし、今日のような機会を得られたことは個人的に大変有り難いことであった。ただ改めて思うのは、他国から学ぼうとする意識があまりにも強いと、その国を過大評価してしまい実態を見誤ることである。他人のふり見て我がふり直せではないが、自分もそのような誤りを犯さないように自省しつつ、しっかりドイツを学び、そしてドイツから学んでいきたいと思った一日であった。

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