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ハムのエコセンターを訪問する [サステイナブルな問題]

ドイツのハム市にあるエコセンターを訪問する。豚がたくさんいそうな名前であるが昔の炭鉱都市であり、現在は1998年にドイツの環境首都に選ばれたこともある環境都市として知られる。この環境都市ハムを象徴するような施設がこのエコセンターである。ドイツにはエコセンターが2つほどあり、一つは日本でも有名なフライブルグのエコセンターで、もう一つがこのハムのエコセンターである。しかし、その特徴は異なる。フライブルグのエコセンターが環境問題と住民の生活といった地に足の着いたアプローチをしているのに対して、ここハムのエコセンターは建物の省エネルギー化、環境負荷の低減といったテーマに絞った研究をしている。

このセンターはハム駅の隣のヘッセン駅が最寄り駅となる。デュッセルドルフから急行列車で75分ぐらいの所にある。ヘッセン駅でドルトモント工科大学に在学中の永井さんに迎えに来てもらう。永井さんはエコセンターで働いてもいるのだ。エコセンターは駅から歩いて5分くらいのところにあった。センター長のラウシェン氏と挨拶をする。ラウシェン氏は奥様が日本人であることもあり、日本語を話す日本通であった。このエコセンターは、建物に注目をして、その省エネルギー化をどのように具体化させるかを研究し、その成果を広く公表、広報、周知するようにしている。元炭鉱跡地の35ヘクタールに1992年に創設されている。なんと、このセンターは補助金を一切、政府からもらっていない。1992年の創設時は100%州からの補助金に頼っていたのだが、それからその依存を減らすために努力をしてきて、ついに0%にまで持って行くことができた。これは、補助金をもらわないことで研究や事業の独立性が得られるからであるが、このような研究センターが経営的に成立するというのは日本では想像も出来ない。これはドイツでも珍しいそうだ。なんで稼いでいるのかと聞くと、コンサルティングと研修だそうだ。特に研修は結構、事業としてうまくいっているようだ。この背景にはエコロジーや省エネルギーの関心が高まっていることと、このエコセンターの研修の評判が高いことがある。この関心が高まっているのには、新たな補助金制度ができたことが指摘できる。ドイツ連邦政府は企業、自治体、さらに家計を対象にし、2009年から2011年まで30億ユーロの二酸化炭素削減リフォーム助成プログラムを設けたからである。これによって、省エネルギー化を図るようなリフォームをすると補助金が貰えるようになったのである。ドイツの省エネのポイントは断熱である。これは、冬の暖房におけるエネルギー消費が大きいためで、日本のような夏の冷房ではない。また、てっきりこの施設は公営か第三セクターのようなもので運営されているのかと思ったら民営であった。

ドイツの環境政策のどこが凄いのかは、生活をしていても分かりにくいが事例研究をすることで、その凄みが見えてくる。ドイツの最近の環境本は結構、説得力が高いが、これはしっかりとした事例研究を土台にしているからだと思われる。私も今日は、ハムのエコセンターを通じて、随分とドイツの環境への取り組みのしっかりした点を知ることができた。

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