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デュッセルドルフにてオペラを7ユーロ(1000円弱)で観る [ドイツ便り]

ドイツ語学校のクラスメートがデュッセルドルフ・フィルハーモニー・オーケストラのチェロ奏者であり、オペラ「ドン・ジョヴァンニ」を弾くのでデュッセルドルフのオペラハウスに観に行く。自宅から歩いて10分もしないところにオペラハウスがある。とことこ歩いて開演5分前に着き、当日券を買う。ドイツ語学校の学生なので学生証があるため、学生料金で観劇できるのだが、その値段が7ユーロ。安すぎる。席は自由席で最後尾に近かったが、オペラハウスなので最後尾といってもたかがしれている。とはいえ、別に行ったクラスメートは学生証を提示しなかったので41.50ユーロを取られたらしい。指定席であり、正面に近かったが、それにしてもこの料金の差は大きい。ただ、41.50ユーロでも日本に比べれば随分と安い。さて、オープニングのオーケストラの演奏は今ひとつであり、本場もこんなものかとちょっとがっかりしたが、オペラは楽しめた。途中、中継はあったが延々と3時間30分もあるオペラを退屈しないで最後まで観ることができた。私は革靴ではあったがジーンズにカーディガンという格好であったが、まったく問題なく入れたし、また似たような格好をした人も結構多くいた。ただ、やたらにお洒落な人もいた。一緒に行ったクラスメートのフランス人によると、パリのオペラハウスは服装コードがあると言っていたが、そういう彼はTシャツにジーンズで入っていた。

劇が終わった後、オペラハウスの入り口の前でチェロ奏者のクラスメートが待っていてくれたので、遅い夕飯を一緒に食べに行く。窯焼きのピザ屋だが、マルガリータが3.50ユーロ。本当にこの安さは何なんだろう。しかも、結構、美味しい。さて、話をオペラに戻すと、友人のチェロ奏者によると、今日は指揮者が最悪でやる気がまったくなく、ほとんどオーケストラは指揮者なしで弾いているような状況であったそうだ。私も出だしは正直、感心しなかったことを伝えると、そりゃそうだろう、と返答した。オペラは演奏が難しいらしい。というのは、オペラ出演者はなかなかオーケストラの音が舞台上では聞こえないからだそうだ。逆も言えて、オペラ出演者の歌声がオーケストラに聞きにくいこともあるそうだ。そのような難しい状況であるにも関わらず、指揮者が疲れていると本当困る、というような話をしてくれる。いやあ、こういう舞台裏の話は面白い。ただ観劇しているだけでは知り得ないような話を聞くと、より舞台が楽しめるというものだ。7ユーロという破格の値段で、歩いて劇場まで行けるという条件であれば、オペラも観たいと思うものだ。学生に思い切り補助をしている、こういう制度は将来の文化の担い手を育成するうえで、先行投資と考えれば極めて有効だと思われる。我が国ももっと、この若い世代の育成のためにお金を投資すべきであろう。道路特定財源で何億円も使ってミュージカルを製作するのも重要だが、まともなミュージカルを若い人が無料に近い値段で観ることに補助金を出すといった考えがあってもいいだろう。と、こういうことを書いてその制度を中年の外国人が使っていることはおかしいとは思うのではあるが。


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