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世界遺産のブルーマウンテン国立公園を訪れる [地球探訪記]

シドニーから車で1時間ちょっとの距離にあるブルーマウンテン国立公園を訪れる。二度目の訪問である。1回目は20年くらい前であり、鉄道で訪れた。その時の印象は、大した観光地ではないな、というものであった。非常にダイナミックなランドスケープであることは確かだが、例えばアメリカのグランドキャニオンやヨセミテ、グレイシャーといった著名な国立公園に比べてはもちろんのこと、アーチス、キャニオンランドといったアメリカでは二番手の国立公園と比べてもインパクトは弱いと感じた。同じオーストラリアでもエアーズ・ロックやサンシャイン・コーストのグラス・ハウス・マウンテンの方が景観としても迫力があると思う。さらに、極めて観光地化が進んでおり、自然好きな私にとっては興醒めであった。そのような印象を与えたブルーマウンテン国立公園がなぜ世界遺産に指定されたのか。そこらへんを検証したいという気持ちもあり、再訪したのである。
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20年ぶりのブルーマウンテン国立公園は、随分と見違えていた。ランドスケープそのものは、昔ともちろん変わらないのであるが、その演出の仕方、すなわち、観光客に対して有り難みを与えるような工夫や施設デザインが随分と改善されており、その点で見違えるように立派になっていた。スカイウォークというカルンバ滝が見えるロープウェイや谷まで降りられるケーブルカー、トロッコ列車などもお洒落になっている。お洒落になったついでに、それらの乗車券も随分と高額なものになっていた。これらの乗り物セットが家族パックで70豪ドルである。こんな乗り物があること自体、世界遺産にしては随分と観光化が進んでいるのであるが、うまくエコというコンセプトで演出もまとめていて、土産物屋がエコセンターと名称を変えて営業をしている。そして、データ的な裏付けがないのでいい加減なことは書けないのだが、20年前に訪れた時と比べると、はるかに多くの観光客、しかも外国人と思しき観光客を多く見かけた。ブルーマウンテン国立公園の観光地としての魅力は、シドニーという400万人のマーケット、そしてオーストラリア最大の観光地から1時間ちょっとでアクセスできるという点である。ほとんどロスアンジェルスでいえばディズニーランドに行くような感覚で訪れることができる。そういうことを考えると凄い観光地かもしれない。東京でいう高尾山である。
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(シーニックワールドという名称の乗り物の乗り場。以前に比べて随分と格好良くなっている)
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(シーニックワールドから乗車するスカイウェイというロープウェイ)
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(スリーシスターの展望スポットもお洒落になっている)

高尾山を世界遺産に、と主張する私であるから、そのアクセスという観点から高尾山とブルーマウンテン国立公園を比較すると、そのランドスケープのゴージャスさでは、アメリカの二番手の国立公園に劣る、と言ってはいても、さすがに高尾山はブルーマウンテン国立公園には及ばない。特に渓谷の上から落ちる滝は、ヨセミテに比べればしょぼいが、それでもそれなりに観る価値はあり、高尾山の渓谷よりははるかにゴージャスである。しかし、ブルーマウンテン国立公園のように、高尾山のリフトやケーブルカーを格好良くして、ふもとの蕎麦屋なども、食文化の町の博物館のようにまとめてしまい、高尾山の頂上などはエコセンターとしてお洒落にしてしまい、その地域をグレードアップさせれば結構、世界遺産としてもアピールできるのではないか、と思ったりした。まあ、世界遺産を考えるうえでは、その見せ方、演出の仕方が問われるということを、ブルーマウンテン国立公園を再訪して認識した。日本において、それほど観光客が訪れないような白神山地、屋久島、知床などが指定を受けることができ、逆に富士山、箱根といった観光地が指定を受けられない背景には、大観光地は商売が優先され自然保護、景観的な配慮といった視点が二の次になってしまうことがあるからではないだろうか。そういう観点から、高尾山を初めとして世界遺産としての指定を意識するところは取り組むといいのではないか、と思わせられたブルーマウンテン国立公園の訪問であった。
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(カルンバ滝は観る価値がある)
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