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マカッサルの屋台主人、ダニの場合 [都市デザイン]

ダニはマカッサルのラグナで屋台の喫茶店「カウボーイ・カフェ」で働いている。11歳から始めて、今はもう28歳になるので大ベテランである。この店は母親と一緒に経営している。店を手伝い始めてから学校には行っていない。小学校も卒業していないことになる。2005年には、ラグナの屋台の中で、最も利用客が多いということで市からベスト屋台に選ばれた。その記念のトロフィーをダニは誇らしげに見せてくれた。多いときには一日80人の客が来る。売上げは大体多いときで一日20万ルピア(1円=75ルピア)であり、そのうち50%が利益になる。今まで屋台を市役所の都合で3回移動させられている。最初はロサリ・ビーチで開業していたが、その後、ラグナの横にあるメトロ・ストリートに移動させられ、そして昨年、このラグナに移動させられた。また移動を命令させられるかもしれないと思うと不安になる。商売は最初のロサリ・ビーチの時が一番うまく行っていた。最近では、商売はあまりうまくいっていない。市役所との会議にも出席はしたが何も発言はしなかった。屋台の人達とで、ラグナの改善案を提案したが、市役所は何も聞いてくれない。

マカッサルの営業許可証を持っている屋台は皆、ラグナと呼ばれるロサリ・ビーチの南側の一区画に2005年の6月から押し込められてしまった。今までは、マカッサルのほとんど唯一の自慢ともいえる夕陽を見ながら、潮風に当たられ、いい気分で食事をしたりできていたのに、今ではブロック塀に遮られ、夕陽を見ることができなくなってしまった。元クリチバ市長であったレルネル氏のいうところの「都市の鍼治療」のまったく逆のことをマカッサル市はしているのである。私が紹介して、マカッサル市はクリチバ市を昨年、視察に行っている。しかし、改善しようという意思がなければ、クリチバ市をみてもまさに豚に真珠、無意味である。マカッサルの屋台群はこの都市の大きな魅力であり資産である。その資産を活かさないで、むしろ邪魔者のように扱うこの都市に将来性はあるのだろうか。


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