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丹沢山への道のりは遠い [日本百名山]

休日の前日である11月22日、前日に天気予報がいいことを確認し、丹沢山への日帰り登山にチャレンジすることにした。ちょうど2年前にも丹沢山の日帰りにチャレンジした。2年前は菩提峠から表尾根で登ろうとして、塔の岳で挫折した。ということで、今回は最短距離である戸沢山荘から天神尾根で登ることにした。東名高速道路を走っている時は、晴天で富士山もはっきりと見える。これは、期待できる。
 さて、しかし、朝、家を出たのが遅く、6時に登山口を出発したかったのに到着したのは7時30分に到着してしまった。この1時間30分はイタい。戸沢山荘からは1時間10分ぐらいで大倉尾根に着くのであるが、この道は厳しかった。まず、ルートが分かりにくい。そして、植林の杉の森は、地面も貧相でさらに急坂である。こんなにつまらない登山道も珍しい。ここは試練だと思い、我慢して登っていく。大倉尾根との合流点、茅場平に着いた時はコースタイムより20分ほど遅かった。茅場平の標高は1128メートルである。そこからも階段で登るような坂が続く。結構、腿に来る。花立山荘に到着したのは10時前。花立山荘での休みを挟み、塔の岳に向かう。塔の岳には10時30分に到着する。家を出た時は素晴らしい晴天で会ったのだが、塔の岳に着いた時には雲が出始め、富士山の展望も得られなかった。一昨年のまったく同じだ。ここから丹沢山の往復はコースタイムで3時間。今日は、コースタイムより時間がかかると考えると、戻ってくるのは14時。日が暮れるのが早いことを考えると最低でも15時30分までには駐車場に戻らないと行けないこと、さらには天気が悪いことで、ここはリスクを取らずに再び断念して塔の岳で帰路につくことにした。
 帰りも最短距離ということで、つまらない天神尾根を下る。まあ、いろいろと文句は言ったが、それでも相模湾と大島の展望は素晴らしい。この展望は、丹沢山を登るときのご褒美である。

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<天神尾根は道は分かりにくく、急坂で、しかも杉林で登山していても楽しくない>

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<天神尾根の説明!これは降りたくない>

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<天神尾根を抜けても坂道は続く>

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<二年前と同様に塔の岳から富士山は展望できなかった>

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<霧の中に映える梅の桃色>

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<丹沢からの相模湾の展望は素晴らしい>

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<下山途中で現れた黒い雲。丹沢山を断念してよかったと思う>

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『スーパースター』 [映画批評]

1999年のコメディ映画。サタデー・ナイト・ライブで生まれたキャラ「マリー・キャサリン・ギャラガー」のスピン・オフ作品。モーリー・シャノン演じるマリー・キャサリン・ギャラガーは47年に及ぶサタデー・ナイト・ライブの歴史が生み出した数多のキャラクターの中でも、極めて奇妙奇天烈なキャラクターだ。カトリック系の女子高校生マリー・キャサリン・ギャラガーは、超絶にイタいキャラクターであるにも関わらず、その内から滲み出る生きるエネルギーは、目を背けたいと思いつつもどこか応援したくもなる不思議なキャラクターである。典型的ないじめられっ子であるが、ポジティブ・シンキングでそれを超越してしまうプロセルは観ていて楽しい。モーリー・シャノンは1964年生まれなので、撮影時、既に35歳である。ちょっと高校生を演じるには薹が立ってしまっている。ちょっとアップで皺が目立つのは残念。というか、このシーンいらなかったであろうとさえ思う。とはいえ、彼女を演じられるのは彼女しかいない、というかマリー・キャサリン・ギャラガーがモーリー・シャノンそのものだから、その点は致し方ない。映画で一貫してイタいキャラであったマリーであるが、エンディングではそういうイタいキャラからも一歩、卒業できたような感じで、鑑賞後は少し爽やかな気分にさえなる。しかし、こんな子がクラスにいたら日常が荒らされるよな、と思ったりもする。


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甲武信ヶ岳(百名山59座登頂) [日本百名山]

(1日目)
恵那山を下山した後、そのまま自動車で甲武信ヶ岳の麓の梓山まで行き、そこの民宿「白木屋旅館」に泊まる。旅館に着いたのは21時ちょっと前であった。前日は3時間も寝ないで登山をしたということもあり、チェックインをして風呂に入ったらすぐ爆睡した。目覚ましの音で目が覚め、身支度をして朝食として昨晩購入したおにぎりを一つだけ頬張り、チェックアウトしたのが7時。そして、車で毛木平の駐車場まで15分ぐらいかけて行き、準備を整え出発しようとして駐車場の写真を撮影しようとした時点で電池を民宿に忘れたことに気づく。慌てて取りに戻り、再び駐車場に行き、登山届を出して出発するときは既に8時を回っていた。

甲武信ヶ岳は私の知り合いなどは日帰りで登頂したりするが、私はとても無理。ということで甲武信小屋で一泊しての2日コースで山行を計画した。十文字小屋、三宝山経由で甲武信岳に登り、甲武信小屋で泊まり、下りは千曲川源流遊歩道を通るという周回コースである。毛木平駐車場からの道のりは、素晴らしいタケカンバの森で、また登山道もとても歩きやすい。朝日が森の木々を美しく照らし、地表は苔の絨毯のようで、その緑が気持ちを落ち着かせる。懐深い自然の中を一人、もくもくと歩いているのは、心が晴れやかになるだけでなく、頭も明晰になってくるようなリフレッシュ効果もあるということに気づく。森林浴としては最高だ。首都圏から比較的、近くにある山ではあるが、その静謐な雰囲気は早池峰山、大台ヶ原山などでしか感じられない自然の神々しさを感じる。百名山の多くの山は神体山であるが、昨日登った、神体山である恵那山などに比べても、はるかにこの甲武信ヶ岳の方が神々しく、神聖なものを感じる。神は自然に宿り、そこに神がいると指摘されればいる訳ではない、ということを理解するような神々しさである。

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<神々しさを覚えるカラマツの森を歩いて行く>

 十文字小屋までは2時間。森の中を歩き、展望はあまり得られないが、自然との対話をしているような行程は素晴らしい体験だ。十文字小屋の前に「きのこうどん」と書いた看板が立てられており、猛烈に「きのこうどん」を食べたくなり、小屋に入り、注文する。そもそも、当初の計画から、ここで遅い朝食を取ろうと思っていたのだが、「きのこうどん」があるとは知らなかったので嬉しい。小屋は、いかにも山小屋という感じのログハウスであり、雰囲気は抜群である。周辺には石楠花が群集している。小屋には、先客が一人、ご主人とお話をしていた。「きのこうどん」は700円であり、温かいものを胃に入れられるのは有り難い。うどんは当たり前であるがパックもので今ひとつである。これは山小屋だから致し方ない。何かを食べられるだけで感謝しないと。さて、キノコはいろいろな種類があり、味わい深い。しかし、変なキノコがあるな、と口に入れる前に見ると、なんとそれはムカデのような虫であった。ゲゲゲ。これは箸でお椀の外に出し、ご主人には何も言わずに残りのうどんを食べた。まあ、出汁になるかなとも思わなくもなかったが、ムカデのような虫を人類が食べないのはおそらく身体にもよくないからだろう、と思い、残念だが残りの汁は飲まずに残した。

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<十文字小屋や昔ながらの雰囲気が残る山小屋>

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<きのこうどん>

 さて、小屋には30分ほど滞在して、再び登り始める。山の荘厳さは強まるばかりで、本当、この時間にこの場所にいることに感謝するような気持ちにさせられる。11時過ぎには大山の山頂前の鎖場を過ぎ、大山には11時20分に着く。ここからは素晴らしい絶景を楽しむことができる。紅葉で赤く染まった秩父の山々が素晴らしい。大山からは尾根道特有のアップダウンが続く。埼玉県と長野県の県境を行く。武信白岩岳を通過するのは12時30分。ただし、ここは山頂ではない。ここを少しのぼったところの展望が開ける岩場で昼食休憩。いつものようにカップヌードル。それほど寒くはないが、この時期では身体を温めることは重要かとも思う。ここを出発するのが13時。尻岩という奇岩を通過したのは13時30分。この岩は本当にお尻のように見えて愉快だ。さて、それからしばらく行くと埼玉県で最高峰の三宝山への登りになるのだが、なんと、結構、雪が積もっていた。今回、アイゼンは持ってきたのだが、車に置いてきたのだ。これは、恵那山とかもまったく雪が降っておらず、ここも大丈夫かと思ったからだったのだが、大失敗であった。後悔先に立たず、で何しろゆっくりと歩いて行く。三宝山に到着したのは14時30分。山頂からの展望はあまり良くない。ここから甲武信小屋までも1時間ぐらいはかかりそうなので、そそくさと山頂を後にする。一度、鞍部まで下り、最後に甲武信ヶ岳の登りに入る。ここも北側斜面ということもあり、雪が凍っていて注意を要する。登りは楽だが、明日の下りは結構心配だ。そして、甲武信ヶ岳の山頂に到着したのが15時30分。甲武信ヶ岳の名前の由来は甲州、武州、信州、すなわち山梨、埼玉、長野の3県の県境であることから来ている。甲武信ヶ岳より標高の高い山々が周辺にあるにも関わらず、ここが百名山に選ばれるというのがよく分かる、奥深い秩父の山々の最奥にどっしりと構えているその貫禄は、標高の相対的な低さなどを問わない存在感を有している。金峰山、瑞牆山(瑞牆山は見間違いない形状をしている)などの山々の見事な展望が得られたが、残念ながら富士山は見られず。結構、距離的には近いはずなのだが。ここから、甲武信小屋までは下りで20分。どうにか、16時前までにはチェックインできた。

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<大山からも見事な展望>

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<大山から川上村を展望する>

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<大山から三宝山を望む>

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<いつものように昼食はカップヌードル>

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<尻岩は名前通り、お尻を思わせる形をしている>

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<三宝山への登りはところどころアイスバーンになっており、アイゼンを持ってこなかったことを後悔する>

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<甲武信ヶ岳山頂からの見事な展望。疲れが吹き飛ぶ>

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<甲武信ヶ岳の山頂>

 甲武信小屋はログハウス風でいかにも山小屋という風情を醸し出していた。昭和感がするような山小屋であり、雑魚寝である。夕ご飯はカレーで17時30分から。当たり前であるが美味しくはないが、こういう山で温かいご飯にありつけるのは本当、有り難い。18時には床に着いて就寝。

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<甲武信小屋>

(2日目)
 早く寝たのはいいのだが、目が覚めたらなんとまで22時30分であった。あちゃー。しかも頭が冴えてしまっている。これは、何たることだ、と思ったがそのまま布団の中でうとうとしていたら朝の5時になっていた。どれくらい脳味噌が休まったかは分からないが、5時30分から朝食の時間なのですぐ起床して準備をする。朝ご飯もお味噌汁とご飯とお漬物と海苔と茶碗蒸し。こういう時に海苔は有り難い。私の周りに座った人たちは、それぞれふりかけや煮卵などを取りだしていた。確かに、おかずは少ないので持参するのは賢明だ。今度、似たようなシチュエーションの時は持参しよう。
 宿を出たのは6時。小屋周辺はアイスバーンのような状況になっており、横歩きで歩いて行く。どうも夜に雪が降ったようで、木々の枝は白くなっている。山頂まで再び登る。山頂に着いたのは6時25分。昨日と違ってガスが出ているので視界はほとんど得られない。そそくさと山頂を後にして下山を開始する。大弛峠との分岐点に着いたのは6時50分。ここからはジグザグの急坂を下りていくのだが、アイスバーンのような状況でアイゼンがないと相当、危険である。宿で隣に寝た人が、アイスバーンで捻挫をしていたこともあり、ここは慎重に慎重を期して、蟹の横ばいのように降りていく。ストックがなければ降りるのは無理であったろう。千曲川水源地の標識がある場所に着いたのは7時10分。ここからは千曲川の渓流沿いを歩いて行くのだが、その渓流美は特筆すべきものがある。英語のSereneという言葉が浮かぶ。十文字峠ルートとはまったく違う魅力であり、この周回ルートは、この甲武信ヶ岳の多彩な魅力を体験させてくれる素晴らしい登山ルートであると思う。滑滝という細長い滝に到着したのが8時30分。ここからは積雪もなく、歩きやすい道となる。途中、行き交った登山者が「こんなに平らだと退屈しちゃうよ」と不平を言ったのが驚きであった。個人的には、この見事な森林の中を歩いているだけで感動的に素晴らしい体験であると思っているのだが、そのように感じない人もいるのだな、という驚きである。まあ、登山者も十人十色ということだろうか。
 十文字峠ルートと合流したのが10時05分。ここまでくれば毛木平まであと僅か。駐車場には10時10分に到着した。下りはほとんど休みも取らずにひたすら歩いたが、積雪のところをゆっくりと歩いたこともあって、時間的には結構、かかってしまった。とはいえ、10時過ぎに下山というのは、帰路の時間を考えるとなかなか理想的である。
 甲武信ヶ岳に登ったことで秩父山塊の6つの百名山(両神山、雲取山、甲武信ヶ岳、金峰山、瑞牆山、大菩薩岳)を踏破したことになるが、甲武信ヶ岳はこの中では圧倒的に素晴らしかった。秩父という野球チームがあるとしたら、唯一オールスター・クラスの打率3割、ホームラン30本のバッターという四番打者のイメージである。まあ、そういうことを書くと金峯山(金峯山も打率2割8分ぐらいの凄さはあるかと思う)には怒られるかもしれないが、甲武信ヶ岳の凄みは山頂というよりかは、その山塊の生態系の素晴らしさである。特に森が素晴らしい。秩父という自然の素晴らしさを最も体現している山なのではないかと考える。とはいえ、百名山しか登っていないので、他の秩父の山の素晴らしさを知らない若輩者の無責任な意見として捉えていただければと思う。

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<昨日とは違って、木々は雪化粧をしていた。おそらく夜に雪が降ったのであろう>

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<千曲川源流の標識>

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<千曲川源流ルートは、渓谷沿いの道で、十文字峠とは違った魅力を放つ>

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<滑滝>

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<十文字峠ルートとの合流点。あと5分ほど歩けば毛木平駐車場>

登山道整備度 ★★★★☆ 素晴らしく歩きやすい。ただ、どこもが登山道のようなところがたまにあり、道に迷う。ピンクのテープを目印として歩いて行かなくてはいけないところがある。
岩場度 ★★☆☆☆ 大平山、三宝山に登るところにちょっとした鎖の岩場はあるが、それほど大したものではない。
登山道ぬかるみ度 ☆☆☆☆☆ まったくないと言ってよい。千曲川源流ルートは季節によっては、多少ぬかるみができるかもしれない
登山道笹度 ☆☆☆☆☆ まったくない
虫うっとうしい度 ☆☆☆☆☆ (虫はいなかったが、これは季節的なことかもしれない)
展望度 ★★★★☆ 十文字峠は尾根道なので展望は素晴らしい。また山頂からの展望が優れているのは甲武信ヶ岳、そして大山。一方で、千曲川源流ルートは展望は期待できない。
駐車場アクセス度 ★★★★★ (駐車場への道はしっかりと整備されている)
トイレ充実度 ★★★☆☆ (登山道の入り口にはしっかりとトイレがある。十文字小屋、甲武信小屋といったところでトイレに行くことができる)
下山後の温泉充実度 ☆☆☆☆☆ (川上村は基本、温泉はないようだ)
安全度 ★★★★☆ 登山道はほぼ安全ではあるが、ルートに迷う可能性がないわけではないので、その点は留意するといいであろう

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恵那山(百名山58座登頂) [日本百名山]

11月にチャレンジできる日本百名山はどこかと調べて、恵那山と甲武信ヶ岳に行くこととする。まず、最初にチャレンジしたのは恵那山である。恵那山には幾つかの登山道があるが、選択したのは最短距離の広河原ルートではなく、神坂峠ルートをとることにした。これは天気がいいので、展望がより得られるということと、アクセスがこちらの方が便利だと思ったからである。これは常に最短距離を選ぼうとする私としては、結構めずらしいことだ。

前泊したのは中津川ルートインホテルである。着いたのは22時頃だ。すぐ寝ようと思ったが、ゼミ生が販売している珈琲の売れ行きが悪く、三杯も飲んだせいか、なかなか寝付けない。結果、3時間も寝ていない状態で挑むことになる。ホテルを出たのは6時前だったが、登山口までは結構、遠く、駐車場に着いたのは6時45分。ただ、神坂峠駐車場は避けて、その手前の大櫓駐車場に停めることとする。神坂峠は標高が1535メートルに対して、大櫓駐車場からの追分登山口は標高が1320メートル。この200メートル差は大きいが、実は、この追分登山ルートは神坂峠ルートと鳥越峠で合流するのだが、神坂峠から鳥越峠に行くのに一度山を越えなくてはならない。これは、つまり、登山の最終ステージで登らなくてはいけない、ということだ。あと、追分登山ルートの方が鳥越峠に到達する距離も短く、時間も早い。ただ、標高差があるというのと、登山道が荒れているであろうと推測されるのがマイナスである。ただ、ここは標高差よりも時間と距離、そして登山の最後に登らなくてはならない、ということを避けて、こちらにした。これは、結果的にはプラスであったかと思う。というのは、登坂は急で厳しいが、恵那山、意外と時間がかかり、最後の30分の短縮は結構、有り難かったからである。

さて、大櫓駐車場からの追分登山口までは、神坂峠に向かって5分間ほど歩かなくてはならない。登山口は極めて分かりやすい。私は登り初めて、すぐにストックを忘れたことに気づき、駐車場に取りに行ったので、結局、登り始めたのは7時になってしまった。ただ、ストックは下山時には絶対的に必要だったので、これは10分を犠牲にしても取りに戻ったのは大正解であった。

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<追分登山口は大櫓駐車場から神坂峠まで歩いて5分ぐらいのところにある>

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<追分登山ルートはなかなかの急登である>

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<追分登山ルートは熊笹にカバーされており、熊笹のところには崖だったりするので要注意だ>

さて、追分ルートは、相当の急坂ではあるが、ルートは分かりやすく、それほど厳しくはなかった。ただ、これは恵那山の神坂峠ルート全般に言えることだが、熊笹が登山道の両脇を覆っていて地面の様子が分かりにくい。場合によっては、急な崖であったりするところや岩とかがあっても分からないので、その点は要注意である。鳥越峠に着いたのは7時40分。ゆっくりと歩いて行ったので、コースタイムよりは大幅に時間がかかったが、それでも神坂峠からのコースタイムよりは短い。さて、ここからは熊笹を切り開いたかのような尾根道をひたすら歩いて行く。雲一つない快晴で、紅葉の山々が美しい。20分ほど歩くと御岳、乗鞍岳、そして北アルプスの山容が展望できる。うっすらと雪化粧をした峰々は素晴らしく美しい。右に御岳・乗鞍岳、左に南アルプスの山々をみて歩く尾根道は気持ちよいの一言である。とはいえ、両側が笹で見えないこの登山道、油断をすると崖に落ちるかもしれないので気は抜けない。大判山に到着したのは8時30分。ここからは恵那山がドーンと前方に聳え立つ。また、中央アルプスの展望が素晴らしい。ベンチもあり休憩には絶好のスポットなのだが、やたら声がでかい中年カップルがいてうざかったので、ここは通過する。大判山からはちょっと下りに入る。尾根ルートは展望が素晴らしいのはプラスだが、この上り、下りをさせられるところが辛い。さて、しばらく行くと急登が始まる。こだまエリアという休憩所に着いたのが9時10分。そして天狗ナギに9時30分頃に着く。これは山肌が大崩壊しているところで、その表情は荒々しく、自然の力のすさまじさを感じさせる。さて、ここからは相当の急登であり、途中で太股に来る。痙攣一歩手前というところをだましだまし登っていく。ここで随分と時間をかけたこともあり、分岐点に到着したのが10時40分。ここからはなだらかな稜線歩きで、右側に名古屋方面が展望できる。そこで出会った人が、今年で恵那山に登ったのは4回目だが、名古屋市内が展望できたのは初めてだ、と語っていた。それだけ、今日は視界に恵まれたということだろう。名古屋市内の方面は、伊吹山もしっかりとその姿を見せている。さて、しかし稜線歩きは、分岐点から山頂までのコースタイムでも20分で大したことがない筈だったが、私は苦労した。これは、遂に太股が限界近くに達していたこともあるのだが、一歩進めば、もう肉離れが起きるぐらいの状態にもなり、動けなくなって休んだりした。結果、山頂に着いたのは11時05分。さて、山頂はただ看板があるだけで、非常にしょぼい。というか、森の中なので、下手したら気づかない人もいるのではないだろうか。これまで登った百名山の中でも、最も地味というか控えめな山頂の看板である。展望もまったくない。ただ、そこから少し行くと避難小屋があり、避難小屋の裏側にある岩場からは南アルプスの絶景が見え、それらの山々の後ろに雪を被った富士山を見ることができた。これは、なかなかの感動的景観である。

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<鳥越峠で神坂峠ルートと合流する>

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<鳥越峠からは尾根沿いを歩いて行く。熊笹を切り開くような登山道である>

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<右側には御岳、乗鞍岳、そして北アルプスの山々を展望できた>

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<大判山にはベンチがあり、休憩するには好都合である>

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<大判山から展望する恵那山>

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<南アルプス側は雲海が広がっており、登山の疲れが吹き飛ぶような景色を見せてくれた>

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<天狗ナギは岩肌が崩壊した荒々しい様子を見せてくれる>

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<黒井沢ルートとの合流点。ここから山頂までは緩やかな尾根道>

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<合流点から山頂までの尾根道から太平洋側を望む>

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<合流点から山頂までの尾根道から名古屋市内を望む>

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<山頂の看板。百名山でも最もしょぼい山頂と言えるのではないだろうか・・・まだすべてを登っていないので憶測だが、これまで私が登頂した山では最もしょぼい>

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<避難小屋の裏側にある岩場から南アルプス側を展望する。富士山も姿を見せている>

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<避難小屋の周辺はちょっと休憩して食事をとるにはうってつけの広場となっている>

 ここでいつもの通り、カップヌードルの昼食を取る。私が愛読している塀内夏子の『なつこの百名山:百コ登ったどー』では恵那山の山頂は虫だらけで難儀だったというようなことを書いていたが、11月ということもあって虫類が現れることもなく、快適にご飯を食べることができた。
 11時50分頃に下山を開始する。分岐点に到着したのが12時15分ぐらい。そこからは急坂を下っていく訳だが、寝不足もあってふらついてちょっと危ない。途中で少し、仮眠を取ろうかとも思ったが、恵那山の日の入りは16時25分ぐらい。ゆっくりすると暗くなってしまい、暗くなったら追分登山ルートは下るのが厳しいと考え、頑張って歩き続ける。上りではあまりチェックできなかった天狗ナギ、ウバナギが下りではよく観られ、その迫力をより一層感じることができた。大判山に着いたのが14時。ここまで来れば、もう大丈夫かなと思い、10分ほどベンチで横になる。鳥越峠に着いたのが14時50分。ここからの下りは、結構、岩が滑りやすく、上りに比べてずっと神経を使った。今回は得意の尻餅をせずに下山できるかな、と思っていたのだが、ゴールが見えた20メートルぐらい手前で滑ってしまった。最後まで緊張しろ、と心の中で自分を戒めていたのにこの様だ。ちょっと自己嫌悪である。
さて、恵那山は100名山登山でも今ひとつな山として語られることが多いが、天候に恵まれ、極めて快適な登山を楽しむことができた。改めて登山は天気と季節によって、その快適さ、満足度も大きく違うことを確認する。おそらく、恵那山の登山をするタイミングとしては、今年でも最もいいような日に登ることができたのではないだろうか。確かに展望が得られず、この長い急坂を登らされたらなかなか滅入るであろう。そういう意味では非常に恵まれた恵那山登山を楽しむことができた。

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<往路では分からなかったが、復路ではその荒々しいウバナギを見ることができる>

登山道整備度 ★★★☆☆ 登山道は分かりやすいが尾根道は笹に覆われており、必ずしも歩きやすいとはいえない。また、追分登山ルートは荒れているとまでは言わないが、それほど整備がされていない。
岩場度 ★★☆☆☆ 天狗ナギから分岐点まではちょっとした岩場的な登りがある
登山道ぬかるみ度 ★★☆☆☆ この日は晴れていたので、それほど気にならなかったが、熊笹をかき分けるようなところはぬかるんでいる
登山道笹度 ★★★★★ 危険を感じるほど熊笹が生えている
虫うっとうしい度 ☆☆☆☆☆ (虫はいなかったが、これは季節的なことかもしれない)
展望度 ★★★★☆ 尾根道なので展望は相当、いいかと思われる。ただ、山頂からの展望がまったくないので、ちょっと減点をしている
駐車場アクセス度 ★★★★★ (駐車場への道はしっかりと整備されている)
トイレ充実度 ★☆☆☆☆ (山頂の避難小屋にはトイレがあるが、それ以外は特になかったような気がする)
下山後の温泉充実度 ★★☆☆☆ (麓の集落にクアリゾートがあり、温泉の代替として使える)
安全度 ★★★☆☆ 熊笹ルートは足を踏み外したり、こけたりする可能性が高く、それほど安全な登山道とはいえないと思われる
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『物語 フィンランドの歴史』を読み、ロシアはウクライナ戦争と同じことを100年前にもしていたことを知る [書評]

フィンランド研究者の著者による『物語 フィンランドの歴史』。フィンランドには4回ぐらい訪れたことがある。なんか知った気になっていたのだが、実は全然、その歴史などは知っていないことを改めて気づかされた。ただ、フィンランドがスウェーデンの植民地であり、その後、ロシアの属国になっていたという歴史ぐらいは知っていたのだが、ロシアの横暴ぶり、大国としての理不尽な数々の要求と仕打ち。なんだ、ウクライナ戦争で随分とロシアはデタラメをするな、と憤慨していたが、昔からこういうことを隣国ではやっていた、むしろお家芸ということをこの本から学ぶことができた。日本はたまたま日露戦争でロシアをやっつけたので過小評価をしていたのだが、もう相手が攻撃したとかいちゃもんをつけて戦争をおっぱじめることとか、不可侵条約などの約束を破ることなどは日常茶飯事だ。というか、なんでこんな国と条約を結ぼうと思うのかね。こんな国から北方領土、戻ってくる訳ないね、ということもフィンランドの歴史から理解することができる。本書は、フィンランドの歴史を知るために有益であるのは勿論だが、ロシアという国を理解するうえでも、そして現在のウクライナ戦争をなぜ、ロシアが仕掛けるかも理解することに通じる貴重な著書であると思う。


物語 フィンランドの歴史 - 北欧先進国「バルト海の乙女」の800年 (中公新書)

物語 フィンランドの歴史 - 北欧先進国「バルト海の乙女」の800年 (中公新書)

  • 作者: 石野 裕子
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/10/18
  • メディア: 新書



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