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恵那山(百名山58座登頂) [日本百名山]

11月にチャレンジできる日本百名山はどこかと調べて、恵那山と甲武信ヶ岳に行くこととする。まず、最初にチャレンジしたのは恵那山である。恵那山には幾つかの登山道があるが、選択したのは最短距離の広河原ルートではなく、神坂峠ルートをとることにした。これは天気がいいので、展望がより得られるということと、アクセスがこちらの方が便利だと思ったからである。これは常に最短距離を選ぼうとする私としては、結構めずらしいことだ。

前泊したのは中津川ルートインホテルである。着いたのは22時頃だ。すぐ寝ようと思ったが、ゼミ生が販売している珈琲の売れ行きが悪く、三杯も飲んだせいか、なかなか寝付けない。結果、3時間も寝ていない状態で挑むことになる。ホテルを出たのは6時前だったが、登山口までは結構、遠く、駐車場に着いたのは6時45分。ただ、神坂峠駐車場は避けて、その手前の大櫓駐車場に停めることとする。神坂峠は標高が1535メートルに対して、大櫓駐車場からの追分登山口は標高が1320メートル。この200メートル差は大きいが、実は、この追分登山ルートは神坂峠ルートと鳥越峠で合流するのだが、神坂峠から鳥越峠に行くのに一度山を越えなくてはならない。これは、つまり、登山の最終ステージで登らなくてはいけない、ということだ。あと、追分登山ルートの方が鳥越峠に到達する距離も短く、時間も早い。ただ、標高差があるというのと、登山道が荒れているであろうと推測されるのがマイナスである。ただ、ここは標高差よりも時間と距離、そして登山の最後に登らなくてはならない、ということを避けて、こちらにした。これは、結果的にはプラスであったかと思う。というのは、登坂は急で厳しいが、恵那山、意外と時間がかかり、最後の30分の短縮は結構、有り難かったからである。

さて、大櫓駐車場からの追分登山口までは、神坂峠に向かって5分間ほど歩かなくてはならない。登山口は極めて分かりやすい。私は登り初めて、すぐにストックを忘れたことに気づき、駐車場に取りに行ったので、結局、登り始めたのは7時になってしまった。ただ、ストックは下山時には絶対的に必要だったので、これは10分を犠牲にしても取りに戻ったのは大正解であった。

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<追分登山口は大櫓駐車場から神坂峠まで歩いて5分ぐらいのところにある>

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<追分登山ルートはなかなかの急登である>

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<追分登山ルートは熊笹にカバーされており、熊笹のところには崖だったりするので要注意だ>

さて、追分ルートは、相当の急坂ではあるが、ルートは分かりやすく、それほど厳しくはなかった。ただ、これは恵那山の神坂峠ルート全般に言えることだが、熊笹が登山道の両脇を覆っていて地面の様子が分かりにくい。場合によっては、急な崖であったりするところや岩とかがあっても分からないので、その点は要注意である。鳥越峠に着いたのは7時40分。ゆっくりと歩いて行ったので、コースタイムよりは大幅に時間がかかったが、それでも神坂峠からのコースタイムよりは短い。さて、ここからは熊笹を切り開いたかのような尾根道をひたすら歩いて行く。雲一つない快晴で、紅葉の山々が美しい。20分ほど歩くと御岳、乗鞍岳、そして北アルプスの山容が展望できる。うっすらと雪化粧をした峰々は素晴らしく美しい。右に御岳・乗鞍岳、左に南アルプスの山々をみて歩く尾根道は気持ちよいの一言である。とはいえ、両側が笹で見えないこの登山道、油断をすると崖に落ちるかもしれないので気は抜けない。大判山に到着したのは8時30分。ここからは恵那山がドーンと前方に聳え立つ。また、中央アルプスの展望が素晴らしい。ベンチもあり休憩には絶好のスポットなのだが、やたら声がでかい中年カップルがいてうざかったので、ここは通過する。大判山からはちょっと下りに入る。尾根ルートは展望が素晴らしいのはプラスだが、この上り、下りをさせられるところが辛い。さて、しばらく行くと急登が始まる。こだまエリアという休憩所に着いたのが9時10分。そして天狗ナギに9時30分頃に着く。これは山肌が大崩壊しているところで、その表情は荒々しく、自然の力のすさまじさを感じさせる。さて、ここからは相当の急登であり、途中で太股に来る。痙攣一歩手前というところをだましだまし登っていく。ここで随分と時間をかけたこともあり、分岐点に到着したのが10時40分。ここからはなだらかな稜線歩きで、右側に名古屋方面が展望できる。そこで出会った人が、今年で恵那山に登ったのは4回目だが、名古屋市内が展望できたのは初めてだ、と語っていた。それだけ、今日は視界に恵まれたということだろう。名古屋市内の方面は、伊吹山もしっかりとその姿を見せている。さて、しかし稜線歩きは、分岐点から山頂までのコースタイムでも20分で大したことがない筈だったが、私は苦労した。これは、遂に太股が限界近くに達していたこともあるのだが、一歩進めば、もう肉離れが起きるぐらいの状態にもなり、動けなくなって休んだりした。結果、山頂に着いたのは11時05分。さて、山頂はただ看板があるだけで、非常にしょぼい。というか、森の中なので、下手したら気づかない人もいるのではないだろうか。これまで登った百名山の中でも、最も地味というか控えめな山頂の看板である。展望もまったくない。ただ、そこから少し行くと避難小屋があり、避難小屋の裏側にある岩場からは南アルプスの絶景が見え、それらの山々の後ろに雪を被った富士山を見ることができた。これは、なかなかの感動的景観である。

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<鳥越峠で神坂峠ルートと合流する>

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<鳥越峠からは尾根沿いを歩いて行く。熊笹を切り開くような登山道である>

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<右側には御岳、乗鞍岳、そして北アルプスの山々を展望できた>

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<大判山にはベンチがあり、休憩するには好都合である>

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<大判山から展望する恵那山>

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<南アルプス側は雲海が広がっており、登山の疲れが吹き飛ぶような景色を見せてくれた>

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<天狗ナギは岩肌が崩壊した荒々しい様子を見せてくれる>

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<黒井沢ルートとの合流点。ここから山頂までは緩やかな尾根道>

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<合流点から山頂までの尾根道から太平洋側を望む>

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<合流点から山頂までの尾根道から名古屋市内を望む>

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<山頂の看板。百名山でも最もしょぼい山頂と言えるのではないだろうか・・・まだすべてを登っていないので憶測だが、これまで私が登頂した山では最もしょぼい>

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<避難小屋の裏側にある岩場から南アルプス側を展望する。富士山も姿を見せている>

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<避難小屋の周辺はちょっと休憩して食事をとるにはうってつけの広場となっている>

 ここでいつもの通り、カップヌードルの昼食を取る。私が愛読している塀内夏子の『なつこの百名山:百コ登ったどー』では恵那山の山頂は虫だらけで難儀だったというようなことを書いていたが、11月ということもあって虫類が現れることもなく、快適にご飯を食べることができた。
 11時50分頃に下山を開始する。分岐点に到着したのが12時15分ぐらい。そこからは急坂を下っていく訳だが、寝不足もあってふらついてちょっと危ない。途中で少し、仮眠を取ろうかとも思ったが、恵那山の日の入りは16時25分ぐらい。ゆっくりすると暗くなってしまい、暗くなったら追分登山ルートは下るのが厳しいと考え、頑張って歩き続ける。上りではあまりチェックできなかった天狗ナギ、ウバナギが下りではよく観られ、その迫力をより一層感じることができた。大判山に着いたのが14時。ここまで来れば、もう大丈夫かなと思い、10分ほどベンチで横になる。鳥越峠に着いたのが14時50分。ここからの下りは、結構、岩が滑りやすく、上りに比べてずっと神経を使った。今回は得意の尻餅をせずに下山できるかな、と思っていたのだが、ゴールが見えた20メートルぐらい手前で滑ってしまった。最後まで緊張しろ、と心の中で自分を戒めていたのにこの様だ。ちょっと自己嫌悪である。
さて、恵那山は100名山登山でも今ひとつな山として語られることが多いが、天候に恵まれ、極めて快適な登山を楽しむことができた。改めて登山は天気と季節によって、その快適さ、満足度も大きく違うことを確認する。おそらく、恵那山の登山をするタイミングとしては、今年でも最もいいような日に登ることができたのではないだろうか。確かに展望が得られず、この長い急坂を登らされたらなかなか滅入るであろう。そういう意味では非常に恵まれた恵那山登山を楽しむことができた。

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<往路では分からなかったが、復路ではその荒々しいウバナギを見ることができる>

登山道整備度 ★★★☆☆ 登山道は分かりやすいが尾根道は笹に覆われており、必ずしも歩きやすいとはいえない。また、追分登山ルートは荒れているとまでは言わないが、それほど整備がされていない。
岩場度 ★★☆☆☆ 天狗ナギから分岐点まではちょっとした岩場的な登りがある
登山道ぬかるみ度 ★★☆☆☆ この日は晴れていたので、それほど気にならなかったが、熊笹をかき分けるようなところはぬかるんでいる
登山道笹度 ★★★★★ 危険を感じるほど熊笹が生えている
虫うっとうしい度 ☆☆☆☆☆ (虫はいなかったが、これは季節的なことかもしれない)
展望度 ★★★★☆ 尾根道なので展望は相当、いいかと思われる。ただ、山頂からの展望がまったくないので、ちょっと減点をしている
駐車場アクセス度 ★★★★★ (駐車場への道はしっかりと整備されている)
トイレ充実度 ★☆☆☆☆ (山頂の避難小屋にはトイレがあるが、それ以外は特になかったような気がする)
下山後の温泉充実度 ★★☆☆☆ (麓の集落にクアリゾートがあり、温泉の代替として使える)
安全度 ★★★☆☆ 熊笹ルートは足を踏み外したり、こけたりする可能性が高く、それほど安全な登山道とはいえないと思われる
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