『物語 フィンランドの歴史』を読み、ロシアはウクライナ戦争と同じことを100年前にもしていたことを知る [書評]
フィンランド研究者の著者による『物語 フィンランドの歴史』。フィンランドには4回ぐらい訪れたことがある。なんか知った気になっていたのだが、実は全然、その歴史などは知っていないことを改めて気づかされた。ただ、フィンランドがスウェーデンの植民地であり、その後、ロシアの属国になっていたという歴史ぐらいは知っていたのだが、ロシアの横暴ぶり、大国としての理不尽な数々の要求と仕打ち。なんだ、ウクライナ戦争で随分とロシアはデタラメをするな、と憤慨していたが、昔からこういうことを隣国ではやっていた、むしろお家芸ということをこの本から学ぶことができた。日本はたまたま日露戦争でロシアをやっつけたので過小評価をしていたのだが、もう相手が攻撃したとかいちゃもんをつけて戦争をおっぱじめることとか、不可侵条約などの約束を破ることなどは日常茶飯事だ。というか、なんでこんな国と条約を結ぼうと思うのかね。こんな国から北方領土、戻ってくる訳ないね、ということもフィンランドの歴史から理解することができる。本書は、フィンランドの歴史を知るために有益であるのは勿論だが、ロシアという国を理解するうえでも、そして現在のウクライナ戦争をなぜ、ロシアが仕掛けるかも理解することに通じる貴重な著書であると思う。
物語 フィンランドの歴史 - 北欧先進国「バルト海の乙女」の800年 (中公新書)
- 作者: 石野 裕子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2017/10/18
- メディア: 新書