大脳生理学の観点からも10歳以下から受験勉強をさせるのは意味が無い [中学受験]
川喜田二郎の『発想法』(改訂版)を読んでいたら面白い文章に出くわした。それは、著者が東京大学の大脳生理学の時実教授から話を聞いた時の話である。時実教授によれば、子供が、「自分の住んでいる町の歴史的発展を理解するなどのように、時間的にみて鎖状に前から後へつながる意味での関係認知能力ができるのは、じつに十歳以後である」という。つまり、話すとか文章をつくるなどの読み書きのように、ものごとを鎖状に論理でつないで理解する認知能力は十歳以上にならないとできない。時実教授は「したがって十歳にならない子供に、いっしょうけんめいに歴史の説明をしたり、ものごとの鎖状発展のことを説明しているのはバカをみているのですよ」と語ったそうだが、これを読んで、そういう意味では、中学受験の勉強もどんなに早くても十歳以後がいいのだな、ということに気づく。いや、私は本当、小学校6年生からでいいぐらいに思っているのだが、まあ、それじゃあどうしても抵抗がある人もどんなに早くても小学校四年生以降がいいだろう。というのも、算数の計算問題や国語の漢字を除けば、中学受験の問題は、「時間的にみて鎖状に前から後へつながる意味での関係認知能力」を必要とするものが、ほとんどであると考えられるからである。因果関係の理解である。脳がそのような能力を持った時に、集中的に勉強する体力を整えておくためにも、中学受験の対策はできれば半年、よくて一年ぐらいにするのがいいと確信的に思っている。もちろん、受験対策以外の勉強は、子供が勉強したければどんどんやらせていればいいとは思う。