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望ましい下北沢像は「チェーン店ではなくて個店がある街」のようだが、これらの個店は絶滅危惧種であるので保全活動が必要だ [都市デザイン]

 下北沢編集部という、住民主体のまちづくりのグループが「100人100色」という下北沢で働く人、住む人に対してアンケート調査を実施しているのだが、その中間報告を聞いた。そこで、望ましい下北沢像として「チェーン店ではなくて個店がある街」と回答した人が最も多かった。
 改めて、下北沢の魅力は「個店」であるということが裏付けられた。なんせ下北沢駅周辺で1200店ほども店が密集しているのだ。その多様性が下北沢の魅力であることは間違いないであろう。私も最近ではほとんど1人で飲むのは下北沢であるが、それは下北沢のお店群がユニークで「特別」だからだ。
 さて、しかし、このようなご時世で、下北沢で個店を維持するのはほとんど不可能に近いほど難しくなっている。それは家賃が高いからだ。私が行く個店も、ほとんど経営難である。下北沢はおよそ3年間で店舗が3割置き換わるといわれるほど、ビジネス環境は悪い。さらに、現在、下北沢は道路整備が進行中であり、この道路は貴重な個店を立ち退きさせるだけでなく、道路ができることで沿道の建物の容積率を向上させることになる。その結果、家賃はまた上がる。というか、ここで家賃が上がるのは、チェーン店が高くなっても、支払ってしまうからだ。個店が支払うことは難しい。しかし、チェーン店が高い値段を払うのは、「下北沢」というブランドに惹かれているからだが、このブランドをつくりあげているのは、これらチェーン店が追い出している個店なのである。つまり、蛸が自分の足を食べているような状況が生じているのが下北沢なのである。
 もし、本当に個店に価値を見出しているなら、間違ってもチェーン店では買い物をしないぐらいの覚悟を持たないと、下北沢の個店は早晩、消えて行くであろう。もちろん、王将のようにチェーン店であっても下北沢のシンボル的なところもあるので、チェーン店は皆、駄目といっているわけではないが、特に居酒屋チェーンに入るぐらいなら、わざわざ下北沢で飲む必要もないと思われる。そういう消費による支持活動をしないと、下北沢の個店は絶滅危惧種のように消えていっていくものが多いことを自覚することが必要である。ニーズがあっても提供できない、少なくとも今の下北沢の料金では提供できなくなることは、「個店があって欲しい」と回答した人には理解してもらいたいと思う。

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