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いわきの現状を知ることで、日本の現在の問題を知ることができる [サステイナブルな問題]

いわき市をゼミ生数名と訪れ、青年会議所の方々や地元の商店の方とお話をする。自民党の政策は、基本的に原発推進。そのためには、原発事故も極力、矮小化させ、警戒区域からの避難者の帰還を推し進めようとしている。そのような政策によって、「避難したい」という人達はより困難な状況に追いやられてしまっている。
http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20130323ddlk08040170000c.html)。

いわき市は、警戒区域からの避難者が多く避難した地域で、奇跡的に放射能の落下量が少なかった。加えて、セシウム137は半減期が30年だが、セシウム134は半減期が2年。あの事故から2年経った今、放射能量は随分と事故直後よりは少なくなっている。しかし、いわき市が抱える原発事故の問題は現在進行形である。しかも、事故直後と違ってテレビでもいわき市の状況はほとんど報道されず、多くの人がもう無関心になっている。

地元の和菓子屋を復興1年で立ち上げた82歳の方は、被災者には、震災後に2通りの対応がみられるという。1つは、自分の力でどうにか復興しようと考えるもの。もう1つは国や東京電力からの補償金をいかにもらうかと考えるもの。そして、後者の考えを持っていると、コミュニティは再興することは不可能に近いという。また、青年会議所の方も被災者の支援は必要であるが、ものをあげる支援は長期的には人を駄目にするとも指摘する。どっかで聞いたことがある話だなと思ったら、クリチバの中村ひとしさんが言っていたことと同じであった。ジャイメ・レルネルさんは、貧困者の支援として、彼らを社会に取り込もうとするが、レルネルさんのライバルのヘキオンさんは、貧困者にお金をあげる。そして、後者のアプローチをしていると貧困者はいつまでも自立できずに貧困のままでいる、という話だ。わたしの周りでも、やたら学生を甘やかそうとする先生がいる。ただ、そういうアプローチをしていると、その先生には本当にしっかりしていない学生ばかりが集まる。私とかは、そういうのは罪深いと思うが、当の本人は自己満足に浸っており、私のように厳しい指導をしたり、自立的に学生自身に考えさせるような指導をしたりするものはむしろ無責任だと思うようだ。まあ、相手にもしたくはないが。

閑話休題。

さて、お話は興味深いものが多かったが、特にいわきの中学生、高校生は熱い、ということが興味を惹いた。外部の人からも、何でこんなに一生懸命なんですか、といわれるそうだ。NHK交響楽団の人が慰問演奏をしたのだが、その時、コーラスを歌う彼らのエネルギーに圧倒して涙を流したそうである。これは、この子達は、大人が何かやってもどうにもならないことがあるんだ、自分達でどうにか未来を切り開いて行かなくてはならない、ということを小学生、中学生の時点で感じてしまったためであるそうだ。

親が泣いている姿。明日、どうする。津波の被害を受けてなくても、このままいわきで過ごしていてもいいのか。いろいろと葛藤があり、それを乗り越えての現在がある。逞しくて当たり前と言えば、そうだが、凄い鍛えられようだ。それは、外部のものからは伺え知れない苦労と苦難があったであろうが、それを乗り越えた彼ら、彼女らは、現代日本社会が抱えている閉塞感を打破させるエネルギーがある。

私がゼミ生をいわき市に連れて行ったり、いわき市をフィールドスタディしたりするのは、このエネルギーに触れたいと考えているからだ。間違って、自分達が何かしらいわき市に支援できるなどという奢った考えを抱いてはならない。これが学生に一番、理解してもらいたい点なのだが、そこらへんがまだ見えない学生もいるんだよねえ。まあ、じっくりと静観して、自分で理解するまで待つこととしよう。

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私のゼミ生がいわき市をフィールドスタディした結果をまとめたものが、ハビタット通信という雑誌として刊行されました。もし、ちょっと手に取って見てみようかなという方がいらっしゃいましたら、hattoriseminar@gmail.com までご連絡下さい。印刷代のほぼ原価である500円+80円の送料をいただければ、お分け致します。このブログを読んでいただいた方から注文があると、なんかとても楽しい気分になります。というのも、このような雑誌をつくっているのは、コミュニケーションを媒介するメディアとしての役割に期待しているからでもあるからです。ちなみに、この雑誌は、いわき市であれば「鹿島ブックセンター」そして「ヤマニ書房」には置かせていただいておりますので、そちらでもご購入できます。

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