三宅理一著の『負の資産で街がよみがえる』は名著 [書評]
我が国は縮小時代を迎えた。これから、空き家が増え、工場跡地なども増え、さらに学校も廃校になっていく。このような「負の資産」を反転して「正の資源」へと転じるための多彩な事例が、筆者が関与したものを中心として紹介されている。特にアートと都市整備を結ぶ試みは、非常に刺激的で、ネガティブな思考に支配されつつある縮小が進む地方や地域においては、参考となる点が多いと思われる。筆者の経験を主体とした主観的な整理がされているにも関わらず、極めて汎用性の高く、説得力のある内容となっているのは、筆者の極めて優れた分析力と知性に因ると考えられる。また、事業として展開した場合の具体的な課題などもしっかりと整理されており、ジャーナリストの事例紹介といった喧伝性が強く煽動的なものとも一線を画している。名著。
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