SSブログ

ロッテルダムを訪れ、その醜悪な都市景観に驚いた [都市デザイン]

夜行列車にユーロレイルパスを使い、帰宅した。その日は何も予定がなく、ユーロレイルパスを使ってどこでもいけるので、もったいないのでロッテルダムまで行くことにした。ロッテルダムまではデュッセルドルフから2時間30分くらいだ。ハンブルグとかよりずっと近い。さて、ロッテルダムは大した期待もしないで訪れたのだが、駅前は超高層ビルが林立していて驚いた。そもそも風が強い日だったのだが、ビル風で地表は凄まじい状態で歩くことも難しかった。

IMG_2386.jpg

駅から商店街を歩き、中心市街地らしきところまで歩いていく。建築や都市デザインはあたかも旧社会主義国のような装いで、テナントはナショナル・チェーンばかりで、社会主義と資本主義のファスト風土が合体したかのような凄まじく醜悪な都市景観で、大いに驚いた。アムステルダムなんかで感じられる都市アメニティもなく、ヨーロッパの西側でこんなに景観的に醜い都市は初めて経験したと思う。東側でも、ここまで酷い都市はないかもしれない。ドレスデンやライプツィッヒの方がずっと優れている。もしかしたら、私が訪れたヨーロッパの都市では最も景観的に醜悪な都市かもしれない。こういう酷い経験は、アジアの都市だとできるが、ヨーロッパにもこんなところがあったのかという新鮮な驚きを覚える。何も期待しないで訪れたのだが、大いなる収穫である。

IMG_2274.jpg

建築群も都市に劣らず結構ひどく、意匠の暴力といった感じの建物が多い。出来の悪いポスト・モダンの建物が多く建っており、それは意匠の出来不出来を評価する以前に醜悪であると思う。有名なキューブハウスは、実際の見た目はともかく、意外に内部はしっかりとして感心したが、それにしてもこういう奇抜な意匠でその都市の個性を演出する方法論としては、相当出来が問われる。フランク・ゲーリーのデュッセルドルフのライン川河畔のビルやビルバオのグッゲンハイム美術館やミネアポリスの美術館や、ヴォルフスブルクのザハ・ハディドの科学博物館、ガウディのサグラダ・ファミリアやグエル公園などは個人的には成功しているかなと思われるが、それはそれらの建築群が立地する場所の都市におけるシチュエーションが優れているからだろう。それに比べるとこのブロム設計のキューブハウスは必ずしもロケーション的には優れていないと思う。これがウォーターフロントとかに立地していたらよかったかもしれないが、都心の広場周辺というのは違和感を覚えた。アムステルダムの集合住宅ホエールなどに比べると、そのスケール感等、むしろこのキューブハウスの方が優れている点もあるかもしれないが、都市の文脈などの配慮のなさから、どうにも気に入らないというか不快感を覚えた。特に、キューブハウスの隣に建つUの字型の窓を持つ建物は色彩を含めて不快であった。突飛な意匠をなぜする必然性があるのか、という問いをロッテルダムを訪れることで考えることになった。そういう意味ではいろいろと勉強になる都市である。

IMG_2311.jpg

IMG_2317.jpg
(建築的には興味深いが、都市の文脈とは合っていないという印象を受けたキューブハウス)

あと最後に付け加えなくてはならないのは、このように酷い都市デザインや建築に囲まれていても、中心市街地は人が溢れ、極めて賑わいのある都市であったということである。もしかしたら、このロッテルダムの何でもやりたいようにやれば、とでも言うべき自由な雰囲気が人々に活力をもたらしているのかもしれない。

nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0