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世界遺産のベルン市街地を訪れる [都市デザイン]

スイスの首都ベルンを訪れる。その市街地は南北、そして東をアーレ川に囲まれた丘陵地につくられた。中央駅はこの旧市街地の西側に位置するが、この駅からアーレ川と接する東端まで1キロメートルもない。都市は地形に沿って東西に拡がり、主要な都市軸も3本の東西の道路から構成されることになった。西側を抑えれば防御的には非常に優れた立地でもあり、12世紀後半にツェーリンガー家が、この東端に城を建設するのが、都市ベルンの誕生であった。

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(アーレ川と市街地(右側))

この市街地の教会からの眺めは素晴らしい。展望が素晴らしいというのではなく、ベルンの市街地の美しく色彩の調和のとれた家並みが眺められるという点で素晴らしいのである。さすが世界遺産に指定されただけのことはある。ベルンは都市住宅の秩序をつくるために細かい建築規則が早くから制定されていた。ベルンのファサードはオリーブ色からベージュ色である。これに赤煉瓦色の屋根が重なることで、この都市の美しい色彩を奏でている。ベルンの美しさは昔から知られており、ベルンの美しい景観を賞賛した『甘美なる都ベルン』という書も1732年に出版される。ただし、ベルン市民はそんな賛辞は必要ない、とこれらの賞賛に憤っていたそうだ。外部のものに余計な口出しをされたくないということか。

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(美しい街並み)

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(ファサード)

またこの市街地を特徴づけているのがポルティコである。たまたま駅からホテルに行く途中に雨が降ったので、このポルティコは大変助かった。また、このポルティコは商店が入っているのだが、なぜか絶滅種のような小売店が多く入っている。切手屋とか専門書だけを扱う本屋とか楽譜屋とかである。ここらへんがなぜ今でもサバイバルできているのかは謎だ。日本で大手を振っている「競争原理」が、このベルンでは働いていないのかもしれないと思ったりする。しかし、その結果、このベルンは特別な都市として今でも息づいていられるのかもしれない。

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(ポルティコ)

このベルンは、また人類最大の発見ともいわれる相対性理論をアインシュタインが閃いた都市でもある。この事実だけでも、ベルンが特別な都市であるとういことが分かるものだ。アインシュタインの住んでいた家を訪れたが、その窓から有名な時計台がみえた。この時計台が、アインシュタインに大きなインスピレーションを与えたことは疑いようはない。

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(アインシュタインの住んでいた家)
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