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最近の大学生のデート・コース事情を憂える [都市デザイン]

明治学院大学での講義で、学生達にデートでどういうところに行くかを聞いてみたところ、女子学生は横浜のミナトミライやお台場といった回答が多かった。つきあいが長い学生は、川崎とか渋い回答をしたりしていたが、なんか新しく開発された都市空間がデート・スポットとして人気があるのはマーケティングの犠牲者になっているようであまり感心ができない。男子学生だったりすると、下北沢とか渋い回答をしたりする若干、通のものもいるが、女子学生は往々にして宣伝とかパブリシティに弱いような気がするし、まあ、彼女達を誘う男達も、そういうところに行けば無難と思って連れてっているのだろう。

なんか面白くないな、と思うのはミナトミライにしろお台場にしろ、基本的には恐ろしいほどの消費空間であり、しかも消費するものが記号であるという点だ。そして、それらの記号はテレビやトーキョー・ウォーカーなどの雑誌やインターネットによって氾濫しており、オタクのように記号的価値を見出すといった努力もしないで我々に与えられているということだ。そこには都市を知ろう、都市の面白さを発見しよう、という姿勢はまったく感じられない。もちろん、デートに行って面白さを知ろう、とする必要性がどの程度あるかは疑問かもしれないが、それらの消費空間で記号を消費するようなデートは、記号であるがゆえに複製可能であり、オリジナリティがまったくない。複製可能なそういうオリジナリティの無さって、つまらないと思うのだけれど、昨今の女子学生はあまりそういうことは気にしないのかもしれないし、そういうオリジナリティを理解できないのでお洒落なこと、ちょっと気の利いたことをしても評価されないのかもしれない。

まあ、私も大学時代は彼女の機嫌が悪い時は、とりあえずディズニーランドに連れて行ってなだめるような安易な手段を取っていたので、立派なことを言う資格はないのだが、今の若い学生に対しては、もっとデートにも多様性をもたらすように工夫することを提案したい。そうすれば新たな発見があるからだ。その発見は、マイブームならぬマイ記号的な価値をもたらし、そのマイ記号を共有できたら、それはとても素晴らしいことでないか、と思うのである。ちょっと寄り道をしたら、全然、想像もしなかった美しい景観に出くわしたりしたときに二人で一緒に感動したりした思い出、というのは長らく記憶に残るものである。そういう思い出が共有できた数が多いほど、相手の思い出もいいものとなるような気がする。

などと書いていながら、今、観光ルートを学生につくらせているのである。しかもデート・コースをも考えさせている。多少、自分が書いていることに矛盾を感じない訳でもないが、彼らがつくったからといって消費的な記号を創り出す訳ではないからいいか。
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