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フリーコノミックス [書評]

今年も、もう終わりである。ということで、今年読んだ本の中で大いに感銘を受けたものの書評らしきものを書き記そうと思う。今年の個人的な大ヒットは「やばい経済学」の邦訳も出ているシカゴ大学の経済学者であるスティーブン・レビットが著した「Freakonomoics」である。この本は、経済学を考えるうえでの基本であるインセンティブに基づいて、人々が行動することによって、どのような影響が及ぼされるのか、といったことを興味を惹く事例で解析してくれている。例えば、90年代を迎えてアメリカの犯罪率は増加する一方で、多くのマスコミや批評家はこの増加のトレンドは今後も続くと予測していた。しかし、実際は92年頃をピークに減少する。この理由を、また多くのマスコミや学者がいろいろな説をたてて説明しようとしたが、レビットは堕胎を合法化したことがその理由であると統計を用いて説明する。他にも、スイミングプールと銃とではどちらが安全か、麻薬売人が母親と住んでいるのは何故か、親と子供の成績は関係があるのか(これは関係があるのだが、子育ての方法論はほとんど相関関係がない、という世の幼児教育ビジネスをあたふたさせるような分析もされている)といった社会事象を統計を駆使して、縦横無尽に分析していく。いわゆる世間の常識を覆すような事例を多く取り上げていることもあり、読んでて脳が活性化されてわくわくする。

邦訳のように全然「やばく」なく、すこぶる真っ当な本である。経済学というよりかは、統計学の本という印象を受けるが、世の中の見方を変えさせる力を有した本であり、またエンタテーメントとしても面白い。最後のオチもアッと言わされた。お勧めである。とはいえ、私は原著で読んだので、邦訳本がいいかどうかは保証しかねる。

Freakonomics: A Rogue Economist Explores the Hidden Side of Everything

Freakonomics: A Rogue Economist Explores the Hidden Side of Everything

  • 作者: Steven D. Levitt, Stephen J. Dubner
  • 出版社/メーカー: Harper Audio
  • 発売日: 2006/10/30
  • メディア: CD



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