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子供の潰し方(無用なプレッシャーを与える) [教育論]

子供を育てるのは難しい。まあ、勝手に育つ、というのはあるかもしれないが、それなりに親の役割というものもあるだろう。親の役割の一つとしては、子供が育つためにいい環境を提供する、というものが挙げられる。例えば、小学校でいじめられるような環境にあったりした場合は、せっせと転校するなどして、子供が安心して暮らしたりするようにすることは重要な役割だと思われる。進学校だったり、有名校だったりに通っていて、子供がいじめられたり、いじけていたりしているのに、敢えて通わせ続けたりするのは愚の骨頂である。親の見栄のようなものを子供で満たそうとするのは厳に慎まないといけないと思う。
 まあ、そのような場合を除けば、そんなに親は頑張らなくてもいいかと思うが、もう一つ、無用なプレッシャーを与える、ということも避けた方がいいし、慎むべきことだと思う。極めて私事で恐縮だが、私の次女は弁護士に向いている性格をしていると思っている。実際、私自身ももめ事があったりすると次女に相談するが、私の妻などは就職相談までして、実際の志望書までも次女に書いてもらったりしている(そして、通ったりしている)。これは、次女が高校生ぐらいの時からそうだ。私も高校一年生の時ぐらいから、「お前は弁護士をやると、結構、顧客から感謝されて、いいと思うよ」みたいなことを言ったりしていたのだが、音楽をやりたい、ということで芸大に行ってしまった。まあ、それはそれで本人の判断でいいのだが、その話を高校時代の友人(といってももう還暦でお孫さんもいる)にしたら、「弁護士の試験はとても大変だから、相当、勉強させないと駄目よ」と言われた。いや、試験は大変かもしれないが、本人が弁護士になりたいと思わなければ、そんなことを言っても全く無駄だし、私が次女に言うようなことではない。しかし、おそらく彼女は子供にそういうことを言って育ててきたんだろうな、と思った。そして、そういう無用なプレッシャーを与える、ことはほとんど子供にとって百害あって一利なし、ということに気づいていないのだろうな(おばあちゃんになってまでも)と思ったりもした。
 私自身を振り返っても似たような経験がある。私は小学校に入る前ぐらいからバイオリンをやっていた。小学校5年生ぐらいの時は、結構な高級ホテルのロビーで四重奏とかを演奏したり、子供オーケストラのコンサート・マスターを務めていたりして、それなりにやれていた。しかし、母親の無用なプレッシャーに潰された。一つは、「ヴィブラートはとても難しいから、しっかりと練習をしてやらないと悪い癖ができる」というのと、もう一つは小学校6年生ぐらいの時に買ってもらったヴァイオリンが「100万円ぐらいする高価なヴァイオリンなので、死に物狂いでもうやらないとね」というものであった。素直だった小学生の私は、ヴィブラート恐怖症になってしまい、苦手意識が根付いてしまった。そして、母親の100万円という、今から思えば真っ赤な嘘(おそらく30万円ぐらいであったと思われる。ちなみに母親は病的な嘘つきであることがその後、判明するが、当時はまったく信じていた)によって、その100万円のプレッシャーに押しつぶされて、結局、中学に入ってしっかりとヴァイオリンに取り組むことを放棄してしまった。今から思うと、本当に勿体ないことをした。
 まあ、このような体験を振り返っても、子供に無用なプレッシャーを与えることはほとんどマイナスだと思う。子供は生来、ポジティブに生きようとする生き物である。それは、生きること自体、本来は楽しいことであるからだ。それを無用なプレッシャーを親が与えることで可能性をむしろ削ぐ。場合によっては潰してしまう。
 私の知り合いの弁護士は、皆、弁護士になろう、と自分が思ったからなっている人ばかりである。親が仕事として向いていると思って、勉強しろ!と言っても、そういうのは中学受験でも効果がない。親の役割としては、むしろそのようなプレッシャーを与えないようにすることこそが重要なのではないだろうか。ただ、プレッシャーを与えるのが好きな人はいるんだよね。そういう人は、親切心で言っていたりするので、なかなか質が悪い。流石に、私はそういうことを言われてもほとんど無視をするようになれたが、結構、若い時はそのような意見がマイナスに作用したことがあっても、プラスに作用したことはまずない。まあ、これは多少、私の性格も関係したかもしれないが。

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